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静かな夜だった。
グループのスケジュールも一区切りがつき、全員がそれぞれの部屋に戻ったあと。
こさめはひとり、窓辺に座って外を眺めていた。
🎼☔️「……ねえ、なつくん。
番って、ほんとに“運命”なのかな」
手のひらには、なつからもらった番の証のブレスレット。
だけど、心のなかには別の誰かの笑顔も、優しさもあった。
🎼☔️「すちくんの手、あったかかったな……
でも、それって“いけないこと”なのかな……」
こさめは自分の膝を抱えた。
誰かを選べば、誰かが傷つく。
けれど、選ばなければ──誰も救えない気もする。
⸻
そのころ、練習室に残っていたのは、みことだった。
鏡越しに自分を見つめながら、ゆっくり深呼吸をする。
🎼👑「……はぁ、なんでだろ。
俺、最近すちくんの顔ばっか浮かぶ」
目を閉じると、ふんわり笑うすちの顔が思い浮かぶ。
🎼👑「優しすぎんだよ、あの人。
……俺だって、本気なのに」
ふっと笑ってから、ポケットからスマホを取り出す。
まだ開いていない、こさめとのグループチャット。
その画面を見つめたまま、呟く。
🎼👑「こさめちゃんも、すちくんも、なっちゃんも……
全部まっすぐすぎて、ちょっとずるい」
🎼👑「でも、俺も。
ちゃんと戦う。
“俺の気持ち”くらい、自分で守らなきゃ」
その目は、いつになくまっすぐだった。
⸻
翌日、事務所の前でバッタリ鉢合わせたのは、すちとみこと。
🎼🍵「……あ、みこちゃん」
🎼👑「すちくん。……おはよ」
一瞬だけ、ぎこちない空気が流れる。
🎼👑「昨日のこと、考えてたんだけど。
あたしじゃなくて……俺を、ちゃんと見てほしい」
🎼🍵「……え?」
🎼👑「俺は、“こさめちゃん”じゃなくて、
“すちくん”が、好きなんだよ」
言葉の温度が、まっすぐに届いた。
それはすちの中で、ずっと忘れていた感情を刺激する。
🎼🍵「……みこちゃん」
🎼👑「名前、呼んで。ちゃんと、俺を見て」
静かに、だけど力強く告げるその声に、すちは目を細めた。
🎼🍵「うん……みこちゃん」
その声には、少しだけ震えがあった。