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らだ。別にまたなくたって話せるけどそれはなんか周りの目が気になって、まともに会話できなくなる。だからこれでいい。でも今日は、寝られなかった。いつもならこんな授業退屈ですぐに寝てしまうのに。結局真面目に(ほとんど聞いていない。)授業を受け、クラスメイトの気配がなくなるまで寝たふりをする羽目になった。 そろそろ大丈夫そうだ。ゆっくりと目を開き、時計のほうを見る。いつものルーティーンだ。時刻は5時。少し早すぎたか。まあもう起きてしまったんだし、今更後悔しても遅い。そして後ろを振り向く。そこにはやはり彼女がいた。
「忽那さん。今日もいいかな。」
「いいけど君、今日は寝てなかったね。わざわざまたなくても、すぐに話にこればいいのに。」
しまった。気づかれていた。みんなの前で話すなんてできっこない。何か言い訳を考えないと。
「えっと、寝てはなかったけど、眠かったから。それに、みんないると話しづらいかなーなんて思った。」
「そう。で、今日は何?」
「いや別にこれといった話はないんだけど。あ、そうだ。星が好きなんだよね。」
「まあ、大体は。それで?」
「なら、普段から星を見たりするのかなって。」
「いや、別にしないけど。」
「え、そうなの?だったらプラネタリウムとか?」
「なんだっけそれ。なんかの施設だっけ。」
「知らないの?あの丸い天井に星の映像を映し出すやつだよ。」
「あ。それね。忘れていた。」
「てっきり、よく見ているものだと思っていた。」
ここまでいったところでようやく違和感に気づいた。この違和感の答え合わせのための質問を1つしてみる。
「えっと、なら休日とかってなにしているの?」
「基本的には勉強。図書館で1日過ごすことがほとんど。」
やっぱりだ。彼女は友達と遊ぶことはおろか、家族、一人でさえ遊ぶということをしていない。彼女は生きるための最低限の生活と、天文学者になるための勉強のふたつしかないんだ。夢を否定したいわけではないけど、記憶の消えている彼女にとってその夢はあまりにも高い壁だ。夢を持つのはわるくはないけどそのためにほかのすべてを犠牲にするのは、あまりに残酷だと思う。そうだ。彼女を遊びに誘おう。誰かと遊ぶ楽しさをしれば、彼女も高校生らしい生活が送れるかもしれない。 どこがいいだろうか。
「じゃあさ。今度時間があるとき、一緒に遊ばない?忽那さんの行きたいところでいいよ。」
「まあいいけど。だったらプラネタリウムがいい。」
「わかった。今週の土曜日はどう?」
そうして、遊ぶことになった。連絡先は交換できなかったので集合場所をきめて待ち合わせることになった。