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ーーーーーどうせどいつもこいつも裏切っていく。最初こそ落胆するものの、段々と何かあっても「ああ、こいつもか」と思うようになっていった。そんな自分が本気で人を好きになるとは思わなかった。
入社6年目。前職とは畑違いの仕事に就いて最初は大変だったものの、今ではすっかり慣れたものだ。
宅配業者のドライバーというのは大変な仕事だが、やりがいもある。担当のコースが決まっているのでお客さんの顔も覚えている。
そんな中、同じコース担当同士で新しくできたアパートの話になった。同じコース担当の手越さんにどうやらお気に入りのお客さんが出来たようだ。その人の名前は杉田ゆうさん。東京から来た人らしく背の高い美人とのことだ。手越さんの配達担当の時に荷物があるようで俺はまだ見たことがない。もう一人の担当の桜木さんも見たことがあるという。
「桜木も会った?!あの人美人だよなあ?」
「一昨日配達いきました!美人っすよね!寺田見た?!」
『いや、俺まだなんすよ〜』
今日は俺がそこの地区の配達を廻る。
話のネタに荷物あればなぁ〜…なんて思っていた矢先に…みつけた!その人の名前の荷物だ!!
『今日も荷物ありますよ!手越さんのお気に入りの人!配達行きます?!(笑)』
「まじ?!行こっかな〜(笑)」
手越さんは行きたそうにしていたが、結局自分の担当コースの荷物が多く行けないと嘆いていた。
そんなこんなで最近話題に上がるその「ゆうさん」をやっとお目にかかる時がきた。
午前中の最後。
いつもそのあたりの時間にそのゆうさんのおうちの近くをまわる。
お客さんで綺麗と話題に出る人はほとんどいない。
だから内心楽しみだった。もしそれが不美人でもそれはそれで楽しいなと下衆な気持ちもあった。
『ゆうさん』の家の扉の前についた。
インターホンを押す。
「はーい!」
『宅配便でーす!』
ガチャ。
ドアが開いた。
『お荷物お届けに来ました!』
手越さんのお気に入りだし、悪い印象を与えないように笑顔で顔を見た。
驚いた。
すごい美人がそこに立っていた。
顔立ちのハッキリした美人だった。背も高くスラッとしている。手越さん達が言っていた“この辺にいない感じ”というのはこういう事か。近寄りがたい隙のない感じの雰囲気があった。一瞬気が引けたその時、
「ありがとうございます!」
彼女がそう言いながらにこっと笑った。
さっきまでと打って変わって、とても可愛い笑顔に目が釘付けになった。
「…あの…?」
『あ!!これ荷物です!』
『ありがとうございました、失礼します!』
扉を閉めトラックに戻る。
自分の胸が高鳴るのを感じた。
彼女の笑顔が頭から離れなかった。