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「ちょっと待って、ヴィンセントっ 」
ヴィンセントは屋敷に帰ってくるなりライラを横抱きにし、寝室にまっすぐ向かった。
ライラが何を言っても無視だ。
ヴィンセントは寝室に入ると、扉を閉じ、鍵を閉め、ライラを寝台に寝かせ、その上に覆い被さった。
「何するの?んっ……」
ライラが抵抗しようとしても、唇は塞がれ、腕は拘束され、何もできない。
「んんっ……、は……ふ、んむ……」
荒々しい口づけだ。
ライラは唇ごと食べられてしまいそうな感覚に陥った。
いつもはもっと優しく、気遣いにあふれているのに。
「んっ、く……、んんむ……ふあ……」
ヴィンセントはしつこくライラに口づける。
舌は吸われ、歯列はなぞられ、口内は舐り回され、唾液は全て持って行かれる。
ライラは局部が疼いてくるのを感じ、脚をすり合わせた。
しばらく口づけられていたが、やがてヴィンセントは唇を放した。
その頃には、ライラはあまりにも長いキスですっかり疲弊してしまい、ぼんやりと天井を眺めた。
その間にヴィンセントはさっさと服を脱いでしまい、ライラも脱がせ、互いに生まれたままの姿になる。
ライラの局部は、もう男のそれを受け入れられるほど濡れ、やわらかくなっていた。
物欲しげにひくひくとわなないている。
ヴィンセントはライラの脚を曲げて開かせ、もう十分に勃起した自分のそれをライラの局部に当てがう。
ライラははっとした。
「ヴィンセントっ、あぁああんっーーーーー」
ヴィンセントは熱杭を全てライラの中に沈めてしまった。
ライラは軽く果てる。
しかし、ヴィンセントは構わず抽挿を始めた。
「待っ……、んあっ、ああん……、あんっ」
抽挿はあまりにも激しかった。
ヴィンセントは抽挿をしながら上半身を倒し、ライラの華奢で小柄な身体をきつく抱きしめた。
「ひあっ……、ああっ、ヴィンセントっ……」
ライラは腕をヴィンセントの首に巻きつけ、彼を抱きしめ返す。
そうしないと気持ち良すぎてどうにかなりそうで怖かった。
「あっ……、あああっ、んあっ……、ふあっ」
部屋には、ふたりの荒い呼吸音、肌を打ちつけ合う音、じゅぷじゅぷという卑猥な水音、ライラの甘い嬌声が響いていた。
「ああっ……、あんっ、あっあっ……」
愛液が泡立つほど中をかき混ぜられ、感じやすいところを執拗に突かれ、ライラは気持ち良すぎてもう何が何だか分からなかった。
「あんっ、い、く……、ああああっーーーーー」
「っ……」
その瞬間、ふたりは同時に達した。
ライラの背はしなり、身体は痙攣し、汗を吹き出して寝台に身体を沈ませた。
ヴィンセントはライラの中の一番奥で白濁をたっぷりと吐いた。
絶頂の余韻でライラはぼんやりしていたが、彼と話さなければとはっとした。
このままでは流されてしまうだろう。
「ヴィンセント、話を……」
「……何を話すことがある」
それまでずっと何も喋らなかったヴィンセントが言葉を発した。
抱きしめ合っているので顔はわからないが、声は冷たく、いつもより低い。
彼に何があったのかは知らないが、今彼と話さなければ、彼の精神状態に良くないだろう。
ライラはそう言おうと唇を開きかけたが、ヴィンセントが先に言葉を紡いだ。
「お前に口づけできるのも、お前の中に入ることができるのも、俺だけだ。俺がいつもどれだけお前に心をかき乱されたか、お前にはわからない。俺は、お前を誰にも取られたくないだけだ」
話すことなどない、と言いながら、ヴィンセントの愚痴は止まらなくなる。
ライラは呆気にとられ固まった。
……うん?つまりそれはもしかして。
違ったら甚だしく恥ずかしいが。
ライラはヴィンセントの愚痴を遮った。
「もしかして私のこと好きなの?」
途端、彼の愚痴はぴたりと止まった。
黙りこむ彼に、ライラは優しく言う。
「ねえ、顔見せて」
ライラは自分の身体から彼の身体を離れさせた。
ヴィンセントはライラの首の横に手をつき、四つん這いになる。
彼はいたたまれなさそうな顔をしていた。
「……ああ。お前が好きだ。愛してる」
ヴィンセントはやっと白状した。
大方、私が街で絡まれていた時に嫉妬していたということだろう。
何だそういうことだったのか。
ライラがそう思うと、肩の力と緊張が抜けてきた。
ライラは、仕方ないなあ、と苦笑した。
「そうならそうだと、先に言ってくれたら良かったのに。それに、八つ当たりはだめだよ」
彼女はそう言いながらヴィンセントの額を指で弾いた。
ヴィンセントは不意打ちに驚いた様子を見せ、額に手を当てて痛がる。
「……すまなかった」
しっかりと聞こえた彼の謝罪に、ライラはくすりと笑った。
ヴィンセントは、勉強も運動もできて人望もある完璧なひとに見えていたが、実際はこんなに不器用だったのだ。
いや、もう十年の付き合いなのだから知ってはいたが、まさかここまでとは。
八つ当たりは悲しかったけれど、愛おしさがこみ上げる。
つくづく、仕方のないひとだ。
ライラはヴィンセントの両頬を手で挟み、唇に軽く触れるだけのキスをする。
ヴィンセントは切れ長の目を見開いた。
すぐにライラの唇は離れ、彼女の頭が寝台の上に戻る。
「続きしようよ」
ライラが照れながら言うと、ヴィンセントはさらに目を見張った。
「このまま終わるつもり?」
彼は固まり、かと思うと目元を手で覆ってはーっと長く息を吐く。
「……お前が煽ったんだからな」
止められないぞ、と加える彼に、ライラは嬉しそうに笑って頷いた。