2B視点
9Sと地上に出てきてすぐに司令部から通信が入った
ポッド042「司令部からの通信」
通信が繋がりホログラム画面が表示される
6O「えぇっと…早く通信を……」
2B「どうしたの?」
6O「わわっ!?」
6O「あっ…よかった、やっと繋がった…」
2B「連絡の要件は?」
6O「司令官が2Bさんと9Sさんの安否を…」
急に画面が切り替わり司令官が映った
司令官「無事か2B、9S」
急に切り替わった通信画面に驚きつつも私は答える
2B「はい、A2は取り逃しましたが……両名無事です」
司令官「そうか…」
司令官「…二人には少しの間休暇を設ける」
そう司令官が言った時隣にいる9Sが声を漏らした
9S「え?」
司令官「最近他のヨルハ部隊員の任務を二人に回す事が多かったからな」
司令官「二人ともしっかり休めていないだろう?」
そう言い司令官は笑みを浮かべる
司令官「あまり多くは取れないがたまには休め」
その言葉は私に向けられているように感じた
E型は精神的負担が大きい
だからこそ司令官が配慮してくれたのだろう
司令官「以上だ、通信終了」
司令部との通信がプツリと切れる
9S「なんだか司令官って本当によくわからない人ですよねー」
そう言いながら歩き始める9S
2B「…」
9S「休暇ももらった事ですしバンカーにでも戻りますか?」
9S「それともレジスタンスキャンプで補給でもしますか?」
9Sは振り返って私を見るとそう聞いてきた
2B「どっちでもいい」
9S「そう…ですか、じゃあレジスタンスキャンプで補給も兼ね少し休みましょうか」
私と9Sは砂漠を歩きレジスタンスキャンプへと向かった
レジスタンスキャンプに着くとリリィに砂漠地帯での情報を共有した
リリィ「2号…か」
9S「リリィさんは知っているんですか?」
9Sの問いに少し戸惑いながらもリリィは答えた
リリィ「…いや」
リリィ「すまないが私から言えることは何もない」
その様子に9Sは一瞬だけ固まったものの食い下がった
9S「そうですか…ありがとうございます」
9Sがくるりと振り返り私の方へ歩いてくる
リリィ「ちょっと待ってくれ」
9S「…はい?」
9Sがリリィを見る
リリィ「二人には色々と迷惑をかけたからな、そこの空き部屋を使ってくれ」
リリィが指座す方向には記憶にある私と9Sの部屋があった
9S「えっ!いいんですか!?」
リリィ「ほんの感謝の気持ちだ」
9S「ありがとうございます!」
2B「ありがとう、リリィ」
リリィ「私達も二人に助けられているからな」
9Sが私の元に駆け寄ってきて興奮気味で声を上げた
9S「2B!部屋を見てみましょうよ!」
2B「あぁ」
9Sは部屋のドア前まで走っていく
私も9Sの後を追いかけて歩く
部屋の中に入ると私の記憶にある通りの部屋だった
だからこそ違和感を感じた
私と9Sが初めて部屋に入った時の物の配置じゃない
私の記憶の最後にある部屋…つまり私と9Sが部屋を使っていた時のままだったのだ
おかしい
どう考えてもおかしい
レジスタンスの誰かに……いやリリィに記憶が無ければこの配置はできないはずだ
まさか…リリィも……記憶が残っている…?
その時だった9Sに名前を呼ばれた
9S「2B!!」
9Sの声に少し驚いたものの冷静さを掻き乱さぬように表情を押し殺し答える
2B「なに」
9S「僕の話聞いてましたか?」
声のトーンから少し不貞腐れている様子が窺える
2B「すまない、考え事をしていた」
そう言うと9Sは少し驚いた顔をした
9S「そう…ですか」
2B「それで、なに」
9S「あぁ、大した事じゃないんですけど……ここに収納ボックスがあって中に回復薬とか戦闘での必要な物が入っていたんです」
2B「そう」
私が収納ボックスの側まで行くと中を確認した
すると9Sがこう言った
9S「あの…2B」
少しくぐもった声
9S「おかしな事なんですけど…僕…この部屋を知っているような気がして……」
私が振り返り9Sを見る
9Sは俯いたまま言った
9S「きっと気のせいですよね」
そう言い顔を上げ私を見る
2B「…」
私は何も言えなかった
君の記憶に回復の兆しがあることはいいこと……なのだけれど、私の犯した罪を知っている君が全てを思い出すことに不安を感じている
2B「9S」
9S「はい?どうしましたか2B?」
2B「私は少しリリィと話をしてくる、9Sはここで待っていて欲しい」
9S「はい、わかりました」
私はドアの前までいき振り返り9Sを見る
9Sは私に笑いかけ見送ってくれた
部屋を出るとキャンプの中央にあるテント向かった
そこではマップを見ているリリィがいた
2B「リリィ…少し話がある」
マップから目を離しリリィは私を見つめる
少し間を空けてから言ったリリィは何かを知っていそうだ
リリィ「…あぁ私も丁度2Bと話がしたかったところだ」
リリィ「そうだな…奥で話そう」
リリィはキャンプの奥にある倉庫まで私を案内した
リリィ「すまないな…こんなところで」
2B「いや、別にいい」
リリィ「それで…話ってなんなんだ?」
2B「私は9Sのように上手く話す事ができないから単刀直入に言うけど…」
2B「リリィは記憶を持っているの?」
私の言葉にリリィは驚いたもののすぐに表情をほぐし答えた
リリィ「その様子じゃ…2Bも持っているんだな」
2B「…あぁ」
リリィ「9Sは____」
リリィが話すをの躊躇う
ポッドが気を遣ってか声を上げた
ポッド042「9Sは現在記憶の復旧作業中」
リリィ「……そうか」
2B「…」
2B「リリィに頼みがある」
リリィ「なんだ?私に出来ることなら言ってくれ」
2B「A2がレジスタンスキャンプに来たその時は……」
私が話している途中でリリィは言った
リリィ「わかった」
2B「まだ何も話していない」
リリィ「言いたい事ぐらいはわかる」
リリィ「2号に協力しろ…って事だろう?」
2B「あぁ」
リリィ「私も…2号には最期に迷惑をかけたからな…」
2B「私たちは二度と仲間を失いたくない」
リリィ「…!」
リリィが目を見開きふっと笑った
リリィ「そうだな、私も家族を失うのはもう懲り懲りだ」
リリィが手を差し出してくる
リリィ「わかった、私に出来る範囲でなら協力を惜しまない」
リリィ「なんでも言ってくれ」
2B「ありがとう…リリィ」
私は差し出されたリリィの手を握り返した
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!