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6 - 星の瞬きみたいな

♥

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2025年09月03日

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遊ぶなんて久しぶりだし、ましてや女子となんて。ネットでよく調べてから行くことにしよう。緊張でこの日は全く眠れなかった。 待ち合わせ当日。絶対に遅れてはけないと思い30分早く着いたけどさすがに早かったか。身だしなみを整えつつ、忽那さんを待つ。そして20分後、彼女が待ち合わせ場所に来た。

「おまたせ。じゃあ行こう。」

 当然話しかけられてびっくりした。思えば向こうから話してきたのは初めてだな。というか、いつも学校で見ている制服姿とはずいぶん違う様子だ。白いロングスカートに花柄の服。夏にふさわしい、涼しくかわいらしいファッションである。

「服すごく似合ってるね?」

 柄でもないことを言ってしまった。こんな感じでいいんだろうか。

「あ、これ?うちにあったの持ってきた。誰かと出かけるときはこんな感じがいいんだって。昔の私が買ってたみたい。」

「そうなんだ。よしいこう。」

 記憶喪失のことを話されるとどう返してあげればよいかわからない。励ませばいいのか。気にしないほうがいいのか。彼女がどこまで気にしているかわからない以上あまりふれるのは良くない気がする。

 今日見る予定のプラネタリウムはショッピングモールのなかにあるタイプで僕もこのタイプは行ったことがない。でも、おもっていたよりもちゃんとしてそうでよかった。

「今日見るのはこれね。」

 そういって壁にはってあるポスターを指さす。

「うん。知っているよ。いろんな国の景色が見られるんだよね。」

「そう。日本だけじゃなくて世界の星も見ておいたほうがいいと思って。」

 調べておいてくれたのか。あまり乗り気にみえなかったから、うれしい。

 予約しておいたチケットをスタッフに渡し、中に入る。中は思っていたような構造で真ん中に星を映し出す大きなプロジェクターある。僕たちは席に着き始まるまで待った。

「そういえば、どうしてそこまでよだかの星がすきなの?」

「昔読んだんだ。それをすごく覚えていて。あれは私が私であるための唯一のものだから。」

 心から言っているように聞こえるのに、どことなく違和感を感じる。本心のようでそうじゃないような、不安定な感じ。これも記憶喪失の影響なのだろうか。

 「それ本は本当に君にとって大切なんだね。」

 「うん、私のタカラモノ」

「あ、そろそろ始まるね。」

 あたりがより一層暗くなり、天井に光が映し出される。久しぶりに来たけどやっぱりきれいだな。彼女はどうおもっているのかな。暗くて顔ははっきり見えないけど楽しんでくれているとうれしいな。そうして僕たちは星空を眺め続けた。

「どう、だった?」

「うん。きれいだった。」

「そっか、よかった。」

「この後はどっか行く?まだ時間も早いし。」

「私この後勉強しないといけないから。」

「あ、そうだよね。忙しいのにさそってごめん。」

「大丈夫。勉強になったから。じゃわたしもういくね。」

「うん。じゃあまた学校でね。」

 そうして僕たちは別れた。これは成功したのだろうか。女の子との初めてのデート(デートではない)。なんだかあっけなかった気がする。よし、次もどこかに誘ってみよう。

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