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鳳 咲千愛@企画開催中
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なみ
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コメント
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ジェニの反撃、すごく良かったです!CEOの高圧的な態度に物怖じしない強さが眩しかったし、「鈴木君」の名前がうっかりバレる照れ具合も可愛くて笑いました。怒りから興味に変わるCEOの表情の変化が、この先の恋愛を予感させてドキドキしますね。続きが気になります🖤
外の強風でジェニの洗い立ての肩まであるデジタルパーマの明るい色の髪が、強風にあおられ、顔にまとわりついた、そのせいでジャガーの運転席から降りて来た男性の姿が良く見えない
「本当に申し訳――」
「なんだ!あの運転はっ!自殺するつもりなら他を当たってくれっ!」
ジェニが沈んだ口調で謝ろうとしたら、怒りがこもった男性の声に遮られた
「いったいどうしたら、あんな正気の沙汰じゃない運転が出来るんだ!」
彼の声はとてもハスキーで威厳があった、ジェニはこの怒り狂ってる男性をちゃんと見ようと、顔にかかってくる髪を片手で押しやった、見た所、兄よりも少し年上な気がする・・・とてもスッキリとした彫の深い鼻筋のハンサムな顔立ちをしている
キッと吊り上がった黒い眉毛・・・有無を言わさぬ独裁的な雰囲気を醸し出している、男性は出勤間際だったのだろう、真っ白のシャツに紺のグッチのネクタイが、完璧な結び目で白のシャツを華やかにしている、今は顎がこわばり、引き締まった顔の中で完全に怒っている黒い瞳が際立っていた
「申し訳ありません・・・」
ジェニはもう一度頭をさげた、横目でチラリとジャガーの左ドアを見てたいした傷ではないと自分を慰めた、あれなら保険の範囲で直せる、みっともない擦り傷が出来ただけだ
「答えろよ!どうしてあんな無謀な運転が出来るんだ!ドラッグでもやっているのか?」
カチンときた、さっきから謝っているのに、顔はハンサムでもこの男性は性格は最悪だ、ジェニは黙って大人しく言われたままの女ではない、兄はいつも気が強くて喧嘩っぱやいジェニが男だったらよかったと言っている
―私は二回謝ったわ、反撃開始―
「怒鳴らなくてもいいじゃない!猫が飛び出してきたのよ、他にどうしようもなかったわ!あなたは轢き殺せと言うの?動物愛護協会が聞いたら何て言うと思う?」
スマホで彼の顔を撮影して本当に教会に送ってやろうかとキッと男性を睨んだ、男性はその言葉をいくぶん疑っているようだった、ジェニは両手を広げて肩をすくめた
「ついでに言うと麻薬常習犯でもないわ!職務質問なら受けて立つわよ!」
今はこの男性の瞳はさっきみたいに怒りに吊り上がってはいないが、腕を組み、はじめてここでまともに反撃しているジェニの顔を好奇心旺盛に見つめていた、彼女の髪を舞い上がらせていた風も収まって、今二人はじっとお互いの顔を確認し合っていた
男性が下から上へじっくりジェニを見回す・・・肩で波打つ明るい茶髪、知性に光った色素の薄い大きな茶色の瞳、ぽってりと豊かな曲線を描いているピンクの唇
すっぴんだがジェニの同僚の美容オタクの藤子に言わせれば、ヒアルロン酸を打たなくても、ジェニの唇ほど上唇がぽってりとした、血色の良い唇をしているのは日本人では珍しいそうだ
卵型の輪郭は年齢よりも幼く見え、ほっそりとした肢体は手足が長く、肩は華奢でバランスが良い
今朝のジェニはぴったりとした白いTシャツに、グレーのショートパンツから、コンバーズのハイカットの間は健康的で綺麗な素足が露わになっている、そんなきゃしゃで長身の彼女は、車をぶつけてこなければ素敵な雰囲気を醸し出していたはずだ
男性の表情はさっきよりもいくばかりか穏やかになった
「猫なんか見なかったけどな」
「でも確かにいたわ、嘘なんかつかないわ、いずれにしてもご心配はいりません、保険に入ってますので修理させていただきます 」
ジェニは片眉を上げて言った
「あなたのお高そうなお車を!」
「よくぞやってくれたよ、この車は今日納車したばかりなんだぞ!あそこでハンドルを切らずにブレーキを踏めばよかったじゃないか」
ジェニはポケットからスマホを取り出し、じれったげに言った
「それで済めばとっくに私もそうしていたわ!これで無事故割り戻しオプションプランが無駄になったわ、でも被害をこうむったのが生き物ではなくてよかったと私は思っています!傷ついたのが納車したばかりの金属のかけらだったのがせめてもの救いよ」
「ただの金属の欠片じゃない!これはジャガーだ!」
そして男性がにやりとした
「君のは金属のかけらだけどな 」
ムッカーッとジェニは鼻にシワを寄せた、この男性は顔はハンサムだが心が腐りきっている、謝って弁償するって言ってるのに、何よ!その態度
「言っておきますけど!「鈴木君」は確かにボロいけど、とっても良く走るし、あなたみたいに少しの傷でも大騒ぎしないわ!鈴木君にしたら傷も勲章よ!」
「鈴木君?」
一瞬男性が面白そうに口角を上げた
「君は自分の車に「鈴木君」と名前を付けているのか?」
しまった!
自分の言ったことに気づき、ジェニは首の付け根まで真っ赤になった
これも藤子が悪い、最初にジェニの水色のラパンを「鈴木君」と名付けたのは藤子だからだ
コピーライターの藤子は自分の持ち物すべてに名前をつける、そんな藤子が納車されたばかりのラパンを見て「ラパンと言うより鈴木君の方が似合っている」という鶴の一声で社員が全員ジェニのラパンを「鈴木君」と呼ぶようになったのだ
うっかりそれを何の気なしにバラしてしまった、これで完全に「頭のおかしい女」と思われたに違いない
コホンッ・・・と咳をして背筋を伸ばして澄まして言った
「ええ・・・鈴木君です、なにか?最近はみんな車に愛称をつけて呼ぶもんじゃありません?流行ってるんですよ、インスタで見たことは?」
まるで世間のみんながしている常識よ、とでも言いたげに澄ましてみた、相変わらず男性は不審な目つきでジェニを見る、このままでは職務質問が始まる勢いだ
そうこうしていると時間が気になり、スマホの時計を見た
―大変!早く出勤しないと会議の準備が遅れちゃう!これじゃまったく早く家を出て来た意味がない―
「あの!私急いでいるんです!」
「こっちもだ!」
「明日修理費がどれだけかかるか連絡して下さい、さほど高くなかったら保険会社に請求しなくて済むかもしれませんから 」
片手で髪をかきあげ、スマホを彼に見せた、自分の財政状況に思いをめぐらせて落ち込みそうになったが、この人に貧乏だと思われなくないので胸を張って言った
「はい!QRコードを出してください、ラインのID交換してください」
男性はピンクと紫の蝶々の羽のバカでかい、ジェニのスマホケースをチラリと見た、ジャラジャラとスマホケースのチェーンがジェニのポケットに繋がっている、そんなド派手なスマホケースを見て、また男性が眉をしかめた
「オーケー・・・明日話し合おう 」
そう言って二人はLINEのIDを交換した、ジェニは車に戻ると、さっきの男性のLINEを見た、すると侍のアイコンにコメントが一言「一日一生」と書かれていた
「何これ?」
すると車内の窓から塀にのぼって黒猫がこちらをじーっと見つめているのが見えた、その金色の大きな目がジェニを見つめているジェニはウインドウを下げて黒猫に人差し指を掲げて忠告した
「これからはもっと気を付けなさい!私だったからよかったものの、命がいくつあっても足りないわよ!いい?道路を渡る時は右見て!左見て、車が―」
「車に名前をつけるだけじゃなく話かけもするのか?」
真横にきた「一日一生」がジャガーのウインドウを下げ、恐ろしいものでも見るように、目を見開いてジェニに言った
「猫に言ったのよ!」
ジェニは塀を指さして言った、彼はジェニの指先をたどって塀を見たがもう猫は消えていた、男性は頭を振って、何やら小声でブツブツ言っている。よく聞き取れなかったが
「やっぱりおかしい」とか「顔は美人なのに気の毒だ」と言ったのだけは聞き取れた
ジェニはツンと顎を上げ、鈴木君を発進させて腹立ちまぎれにジャガーを追い越してやった