普通の新入生が音を上げる全体練習後に、貴也は中島コーチのもとへ向かっていた。
貴也が中島コーチの元へ向かっていく後ろで、貴也の後を付けている男がいた。
その男の名前は、森田という、性格はネガティブだが、その性格とは真反対とも言える体格のセンターバックをポジションとする大柄の男だった。
貴也「コーチ、練習終わったので、止めて蹴るの練習、よろしくおねがいします。」
中島「おお、貴也か!よし今からやっていこうか!ん?おい、お前の後ろにいるのは誰だ?」
貴也「ん?えっとー、君は誰?」
森田「あああ、すみません。自分は森田と言います。すみません、盗み聞きするつもりはなかったんですが、前の紅白戦で君とコーチが全体練習終わったあとに練習するというのを聞きまして、是非自分も参加させて頂きたいなと思いまして、後を付いてきてしまいました。」
中島「お前、ポジションはどこだ?」
森田「はい、自分は小学校からずっとセンターバックをやってきました。ただ、その理由が体が大きかったことと、ボールコントロールが下手だったことが理由で・・・」
中島「なるほど、センターバックか。わかった、お前も一緒に参加しろ。」
森田「あ、ありがとうございます!よろしくおねがいします。」
中島「じゃあ、2人にはボールを止めて、蹴るの練習をしてもらう。シンプルで簡単そうに聞こえるかもしれないが、意外と奥がかなり深い練習だ。あのJリーグを2連覇した川崎フロンターレも実践している同じ練習だ。」
中島「この練習では、特に3つの点をいつも以上に意識して、意識しまくって練習してくれ。」
中島「1つ目は、パスの強度だ。試合中では、緩いパススピードでは相手に取られてしまうかもしれない。なので、早く強いボールを正確に蹴る練習だ。また、受けては同時にトラップの練習にも繋がる。」
中島「2つ目は、パスの言葉だ。相手に対して、どちらの足にパスを出してほしいのか要求しよう。また、パスの出しても瞬時に聞いて、どちらの足に出せばいいのかの判断力の向上にもつなげることができる。」
中島「3つ目は、トラップからのボールコントロールのテンポだ。サッカーでは、ボールを止めた後、素早くコンパクトに足を振る動作が重要だ。なので、その動作をすばやくすることも意識してほしい。」
中島「最初は、戸惑うことも色々とあるだろうが、一旦やってみよう。そして、大事なことはお互いに気づいたことをどんどん相手にフィードバックしてほしい。相手と自分を両方とも客観的に分析することで、自分のプレーをどんどん改善するようにやってみよう。それでは、練習開始。」
貴也は初心者であるため、最初は森田のパスを全然トラップすることができず、さすがのコーチの中島も少し戸惑いがあった。
しかし、2日目、3日目と時間が経つにつれて、みるみると上達していくのがみてとれた。それは森田の献身的なアドバイスがあったことも要因であった。
貴也はスピードだけでなく、足元の柔軟性にも優れていた。
恐らく足場の悪い山登りの経験から、
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好きだな〜、この話