テラーノベル
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岩本が自信満々に提示した【作戦名:想い出の場所(エモ)で語り合え大作戦】。しかし、そのあまりにもエモーショナルな作戦に、即座に康二から待ったがかかった。
「いやいや、ちょっと待ってや、照兄…!」
康二が、焦ったように声を上げる。
「それでもし、さらに状況が悪化して、その“想い出の場所”さえも、二人にとって悪い思い出になったら、どうすんねん!そんなん、俺、二人に申し訳なさすぎるわ…!」
その慎重な意見に、阿部が反論する。
「でも康二…今はそれ以外に、有効な方法があるとは思えないよ…」
「そうだよ康二!俺とひかるが喧嘩した時だって、昔よく行ってたラーメン屋で話して仲直りしたし!」
深澤が、自分の成功体験を例に出すが、それにラウールが冷静にツッコミを入れた。
「でも、それはひーくんとふっかさんだから上手くいったんだよ!お二人は、ちゃんと本音でぶつかり合えるタイプだったでしょ?」
「まぁ…そうだけど…」
岩本も、少しだけ歯切れが悪くなる。
「じゃあいいじゃん!きっとゆり組もそうなってくれるって!信じようぜ!」
ポジティブ思考の佐久間が、楽観的な意見を口にするが、目黒がそれを静かに否定した。
「…いや、難しいと思う。翔太くんは、言いたいことと、本当に伝えたいことが、いつも全部違う方向に行っちゃうから…」
「せやろ!?めめの言う通りや!舘様も、その言葉を全部、真に受けてしまう性格やから、余計にこじれるんやって!」
康二が、目黒の意見に強く同意する。
議論は、完全に平行線だ。阿部が、少し苛立ったように言った。
「じゃあ、康二は何か代案があるの?それ以外に、何かいい方法があるなら言ってみてよ」
「いや…ぁ…ごめ…」
強く言われた康二は、シュンとしぼんでしまい、言葉に詰まる。
作戦は、決行か、中止か。
会議は、まとまるどころか、紛糾の一途を辿っていた。7人の男たちは、頭を抱える。たった二人の幼馴染を仲直りさせるというミッションは、想像以上に難易度が高いものだった。
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