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続き
「私たちの目的はあの女を生け捕りにすること。あいつを追いかけて……」
ビューンドッゴォォォォン!!!!
「ひゃはっ!反抗してきた!」
「早く殺そう」
「こいつら全員殺して良いよね?」
「待て。私たちはこいつらには用はない。変に恨みを買うようなことをするな」
「ちぇ〜つまんないの〜」
四人組は少し意見が割れている。
橙「どうしてあなたたちは妖怪の売買主に雇われているのですか?」
「そんなの決まってんじゃん。金が必要なんだよ」
「私たちはね。この「無法地帯」みたいなスラム街で生まれたの。家族を養うためお金が必要な〜の。ひゃは」
「俺たちは金を稼ぐためならどんなこともする。お前らはどうせ俺たちの生き方を否定するんだろうがな」
「…………」
しばらく沈黙が続くと……
橙「雨花さんなら……」
「「笑って受け止めてくれるはずです」」
「は?」
桃時「そうね。雨花なら「生きることに貪欲なのは良いことだからその生き方を大切にして」とか言いそう」
「い、生きることに貪欲?」
橙「そうですよ。私たちもそう想います。そして一つあなたたちに意見します」
橙は四人組に向き直る。
橙「あなたたちは生きることに貪欲です。どんなに汚泥にまみれても生きようと想うことができる強さを持っています。そんなあなたたちなら何かを助けることも出来るはずです。あなたたちは綺麗事だと切り捨ててしまうかもしれないけど、切り捨ててしまっても構いません。でも、どうか、あなたたちの人生を悔いたものにして欲しくない。あなたたちは生きてて良いんですから」
桃時「そうね〜あんたたちは散々妖怪を傷つけた。その罪を他のもので払拭することはできないわ。でも、それでもアタシはあんたたちに生きていて欲しいと望むわ。何かを傷つけた人だって幸せになって欲しいもの!」
兎白「傷つけられた人からしてみれば不幸になれと望む人もいるかもしれない。けど、そんな人にも幸せになって欲しいと望む人がいても良いはずだから」
瑠璃人「ていうか不幸になって欲しいって望まれる時点でバチはあたってるんだから、それで充分なんじゃね?お前らは生きることに苦しむ人たちのお手本になれると想うぜ?お前らみたいに生き汚く生きてる姿をみれば生きることへの重荷が軽くなるんじゃね?もう少し生きることへの責任感が和らぐんじゃね〜の?もちろん良い意味で」
「「!」」
四人組は衝撃を受けた。
自分たちの生き方をまるで肯定されるような言い方をされたのは初めてだった。
みんな激しく罵倒し、そんな生き方は間違ってると言われる。でも橙たちは違う。
こちらの状況を踏まえた上で、否定せず受け止めた上で、意見を言ってくれたのだ。
「ひゃ、はは。な、なんだこいつら……」
「殺意が……消えていく……」
「おえ〜超キモイ事言ってる……」
「……君たちがどうしてあの学校の生徒会なんてやれてるのか分かった気がするよ」
「じゃあ」
「付いてこい。売買主の所まで案内してやる」
橙「どうしてですか?」
「人生を悔いたものにして欲しくない……だったか。私たちなんかに生きていて欲しいんだろ?そのためにやるだけさ」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「…………!」
「言っとくけどあんたたちのこと信用した訳じゃないから」
「少しでもおかしな行動を取ったら……殺す」
「俺はその方が良いんだけどな〜」
桃時「うふふっ、「殺した方が安心できる」を「殺す以外の別の方法で安心できる」に変えていけたら良いわね」
橙「雨花さんもそこにいるはず。早く行きましょう」
兎白・瑠璃人「あぁ・おう」
【続く】