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羽仁 黒鵺(ハニ クロヤ)


俺は結局、最期まで守りきれなかった。こんな俺に寄り添ってくれた、大切な人を。


俺には元々、双子の弟がいたんだ。「羽仁 白夜」

大切な弟だった。まだ、幼稚園の頃だったろうか。お父さんがもうすぐ帰ってくる。俺達兄弟は、隠れておこうと思った。ちょっとしたイタズラだった。きっとお父さん、心配してあたふたしちゃうんだろうなって。弟が隠れる場所に困ってたから、教えてやったんだ。洗濯機の中が良いって。服を取り出す時の顔はきっと間抜けだ。腰も抜かしちゃうかも。


でも、間抜けだったのは、俺だった。


弟は死んだ。お父さんは気づかないまま、洗濯ボタンを押したらしい。洗濯機のドラムは回っていた。カタカタという音に、嫌な胸騒ぎがした。慌ててフタを開けた父さんの顔、今も夢に出るんだ。ぐったりとした小さな体が、ぬれた服に挟まれていた。中で何度も叩きつけられ、窒息死。日本でも、超稀にある事故だそうだ。すっごい喧嘩してた。うるさくて全然寝れなかったよ。いや、寝れなかった理由は、そうじゃないな…

お母さんとお父さんは離婚しちゃって、俺はお母さんの方についていった。俺はお母さんには、全部知らないと言った。俺のせいなんてバレたら、怒られちゃうと思った。このことは、隠し通さなきゃいけなかった。


その日から、俺は真面目な男の子になった。お母さんに怒られないように、テストは毎回良い点をとって、宿題も全部やった。わがままも言わなくなった。お母さんは元気なく、毎日ぼーっと生きていた。だからせめて、怒らせないようにしてたんだ。もう、自分の思い通りに動くこともやめた。


なんでかな。その罪も、全部忘れちゃってた。

あの頃の俺に戻ってたんだ。喧士が持ってるライターを見て、つい思いつちまったんだ。俺だけが上手く使える。そう思っちゃったんだ。自分勝手に動くのは、やめたはずなのに…


なぁ、俺思い出したんだぜ。我俺僕 私俺。真面目な俺にできた、唯一の親友だったこと。

俺の罪は、無垢な殺人だった。

俺は赦されてはいけない。

俺は、お前の業火に一生燃やされるべきなんだ。

お前の、罪の炎に、火葬されたいんだ。

ははっ。これも、自分勝手な考え方だ。

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