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ℝ𝕒𝕟
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ℝ𝕒𝕟
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帳の部屋
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急に始まります。
二次創作注意です。
蘇枋「じゃあ、俺はこっちだから。また明日」
桜「おう。また明日な」
桜くんの返事に、俺はいつものように笑顔で手を振った。
みんなと別れ、ひとりで帰路につく。
今日は特に変わったこともなかった。いつも通りの一日。強いて言うなら、喫茶ポストの前で桜くんがまた誰かと喧嘩をして、ことはさんに怒られていたくらいだろうか。
そんなことを思い出しながら歩いていると、不意に背後から声がした。
男「おい、お前」
振り返る。
路地の入口に、見覚えのない男たちが数十人立っていた。
蘇枋「俺に何か用です?」
にこりと笑って尋ねる。
男のひとりが、俺の顔を確認するようにじっと見た。
男「蘇枋隼飛だな」
蘇枋「…そうだけど。俺、有名人になっちゃったのかな?」
男「ふざけるな」
蘇枋「おや。ふざけてるつもりはないんだけど…」
男たちの表情が険しくなる。
どうやら、楽しいおしゃべりをしに来たわけではなさそうだ。
蘇枋「それで?俺に何の用?」
男「黙ってついてこい」
蘇枋「うーん。それはちょっと難しいかな」
俺が笑顔のまま断ると、男たちが一斉に動いた。
なるほど。最初からそのつもりだったわけだ。
蘇枋「話し合う気はないんだね。残念だなあ」
飛びかかってきた男の拳をかわし、腕を取って勢いを流す。そのまま体勢を崩させ、地面へ倒した。
続く男の攻撃も受け流し、隙をついて一撃を入れる。
数は多いけれど、動きはそれほど速くない。
この程度なら、どうにでもなる。
蘇枋「ほら、どうしたの?まだ終わりじゃないよね?」
俺の言葉に、男たちが苛立ったように顔を歪めた。
そのときだった。
男「今だ!」
背後から、別の男が飛び出してきた。
気づいたときには、腕にチクリとした痛みが走っていた。
蘇枋「……っ!?」
反射的に距離を取る。
腕を見ると、小さな注射器の針が刺さった跡があった。
蘇枋「……へぇ」
俺は男を見つめた。
蘇枋「それ、何を打ったの?」
男は答えず、薄く笑った。
男「これで準備は整った」
蘇枋「準備?」
聞き返したときには、男たちはすでに逃げ出していた。
追いかけようと足を踏み出す。
けれど。
蘇枋「……あれ?」
身体が、ふらりと傾いた。
とっさに壁へ手をつく。
蘇枋「……まったく、面倒なものを打ってくれたみたいだね…」
いつも通りに笑ってみたけれど、足元は頼りなかった。
それでも、なんとか歩き続ける。
途中で何度か休みながら、ようやく家にたどり着いた。
玄関の扉を閉めた途端、全身から力が抜ける。
蘇枋「……疲れた」
こんなふうに身体が重くなるなんて、いつ以来だろう。
ひとまず上着を脱いで、ベッドに横になる。
少し休めば、落ち着くかもしれない。
そう思いながら目を閉じた。
そのまま、俺は深い眠りに落ちた。
翌朝。
蘇枋「……ん」
目を開ける。
カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいた。
どうやら、あのまま眠ってしまったらしい。
蘇枋「……よく寝たなぁ」
身体を起こそうとして、ふと違和感を覚えた。
蘇枋「……ん?」
声が、いつもと違う。
普段よりも高く、柔らかい。
寝起きだからだろうか。
そう思ってもう一度声を出してみたけれど、やっぱり違った。
俺は首を傾げ、自分の手を見下ろした。
指先も、手の印象も、どこか見慣れない。
蘇枋「……何、これ」
嫌な予感がした。
昨日、注射器を打たれたことを思い出す。
まさか、あの薬のせい?
俺は急いで洗面所へ向かった。
そして、鏡の前に立つ。
蘇枋「…………」
言葉が出なかった。
鏡の中にいるのは、確かに俺だった。
顔の雰囲気や左目を覆う眼帯、長いタッセルのピアスも変わっていない。
けれど、顔立ちの印象が違う。
元々の顔立ちはそのままなのに、輪郭や頬の雰囲気が柔らかくなっている。どこか中性的で、綺麗な顔立ち。
そして、髪の長さや身体つきも明らかに変わっていた。
蘇枋「…………へぇ」
思わず、そんな声が漏れた。
いや、感心している場合じゃない。
頬に手を当てる。
鏡の中の人物も、同じように頬へ触れた。
どうやら夢じゃないらしい。
蘇枋「……俺、女の子になってる?」
口に出してみても、現実味がなかった。
昨日の男が言っていた言葉。
『これで準備は整った』
あれは、このことだったのだろうか。
蘇枋「……とんでもないものを打たれたなあ」
俺は鏡の中の自分を見つめた。
不思議と、取り乱すほどの余裕はなかった。
けれど、困ることは山ほどある。
まず、この身体。
それから学校。
桜くんたちに知られたら、どんな反応をされるだろう。
……いや。
考えないでおこう。
きっと、ろくなことにならない。
そう思った直後。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
こんな朝から誰だろう。
俺はひとまず着替えようとしたものの、そこで別の問題に気づいた。
いつもの服が、身体に合わない。
蘇枋「…………」
しばらく服を見つめてから、俺は小さくため息をついた。
蘇枋「……朝から忙しいなぁ」
もう一度、チャイムが鳴る。
そのあとに聞こえてきたのは、聞き慣れた声だった。
桜「おい、蘇枋!!いんだろ!!」
桜くんだ。
どうして今日に限って。
俺は鏡をちらりと見た。
この姿を見せたら、説明が面倒なことになるのは間違いない。
とはいえ、今さら居留守を使うわけにもいかない。
蘇枋「はーい。今、開けるよ」
できるだけ普段通りの声で返事をし、玄関へ向かった。
扉を開ける。
桜「おせーよ。何して……」
桜くんの声が止まった。
目の前の俺を見て、固まっている。
桜「…………は?」
蘇枋「おはよう、桜くん」
俺はいつも通りに笑った。
桜くんは俺の顔を見つめたまま、何度か瞬きをした。
桜「……お、お前……」
蘇枋「うん?」
桜「……誰だ?」
桜「蘇枋の、姉…?」
蘇枋「ひどいなぁ。俺だよ、俺」
桜「は、え!?はあ!?」
桜くんが声を上げた。
その声に、俺は思わず肩をすくめる。
桜「朝からそんなに大きな声を出さなくてもいいじゃないか」
桜「は、いや、だって……!!お前、なんで……!!」
桜くんは俺を指さしかけて、慌てて手を下ろした。
顔が赤い。
かなり動揺しているらしい。
桜「……本当に蘇枋なのか?」
蘇枋「そうだよ。疑うなら、何か質問してみる?」
桜「質問って……!」
蘇枋「例えば、昨日、桜くんがことはさんに怒られてた理由とか?」
桜「なっ!?お前、見てたのかよ!」
蘇枋「ふふっ。やっぱり桜くんだったね」
桜「~~っ、そういうことじゃねえ!」
いつもの反応だ。
俺は少し安心して、笑みを深めた。
けれど、桜くんはすぐに真剣な顔へ戻った。
桜「……おい。何があったんだよ」
蘇枋「昨日、帰り道で知らない男たちに襲われてね。そのとき、変な薬を打たれたんだ」
桜「薬……?」
蘇枋「うん。目が覚めたら、この姿になってた」
俺は自分の身体を軽く示した。
桜くんの表情から、動揺が消えていく。
代わりに、目つきが鋭くなった。
桜「……誰にやられた」
蘇枋「まだ分からないよ。顔も、見覚えのない人たちだったしね」
桜「どこでだ」
蘇枋「帰り道の路地。詳しい場所なら教えるよ」
桜くんは悔しそうに唇を結んだ。
桜「……なんで、すぐに言わなかった」
蘇枋「昨日は帰るだけで精いっぱいだったからね」
桜「そういう問題じゃねえだろ!」
蘇枋「ふふ。心配してくれてるの?」
桜「当たり前だろ!」
即答だった。
俺は一瞬だけ目を丸くして、それから柔らかく笑った。
蘇枋「……ありがとう、桜くん」
桜「っ……!」
桜くんはまた顔を赤くした。
そして、なぜか勢いよく視線をそらす。
桜「……と、とにかく!!ひとりで何とかしようとすんなよ!」
蘇枋「はいはい」
俺はくすりと笑った。
けれど、桜くんはまだ何か言いたそうだった。
少し迷ったあと、こちらを見ずに口を開く。
桜「……その、身体は大丈夫なのか」
蘇枋「今のところはね。少しだるいけど」
桜「少しって……」
桜くんは俺の顔を確かめるように見た。
それから、ふと何かに気づいたように眉を寄せた。
桜「……お前、顔色悪くねえか?」
蘇枋「そうかな?」
桜「あぁ。昨日、何かあったんだろ。無理すんな」
いつもの勢いとは違う、少しだけ不器用な声だった。
俺は答えようとして、言葉を止めた。
確かに、身体はまだ重い。
大丈夫だと笑ってしまうのは簡単だ。
でも。
蘇枋「……じゃあ、少しだけ甘えようかな」
そう言うと、桜くんは驚いたようにこちらを向いた。
桜「……は?」
蘇枋「今日は、ちょっとゆっくりするよ」
桜「……おう」
ほっとしたような顔をする桜くんに、俺は笑いかけた。
女体化した原因も、薬の正体も、まだ何も分からない。
昨日の男たちが何を企んでいるのかも。
けれど、ひとつだけ分かったことがある。
この姿になったからといって、俺が俺でなくなるわけじゃない。
だから、ひとまずは。
蘇枋「桜くん、お茶でも飲む?」
桜「……あぁ」
いつも通りに過ごしてみよう。
――まあ、このあと学校のみんなに知られたら、そう簡単にはいかないのだろうけれど。
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
長くなってすみません。
4つ掛け持ちで、投稿頻度落ちると思いますが、最終話まで見て頂けると嬉しいです。
あと、昨日絵チャで書いたものです。
画質悪くてすいませんm(*_ _)m
いいね、コメント、フォローよろしくお願いします。
コメント
1件
みぅです🤍読んだよ〜! 蘇枋くん、帰り道で襲われて薬打たれて女体化…! 鏡の前で「女の子になってる?」って冷静に呟くの、なんか蘇枋くんらしくてじわった(笑)桜くんが朝から来て固まるところ、めっちゃ好き。「姉?」って聞くのウケたw でもその後すぐ心配して「無理すんな」って言うの、あったけえ…。この変化でどうなっていくのか、気になりすぎる🌙 続き読みたいです!