横浜の闇市。ポートマフィアが長年にわたり収集した数々の呪物が眠る秘密倉庫で、異変が起きた。ある夜、警備員が何者かによって倒され、禁じられた呪物の一つ「希望の欠片」が持ち去られた。
その翌日、横浜の街に突如現れたのは、「頑張る」と名乗る謎の異能者だった。全身に呪物の力を宿し、圧倒的な異能のパワーを持つその存在は、ただの名前の軽妙さとは裏腹に、街を次々と破壊し始めた。
夕暮れ、ポートマフィアの本部に報告が入る。謎の異能者が一夜にして街の3区画を壊滅させ、被害は甚大。幹部たちは状況を把握するために動き出す。
「中也、行くのか?」太宰治がふざけた口調で問いかける。
「当然だ。」中原中也は帽子を深く被り直しながら答えた。「こんなふざけた名前の奴に、好き勝手させるわけにはいかない。」
夜の港、そこには瓦礫の山と共に佇む「頑張る」の姿があった。全身から異様な黒いオーラを放ち、彼の存在そのものが呪物の力そのものと化していた。
「お前が『頑張る』か。」中也が静かに問いかける。
「僕が『頑張る』!」と、異様にハイテンションな声が返ってきた。その姿勢は軽薄だが、周囲に漂う不気味な殺気が尋常ではない。
「そのふざけた名前にしては、派手に暴れてるな。」中也が冷静に分析する。
「名前なんて関係ないさ。僕は頑張ってるだけだよ!」頑張るが笑いながら地面を踏み鳴らすと、黒いオーラが広がり、周囲の建物が崩壊していく。
「…だったら、俺も全力で叩き潰すまでだ。」中也は冷たい目で呟き、足元の重力を操りながら跳躍する。
中也の重力操作と、「頑張る」が放つ呪物の力が激突する。頑張るの異能は、あらゆる攻撃を吸収し、さらに強化して放つという厄介なものだった。中也が放った重力の衝撃波を、そのまま吸収し、増幅して返してくる。
「…こいつ、面倒だな。」中也は額の汗を拭いながら、相手の能力を冷静に見極める。
「もっと頑張れるでしょ、中原中也!」頑張るは異様なハイテンションで叫びながら、さらに巨大なエネルギーを放出した。
しかし、中也は一歩も引かない。重力操作で自身の身体能力を高め、圧倒的なスピードで接近すると、拳に重力を宿して頑張るに打ち込む。
「お前の『頑張る』なんて言葉遊びに、誰が付き合うか!」中也の拳が頑張るの顔面を捉え、衝撃波が辺り一帯を吹き飛ばす。
激しい戦いの中で、中也は頑張るの正体が呪物「希望の欠片」から生み出された存在であることを知る。その力の源泉は、呪物を使った者の「願い」が込められているという。
「つまり…誰かの『頑張りたい』って願いが、お前を生み出したってわけか。」中也は呆れたように呟く。
「そうだよ!僕は人の願いの結晶だ!でも、それを超えるために頑張り続ける!」頑張るは異能をさらに強化し、最後の大技を繰り出そうとする。
「…だったら、その願いごと叩き潰してやる。」中也は目を細め、全力で重力を解放する。
中也の全力の一撃が頑張るを打ち破り、呪物の暴走は鎮圧された。しかし、倒れる寸前の頑張るは静かに呟く。
「僕の…頑張りは…間違ってたのかな…?」
中也はその言葉を聞き、ほんの少しだけ沈黙した後、冷たく言い放った。「間違ってたかどうかは、もう関係ない。お前が消えた後も、俺たちは『頑張る』んだからな。」
そう言い残し、呪物は完全に力を失い、頑張るは消滅した。
戦いが終わり、横浜には再び静けさが戻った。ポートマフィアのメンバーたちは、それぞれの任務に戻りつつも、どこかに「頑張る」という存在が残した不思議な余韻を感じていた。
太宰は冗談めかして言う。「中也、君も少し『頑張る』を見習ったらどうだい?」
「ふざけるな。」中也は肩をすくめて答えたが、その表情にはどこか達成感が漂っていた。
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