テラーノベル
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その日の夜中。
阿部は肩を優しく揺すられる感覚で目を覚ました。
「……あべちゃん。」
聞き慣れた声だった。
「ふっか……?」
目を開けると、ベッドの横に立つ深澤の顔は赤く、額には汗が滲んでいた。
「熱……あるの?」
深澤は苦笑いを浮かべる。
「ああ。」
「たぶん、来た。」
その一言だけで、阿部には分かった。
身体の変化が始まったのだ。
渡辺も物音で目を覚まし、慌てて起き上がる。
「ふっか……。」
深澤は二人を安心させるように笑った。
「大丈夫。」
「昨日、翔太が言ってただろ。」
「俺も医者のモルモットになってくる。」
「可能性があるなら、全部試してもらう。」
「行ってくる。」
「うん。」
「待ってる。」
阿部と渡辺は、その背中を最後まで見送った。
病室のドアが静かに閉まる。
また二人だけになった。
昨日と同じ静けさ。
昨日と同じ不安。
「……寝られないね。」
阿部が苦笑する。
渡辺も頷いた。
「無理。」
気を紛らわせるように、二人はまた思い出話を始めた。
「ジュニアの頃さ、みんなで餃子味のアイス食べたの覚えてる?」
「あれ、最高に不味かった。」
「でも楽しかった。」
ジュニア時代の失敗。
初めて立ったステージ。
地方公演で迷子になった話。
笑っていたと思えば、突然静かになる。
「歌う?」
「うん。」
小さな声で持ち歌を口ずさむ。
一曲。
また一曲。
歌っているうちに、メンバーのことが頭に浮かぶ。
「めめ……。」
阿部の目から涙があふれる。
「みんなぁ……。」
渡辺も声を上げて泣き始める。
「会いたいよぉ……。」
「俺も……。」
二人は子どものように泣き続けた。
泣いて。
歌って。
また泣いて。
気づけば涙も枯れ、そのまま眠りに落ちていた。
___________
翌朝。
病室のドアが静かに開く。
阿部が目を覚ますと、深澤が入ってきた。
#BL
kaede🍁
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おその★
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篝火

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「……ふっか!」
阿部と渡辺は同時に起き上がる。
深澤は少し照れくさそうに前髪を触った。
「おはよう。」
二人はしばらく深澤を見つめたまま固まっていた。
「……なに?」
深澤が首を傾げる。
渡辺が思わず笑う。
「いや。」
「美人じゃん。」
その言葉に、深澤は胸をなで下ろした。
「よかったぁ。」
「そこ、一番心配だった。」
阿部が吹き出す。
「前も同じこと言ってたよね。」
「だって重要じゃん。」
深澤は鏡を見ながら嬉しそうに笑う。
「これなら安心。」
そして次の瞬間には、もう別の話題になっていた。
「退院したらさ。」
「みんなで温泉行きたくない?」
「温泉?」
「うん。」
「九人で旅行。」
「いっぱい写真撮ってさ。」
「それから服もいっぱい買いたい。」
「ラウールにコーデしてもらうのも楽しそう。」
ころころ変わる話題に、阿部と渡辺は顔を見合わせて笑う。
「ふっか少しハイになってるね。」
「否定できない。」
深澤も笑った。
すると突然、深澤が立ち上がる。
「今度は俺も踊る。」
「え?」
「三人で。」
「『Grandeur』。」
渡辺は目を輝かせる。
「いいじゃん!」
阿部も笑って立ち上がる。
「今日は昨日より短めにね。」
病室のテーブルを端へ寄せ、小さなスペースを作る。
音楽が流れる。
三人はタイミングを合わせて一歩踏み出した。
最初はぎこちなかった足運びも、少しずつ揃っていく。
歌いながら踊る。
息は上がる。
身体は重い。
それでも、不思議と笑顔がこぼれる。
途中で三人とも息を切らして止まってしまったが、誰も悔しそうな顔はしていなかった。
「前より揃った。」
阿部が息を整えながら言う。
「うん。」
渡辺も笑う。
深澤は肩で息をしながら親指を立てた。
「これなら。」
「復帰する日も、少しだけ想像できる。」
病室には、今までの絶望ではなく、小さな希望と笑い声が満ち始めていた。
コメント
3件
面白いです!続きが楽しみ😊

😭😭でも 少しづつほんの少しづつ 3人が前を向いている メンバーに彼氏に会いたいだろうな。 続き待ってます♪ 読み応えのある 物語有り難う御座います。
第30話、泣きそうになりながら読んだよ。深澤が熱出して「来た」って言ったとこ、心臓止まるかと思った。でも翌朝戻ってきて「美人じゃん」って笑い合えるの、本当に良かった。三人で「Grandeur」踊る最後のシーン、小さな希望が見えて涙出た。みらさん、この温かい空気を守ってくれてありがとう。続きも楽しみにしてる。