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「アオセン!?大丈夫か!?」
事件現場に向かってジャグラーを運転していると、小道の道路脇に停められた警察ヘリを見つけた。覗いてみると座席で項垂れている青井。ダウン通知は鳴ってないのに倒れてる?何でだ?不安になりながら急いで駆け寄った。
「アオセン!アオセン!」
「…うーん?…つぼ浦ぁ…?」
「大丈夫すか!何があったんすか!」
「何がってなにぃ?ふぁ〜ぁ。」
「…もしかして寝てたんすか?」
「うんちょっとね、居眠り運転は危ないからさぁこれなら仮眠程度で起きれるし…うぅ〜ん。仕事戻るかぁ。」
ヘリから降りて大きく伸びをし、メンテナンスを始める。その背中は明らかに疲れていた。
「アオセン最近働き過ぎっすよ、休んでください。」
「んー?大丈夫だよ、この程度で俺のヘリ精度は落ちないって。あ、これユニオン来てる?行くか。」
自信満々に言っているがそういう問題では無い。無線の音量を上げて再び乗り込もうとする青井を止める。
「いやダメだ!今日はもう警察終了!帰って休め!」
「いやいや大丈夫だって、心配してくれてありがとね。ほらつぼ浦も行くぞ。」
「いーや、行かせないね。」
「あっお前!やったな!」
ヘリをインパウンドして間髪入れず手錠拘束をかける、実にスピーディで綺麗な流れだ。 耳では忙しなく事件の無線連絡が飛び交っている中、車を走らせる。
「助けてー、誘拐されてマース…ほら皆忙しいって。俺だけ今休むのは違うだろ。」
「はー全く、頑固で世話の焼ける上司だぜ。無線入れとくか…『つぼ浦と青井お先退勤しまーす、お疲れしたー』」
「お疲れー」「お休みなさーい」
「…あーはいはい、じゃあ家帰るから。だから放して?」
「いや、信用ならねぇな。…先に飛行場寄んなきゃか。」
「お前そういう所律儀だよな。」
「…うるせぇ。」
飛行場に行きヘリを警察ガレージに戻し退勤した後、青井の家に向かった。
「じゃあアオセンが寝るまで俺帰んないすから。」
「流石にここまで来たら寝るよ。お前もお前で頑固だなー。」
「アオセンのほうが。ほらさっさとベッド行った行った。」
「へいへーい。」
ベッドに座ったが業務の事が気になって頭から離れない。ユニオンは収束しただろうか、そういえば今日は後輩達とヘリ練習の約束してたな、署長が後で話しあるって言ってなかったっけ……ここ数日はやけに仕事が忙しく、タイミングも中々合わずでつぼ浦との時間が碌に取れていなかった。せっかく今2人きりなのにここで寝てしまったら勿体無いじゃないか。
「つぼ浦ーちょっとこっち来てー。」
「あー?なんすか?」
「隣座って。寝るまで話付き合ってよ。」
「やっぱり寝ないじゃないすか、疲れてんでしょ。」
「まぁまぁいーからいーから。」
やれやれ、と少し呆れたような顔をしながら座る。少しだけのつもりだったが久しぶりなのもあってついつい話し込んでしまい、気付けば1時間も経っていた。
「てかアオセンいつ寝るんすか。」
「もうちょっと良いじゃん。てかむしろ目覚めてきたし、つぼ浦と話して元気出たし。このままもう1回出勤しよっかな。」
「…だぁーっもうっ!」
つぼ浦が決意を固めたような顔をしたかと思えば突然抱き着いてきて、そのまま横に倒れ込んだ。全身に力が入りガチガチに硬い。驚いて横目で顔を見てみると、目をギュッと瞑って額には汗が滲んでいた。
「…あのー?つぼ浦くん?」
「あ、アオセンが寝るまで離れないすから!///」
明らかに声が上ずっている。
「…痛い痛い、つぼ浦力強いよw」
「あっすんません…」
「しょうがない、ここまでされちゃー寝るしかないか。…おやすみ。」
抱き締め返しながら余裕ぶっているが、こちらだってこんな事をされたら溜まったもんじゃない。つぼ浦が初めて積極性を見せてくれた嬉しさ、高揚感、ここまで心配させてしまった罪悪感とが入り乱れ身体が熱くなってくる。こんなんで寝れるか!と思っていたが、日々の寝不足が積み重なりいつの間にか熟睡していた。
少しうとうとしていたが目が覚めた。青井はスゥスゥと寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。起こさないよう静かに退散しようとしたが、ガッチリ掴まれて抜け出せない。
「やっと寝たか、良かった…キレーな顔だな…」
思わず見とれてしまいそっと髪を撫で、頬を撫でる。うっとり見つめ続けているとふと我に返って恥ずかしくなり、 もう一度体を捻ってみる。が、やっぱり抜け出せないので諦めてこのままもうしばらく寝る事にした。
「つぼ浦ー朝だぞー。」
「ん…え!?朝!?」
「おはよう、よく寝たな。お陰でスッキリしたよ。」
「ちょっとだけ寝るつもりだったのに…おいおいまじかよ…」
「そんなショック?wつぼ浦も疲れてたんじゃない?…お返し兼お手本。」
そう言って優しく優しく、柔らかにつぼ浦を抱き締めた。
「あのっあっアオセン!?…//」
「また身体強ばってる。深呼吸すればちょっとはマシになるか?はい吸ってー吐いてー。」
「すぅー…はぁー…じゃなくて!ほら、さっさと準備しねぇと…//」
「そうそうそうやって力抜いて。…今日は仕事休んでどっか出かけるか、久しぶりにさ。」
「え?あんな仕事仕事言ってたのに?」
「ちょっと根詰め過ぎてたわ、お前にも心配かけたし。2人の時間ちゃんと取らないと寂しいしさーごめん、ありがとね。」
「いや別に心配とかしてねぇし…そろそろ離してくれ…///」
「はいはいwじゃあ準備するかぁ俺先シャワー浴びてくるわ。二度寝すんなよ。」
そう言って寝室から出て行った。1人になって冷静に昨日自分がやった事を思い出し、恥ずかしさに悶絶するつぼ浦であった。