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岡田一家の華ちゃんは社長のおかげで声帯を保護することができた。私達は岡田一家から事務所へ帰る途中であった。社長の車の中、ほんのりとした優しい花の匂い。この匂い好きだ。 …? 私は何を思っているんだ。社長を好きになったか??そんなわけない、事務所や私と一緒ならあんなにもだらけている社長に?仕事場とのギャップ…ってこと?いやいや絶対にない。確かに顔は普通よりはイケメンだけど、こんなイケメンで私と同い年ってことが気に食わない。私は2000年生まれの24歳、4月20日誕生日…(この物語を書いたのは20252月頃です。)社長は遅生まれで2月…くらいが誕生日だったと思う。だから、社長が24歳になったとしても私と同い年で要られているのはたったの二ヶ月…、ほぼ私が1個上じゃん。
っていうことを社長の車の助手席で悩んでいた。
「米田君、大丈夫?」車のルームミラーで私の方を見ていた。おそらく私がなにか悩んでいるのに心配したんだろう。
「あっ、大丈夫です。少し悩み事を…」変なことで悩んでいるのに恥ずかしくなり、ルームミラーから覗かれているような社長の目を直視できなっかった。
「悩み事?僕に話してよ」え。私はココロの中で固まっていた。
「もしかして、彼氏に振られたとか?あ、こんなのってパワハラって言うんだっけ。」ほんとその通りパワハラですよ。まぁ、悩んでること自体は全然違いますけど。
「私、彼氏いませんし。そんな悩み事じゃありません。」きっぱりと誤解を解くために答えた。
「ん〜。 もしかして事務所辞めようとしてる!? 」ルームミラーから伝わってくる視線で訴えかけようとしているモノがちゃんと伝わった。
「違うことはないですけど、やめませんから。」毎日毎日辞めようかって考えてるっちゃ考えてるけど…ね?
「辞めないなら良かったけど。なら、何に悩んでるの?」
「プロの精神科が聞いてあげるからさー」精神科…だけど、私の“年”ってだけの悩みで相談していいの?迷惑じゃない?
「いいです。しょうもない悩みなので。」今度はルームミラーの映る瞳を見て答えた。
「しょうもないって〜、そういう小さい悩みが蓄積して声が出なくなったりするんでしょ〜。」小さい悩みか、小さすぎるでしょ。蟻に踏まれるくらい小さいわ。
「ほんとにしょうもないので。」私はルームミラーを見てみたけど、赤信号は青に変わり社長は安全のため前方を見ていた。
「え〜、しょうもなくても聞くのに〜。」いつもの社長の口調だ。伸ばし棒がうねっているような喋り口調。
「いいません。」きっぱりと断った。わかりやすくふてくされてる顔がちょっと可愛い。
私たちは他愛のない話をして一時間半かけて事務所に戻った。
「はぁー。ただいまですー。」事務所に帰ってきた安心感からなのか、仕事スイッチが切れて相談者用のソファーに座り込んだ。
「疲れたね。コーヒーいるかい?」あたたかそうなジャケットを脱いでいる社長は私に問いかけていた。
「はい!ミルクたっぷりの砂糖マシマシで!」私は基本的に苦いものが嫌いだからいつも甘いのを社長に作ってもらっている。社長は砂糖も砂糖も入れない黒のブラックだけど。
「いつもどうりね。」と社長が言うと数分後にコーヒーのいい匂いがしてきた。
「どうぞ。キムタクのスペシャルブレンドだよ〜。」キムタク…今朝話していた話題が脳裏に思い出され思い出し笑いしてしまった。
「そんなにキムタクって面白い?」私は笑いながらもこくこくと頷いた。
「米田君が笑ってくれるならいーけど。」社長もくすっと笑った。
二人で社長の名前の話をしているときだった。
“プルルルルル”事務所用の固定電話が私達のことを呼んでいた。
社長は電話の方に目を向け、電話に出た。今から仕事なんて嫌なんだけどな、もうあと30分で定時の6時。どうかご依頼の電話じゃありませんように!
「はい。こちら声帯精神科の木村です。」先ほど話していた声とは全然というほど違う“仕事用の声”だった。
「こんばんわ。???さんですか。〜〜〜。ーーー?ー、〜〜ー。」どうやら社長の態度から知り合いらしい感じがコーヒーの香りとともに漂っていた。
「わかりました。“今から”伺います。」今から!?あとちょっとで帰れるって思ってたのに…。社長は今の時代とは大違いの固定電話の受話器をガシャンと戻していた。
「米田くんも聞いてたよね。」これに対しては、こくと頷くしかなかった。言い逃れも何もできないからだ。
「はい…」とぼとぼと用意をし始めた。
「よし。行こっか。」さっき着ていたジャケットが休みたがっているというのに。可哀想だ。
「多分だけど早く終わると思うから。」私の態度を見てわかったのか、社長は言葉を掛けてくれた。
「わかりました。」吐息を漏らした声がしょんぼりしているようだった。
「お名前はなんですか?」
「えーと、柴田さんだね。」社長は資料を覗き込んでいた。
「またですか?3回くらい発症してません?」そう。柴田さんはこの精神科の常連さん。精神科の常連なんて褒め言葉じゃない。
「うん。今日で4回目。」と話しがらうちの事務所から10分もかからないところにある柴田家についた。
“ピンポーン” 私はいつもどうりのごとくインターホンを鳴らした。
「こんにちは。先程ご連絡いただいた声帯精神科です。」インターホンごしに話した。インターホンからは何も帰って来ない。
「… ありがとうございます。」機械音のような女性の音が聞こえた。柴田さんはいつもこんな感じだ。もし声がでなくなった場合に入力したら音声が流れる機械を持ってる。でも社長がこの機械を進めたのだ。それは、社長がぶり返すような患者だと考えたから。特にネガティブな人とか、自律神経が乱れてる人はぶり返し起きやすい。社長が私に言ってくれたこと。このことは、私にとっても患者にとっても、大事にしていかなくてはいけないことだ。
“ガチャ” 柴田さんが住んでいるアパートのドアを重そうに彼は開けた。ぺこと小さくお辞儀をした。
「お久しぶりです。柴田くん。」社長がお辞儀をしたあとに呟いた。
「こんにちは。えっと…私のこと覚えてます?」正直心配だった。私は直接彼とはあまり話したことがない。いつも受診(?)をしているのは社長だったし、私は横で資料に書いているだけだったからだ。
彼はこくと頷くだけだったけれど、そこには感情がちゃんとこもっていた。
ここで第三話を終わります。変なところで終わってしまい、申し訳ありません。 2/14時点200いいねありがとうございます!
この物語はフィクションです。