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ポテサラ
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#実況者イラスト
アル🧩👾
11
いつの間にか、雨は止んでいた。
静かな城の中に、雨粒が屋根から落ちる音だけが残っている。
ぽたり。
ぽたり。
レウは廊下を歩いていた。
眠れなかった。
理由は特にない。
ただ、目が冴えていた。
城の中はいつも暗い。
だから、時間なんて分からない。
眠くなったら寝る。
起きたら起きる。
最近は、それにも少し慣れてきていた。
角を曲がる。
階段を下りる。
その先に、見慣れた背中があった。
「らっだぁ?」
「ん」
壁際に座っていた。
珍しい。
いつもなら本を読んでいるか、どこかへ消えているのに。
「何してるの」
「休んでる」
「それは見れば分かるけど」
「じゃあ聞かなくていいじゃん」
「そういう問題じゃない」
らっだぁが少し笑った。
レウも隣へ座る。
窓の外は見えない。
けれど、雨上がりの匂いがどこからか入り込んでいた。
「雨、止んだね」
「うん」
「また降るかな」
「たぶん」
「分かるの?」
「匂い」
「……ヴァンパイアってすごいな」
「そう?」
「俺なんか雨が降ってても気付かないことある」
「それは鈍いだけじゃない?」
「ひどい」
笑う。
少しだけ。
それから沈黙。
最近、この沈黙にも慣れた。
前は気まずかった。
今は違う。
何も話さなくても、隣にいる。
それだけでいい。
「ねえ」
「何」
「らっだぁって、何歳?」
突然聞いてみた。
らっだぁは少し考える。
「忘れた」
「え」
「数えるの面倒だから」
「何百歳とか?」
「たぶん」
「たぶんって」
「それくらいは長く生きてるよ」
「ずっと前から?」
「うん」
レウは少しだけ黙った。
「……すごいね」
「何が?」
「ずっと生きてること」
らっだぁは少し首を傾げる。
「そうでもないよ」
「そう?」
「生きてるだけだから」
その言葉に、レウは何も返せなかった。
生きているだけ。
それが簡単なことなのか。
難しいことなのか。
レウには分からない。
ただ。
自分は、生きることを諦めていた。
あの集落で。
鎖に繋がれて。
誰にも必要とされないまま。
炎の中で。
死ぬのだと思っていた。
「俺も」
気付けば口にしていた。
「昔、生きてるだけだった」
らっだぁがこちらを見る。
何も言わない。
レウもそれを分かって、言葉を続けた。
「朝になったら起きて、」
「ご飯を食べて、」
「言われたことやって、」
「怒られたら謝って、」
「また鎖に繋がれて」
淡々と。
まるで他人の話みたいに。
「それだけ」
らっだぁは黙って聞いている。
「だから」
レウは少しだけ笑う。
「ここに来てから、変なんだよね」
「何が?」
「毎日、何かあるから」
「例えば?」
「昨日は地下で迷子になった」
「それは俺のせいじゃないよ」
「探し物忘れてたのはらっだぁでしょ」
「そうだった」
少し笑う。
「それから」
レウは指を折る。
「森に行った」
「うん」
「花冠作った」
「うん」
「本を頭に乗せられた」
「楽しかったね」
「俺は全然楽しくなかった」
「俺は楽しかった」
「知ってる」
また笑う。
それから。
レウは少しだけ目を伏せた。
「……だから、怖いんだと思う」
らっだぁが黙る。
「何が?」
「なくなること」
静かな声だった。
雨上がりの匂いがする。
「ここに来るまで、何も持ってなかった」
「だから、なくなるものもなかった」
レウは手を握る。
「でも今は違う」
らっだぁを見る。
青い瞳。
暗闇の中でも、よく分かる。
「俺には、ここがある」
らっだぁは何も言わない。
「だから」
少しだけ笑う。
「なくなったら嫌だなって思う」
らっだぁの表情が、ほんの少し変わった。
けれど何も言わない。
レウも、それ以上は言わなかった。
ただ隣に座る。
しばらくして。
「命令」
らっだぁが言った。
「なに?」
「忘れないで」
「何を?」
「今日のこと」
レウは少し驚いた。
それから笑う。
「それが、命令?」
「そう」
「分かった」
レウは頷く。
「忘れない」
らっだぁは目を細める。
「約束?」
「約束」
静かな城。
雨上がりの頃。
二人は並んで座っていた。
外の世界を知らない二人。
朝を知らない二人。
けれど。
少なくとも今は。
同じ時を生きている。
それだけで十分だった。
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コメント
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コメント失礼します(* .ˬ.) どの作品もとても大好きで楽しみに見てます 体調に気をつけて頑張ってください 応援してます 続きを楽しみに待っています