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9S視点
2Bが部屋を出ていき早数分。
僕は暇を持て余していた。
9S「そういえば…どうして2Bみたいな戦闘モデルが現地調査に配属されてるんだろ…」
9S「ポッドはなにか知ってる?」
ポッド153「ヨルハ機体9Sは調査任務でのロストが激しいため護衛目的でB型モデルが同行している可能性」
9S「なるほど…たしかにそれはありえるかも……」
ポッド153「推奨…暇ならば機体メンテナンス」
9S「メンテナンスはバンカーでやったばっかりだからまだいいよ」
ポッド153「否定、2Bとの降下作戦時敵ハッキングを実行している時、謎のポートへのアクセスをしようとした、その際に微細な汚染反応が検出されている」
ポッド153「確認を行うべきだ」
9S「汚染…」
汚染とは簡単に言ってしまえばアンドロイド自身の全データを塗り替えられ敵に変貌してしまう恐ろしい死のウイルスだ。
9S「はぁ…わかったよ」
僕は急遽自己メンテナンスを開始した。
メインシステムのチェックから始まり数百個と及ぶシステムを全てチェックした。
一体どれだけの時間がかかったのだろうか。
考えたくもないな…。
それにしても最新鋭のヨルハ機体だしメンテナンスなんて大袈裟なことはしなくてもいいような気がするんだけどな……。
なんかポッドすごい過保護な気がする…。
気のせい…かな?
ポッド153「9Sのメンテナンスの完了を確認、再起動シーケンスへ移行」
9S「ポッド、ちょっと待って」
9S「僕からバンカーへのアクセスポートの解放ってできる?」
ポッド153「…可能、だがバンカーへの不用意なアクセスは禁止されている」
9S「あぁ、そういえばそうだったね」
あの機械生命体の謎のポートの件で調べたかったんだけどな…。
今度調査班にでも情報を聞いてみるか。
9S「わかった、ありがとう」
9S「僕の再起動をお願い」
ポッド153「了解、ヨルハ機体9S再起動シーケンスへ移行を開始」
データ空間から現実へと意識が戻り僕は体を起こす。
足が重い。
僕は視界を自身の足の方へと向ける。
すると僕にしがみついた2Bがいた。
9S「2B…?」
ポッド153「おはようございます9S」
ポッドがふよふよと僕の横まで飛んできた。
9S「うんおはようポッド、それより…2Bはどうしてこうなってるの…?」
ポッド153「2Bは9Sのメンテナンス終了時までポッド042に省エネモードへの移行を命令していた為このような状態になっている」
9S「…いやそれは見ればわかるんだけど……」
9S「なんで僕の足にしがみついてるの…?」
ポッド153「…不明」
9S「……そっか、まぁいいか」
僕は2Bの肩を揺する。
9S「2B?起きてくださーい」
2B「……」
2Bが動く。
そして上半身を起こし目を擦りながら僕を見る。
9S「おはようございます、2B」
2B「あぁ、おはよう9S」
2Bがそう言い終えた瞬間どこからともなくポッド042が現れて言った。
ポッド042「2Bの起動を確認」
ポッド042「おはようございます2B」
2B「おはよう」
2B「ポッド、任務は____」
ポッド042「現在司令部からの任務は無く、2B、9S共に休暇期間中」
2B「そういえばそうだった……」
驚いた様な顔をして黙り込む彼女を見て僕はこう言った。
9S「2Bは任務に集中しすぎです、こういった休暇期間ぐらいは楽しみましょうよ」
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2B「…そう、だね」
僕はぎこちない彼女の返事に動じる事なくベッドから起き上がった。
背伸びを少しして2Bを見る。
9S「さて、どうしますか2B?」
2B「なにを?」
9S「せっかくの休暇なんですから息抜きに決まってるじゃ無いですか」
2B「息抜き…」
再び黙り込んでしまった。
2B「息抜きとは…何をすればいい?」
困った様な顔で僕を見る彼女。
9S「えっ…?」
僕は思わず声が漏れた。
2B「…息抜き……をした事が…ない」
驚きの事実に驚愕する僕を置いて彼女はポッド検索をかけている。
ポッド042「息抜きとは、緊張をほぐし休む事」
2B「休むと言われても…どうすればいい?」
ポッド042「…」
9S「…あの、2B?もしかして休暇って……」
2B「今までもらった事がない」
9S「……」
呆れた、いやもう呆れる以外何を言えばいいのかわからなかった。
9S「ポッド、今後司令部へ定期的に2Bの休暇を任務内容に組む様に申請をしておいて…」
ポッド153「了解」
9S「…」
2B「すまない…」
9S「何言ってるんですか、2Bが悪いわけじゃないんだから謝らないでくださいよ」
2B「…」
僕達S型はロストする事が多いからロールアウト明けなどはよく休暇期間をもらうけど…。
戦闘モデルはどこでも重宝するから休暇どころじゃないのかもしれない…?
まぁいい、この機会に2Bにはしっかりと休んでもらわないといけないな。
9S「何をすればいいのか、じゃなくて2Bのやりたい事をやったらいいんじゃないでしょうか?」
2B「やりたい事…?」
9S「人類の記録には休みの間は好きな場所へ行ったり、誰かと一緒に過ごしたり、やってみたい事をやってみたり…する事が多い、とありました」
9S「2Bは何かないんですか?」
2B「私は…」
2B「特に考えた事がなかった」
2B「でも…行きたい場所、ならある」
彼女は胃を結したように僕を見て言った。
2B「パスカルの村に行きたい」
9S「パスカル…?」
2B「…さっきリリィから貿易をしている機械生命体の村の事を聞いて…」
9S「機械生命体と貿易!?」
9S「危険なんじゃ……」
2B「彼らに危険性はない、だから今回の調査任務として見ておきたくて」
2Bがなぜその機械生命体の事を危険性がないと言い切れるのかはわからないが彼女の顔が物語っている。
どうしても行きたい、と。
9S「2Bがそういうなら僕はいいですけど、信用できるんですか…?機械生命体なんて…」
2B「9S、リリィ達はずっと交流をしているけれど被害は何も出ていない」
2B「危険性は限りなく無いと思うよ」
9S「…わかりました」
9S「でも危険だと判断したらすぐに撤退しますからね」
今の僕にはこれが精一杯だった。