元貴side
時刻は22時50分。
僕はスタジオにいる若井に“早めに上がる”と
伝えて、スタジオを後にする。
早めに上がるなんて滅多にしないから、
若井は少し戸惑っていたけれど、
脇腹の調子が悪いと思ったのか若井は
“気をつけてね”と言って僕に手を振ってくれた。
騙してごめん。
でも、やっと、彼奴に復讐できる。
僕はスタジオまで運転した車に乗り込んで、
23時まで待機する。今日の24時30分に
渋谷の〇〇交差点で通り魔が出るという噂が
SNSで流れているのを見て、
僕は実行することにした。
あの交差点まで1時間25分かかる。
23時に運転し始めれば、ジャストタイミングだ。
僕は顔を見られないように黒いパーカーを着て、
深くフードを被る。噂の24時30分に、
あの交差点に行って、
容疑者を、母さんと父さん、涼ちゃんを
殺した彼奴を、持ってきた刃物で殺す。
スタジオにいた時の服装とは反対に、
黒のズボンに黒のパーカーを着た。
後はミセスの大森元貴だって気づかれない
ように、センター分けだった前髪を前に下ろし、
顔を隠す。黒いマスクも付けるつもりでいる。
これで、バレないでしょ。
周りの皆を傷つけずに、彼奴に復讐する方法。
時刻は23時。僕は車のエンジンを付けて、
夜の渋谷の街を走らせた。たくさんの街灯に、
背の高いビルが連なっている。
他の人を巻き込まないように、集中しないと。
僕は噂の交差点に路駐する。
時刻は23時25分。よし、計画通り。
これで後5分待機して、犯人らしき人を殺すだけ。
大きく深呼吸をして、自分を落ち着かせる。
頭の中は復讐することでいっぱいなのに、
鼓動が早くなっていくのが分かる。
大丈夫、僕なら殺れる。
僕がふと目の前の光景に目をやった時、
あの日と同じ服装の男性が見えた。
後ろで手を組んでいて、
手の中には白く光る刃物が見えた。
僕は車から降りて彼奴の元へ走った。
彼奴と目が合った。
彼奴は何が何だか分かっておらず、
同様して隠していた刃物を見せびらかして
しまっていた。
あ〜あ…笑 人生詰んじゃったね…笑
まぁ、
僕がお前の人生を地獄に堕とすんだけどね笑
僕は隠していた刃物で彼奴の腹部を深く刺した。
彼奴の腹部から勢いよく血が吹き出す。
僕の顔に彼奴の血がかかる。
周りからはたくさんの悲鳴が聞こえてくる。
心配しないで。僕が殺すのは此奴だけだから。
僕は走って路駐した車に乗り込み、
勢いよく車を走らせた。
やっとだ…やっと、復讐できた。
達成感と、なぜか分からない後悔に包まれる。
後悔なんてないはずなのに。
僕は乱暴に車を走らせ、
なんとか僕の家の車庫の中に車を停めた。
誰も追ってきてない。
僕は真っ暗な車の中で元の服に着替え、
血の付いた服をゴミ袋の中に入れ、
カバンの中に深く入れた。
僕は家の中に入って、SNSを見た。
やはりニュースの1番上には父さんと母さん、
涼ちゃんのニュースがあった。
その下には、
“渋谷交差点 通り魔事件 2人の通り魔”
というニュースがあった。
開いてみると、今日、僕が殺した犯人の個人
情報、殺した時刻、僕の服装が書かれていた。
コメントには、
“全身黒じゃん…怖…”
“学生っぽい”
などがあった。
僕の身長がこんなところで役に立つなんて…笑
やはりミセスの大森元貴が通り魔なのではと
いうコメントは一切無かった。
笑いが止まらなかった。
やっと彼奴を殺せた。
復讐完了〜笑
完遂(かんすい)
→物事を完全にやり遂げること。
次回最終話
皆様の感想をお聞かせください!( .ˬ.)”
コメント
13件
……なんか…嫌な予感が………もっもしかしてわk………あら?…こんな時間に誰かきたようだわ…
なんかもっくん復讐するために♡♡♡た犯人って身近な人な気が…涼ちゃんとかお母さんお父さんからしたら復讐なんてことしたら悲しむのでは?と感じた!!
… 憶測 ですが 、 刺していたのは 若井 … なんじゃないかな 。 と 思いました 。 多分 違いますけど ! 元貴 くん を 支配 したくて 、 なら 居なくさせればいい。と 思った … から … と 思いました っ 憶測 (?) ですので 全然 … 当たらないと思いますけど 、っ 笑