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いつの間にか、寝ていたみんなが騒ぎに駆けつけていた。惨たらしい肉塊を見て、泣く。叫ぶ。吐く。屍を中心に、各々が騒いでいる。
喧士「し、私俺が化け物になって、黒鵺をこんな風にしたんだ…」
みんながその声に顔をあげた。
蘭々「な、何言ってんだよお前!!」
久遠「…いえ、彼は本当のことを言ってるわ」
灯「いや、意味わかんねえよ…」
菖蒲「ほ、ほほ本当に死んじゃったんですか?」
猟「どうなってんだよ!!」
みんなが目を震わせ、混乱している。そんな中、1人の少女が呟いた。
澄「”記憶寄生呪“またの名を、ヒモトキ。」
彼女は周りの視線を気にせず、語り続けた。
澄「書籍の本に記されていたわ。人の記憶を奪う呪い。更には記憶を取り戻した時、脳が破裂し異形となり理性を失う呪い…簡易的に行える代わりに、その記憶の断片が周囲の物に宿ってしまう。この屋敷に私達に関する物があるのは、それが原因でしょうね。」
みんながその話しを聞き、唖然とした。
猟「…ふざけてんのか?呪いとか、そんなもんあるわけねえだろ。」
澄「じゃあ、他に何があったの?この事態は、他では説明がつかないわよ。」
みんなの騒がしい口が、塞がってしまった。おそらく理解した。それは嘘でないと。
喧士と灯のふたりが、死体を部屋の押し入れにしまった。 無理やり。見なかったことにするみたいに。 でも、どうしたって無理だった。
焦げた肉と、蒸された内臓の臭いは、押し入れを越えて部屋中に充満した。私達の中で、その部屋は立ち入り禁止だと暗黙の了解が広がった。
私は、上手く寝付けなかった。私達は呪われてしまっていること。記憶を取り戻そうとすれば、人間ではなくなってしまうこと。…私はこの手で、かつての仲間を刺したこと。頭を抱え、疼くまってしまった。夢であってほしい。私の淡すぎた期待は、叶わないことくらいわかっていた。記憶が戻ってこなければ、私達は帰る場所も分からないじゃないか!!最悪な現実とジレンマだ。
屋敷にいるのは残り11人。…本当に、まだ全員が“人間”のままでいるのなら、だけど。