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第9話「初任務」
鎹鴉の導きで辿り着いたのは、夜の闇に紛れて悲鳴が上がった一軒の大きな屋敷だった。
引き裂かれた障子、壊された家具。凄まじい惨状が目に飛び込んでくる。
「うわぁ、結構荒れてんな。……おう、お前か? これやってる奴は」
俺は腰の青藍色の日輪刀を抜き放ち、暗闇の中で口の周りを血で濡らしている鬼を真っ直ぐに睨みつけた。
屋敷の奥の方には、一人の女の子が小さくなって激しく怯えている。その周囲には、キラキラとした美しい銀箔がチラチラと儚く舞い落ちていた。この家は、銀箔を扱う職人の家なのだろう。
「ウガァァァッ!!」
襲いかかってくる鬼の爪。だが、現役の柱の地獄の修行を生き抜いた俺の敵ではなかった。
美しくしなる青藍色の刃が、銀箔の舞う暗闇を流麗に切り裂く。
(――壱ノ型:蜜水流・注ぎ!!)
滑らかな軌道を描いた一撃が、一瞬にして鬼の首を綺麗に切り落とした。灰となって消えていく化け物を見届け、俺は刀をサヤへと収める。
チリン、と髪の後ろで鈴が優しく鳴った。
俺はまだガタガタと震えている女の子の方を振り返り、少し照れくささを隠すように、不器用な笑みを浮かべた。
「おう、お前大丈夫か? 怪我はしてなさそうだ。よかった」
「あ、あ……」
「それじゃ、俺行くから」
背を向けて立ち去ろうとしたその時、後ろから衣服の擦れる音とともに、必死な声が響いた。
「あ……あの!! よかったら名前……!! 名前だけでも教えてください……っ!」
命の恩人である俺の後ろ姿を、女の子は涙を溜めた瞳で見つめていた。俺は少しだけ足を止め、振り返らずに肩越しに言葉を返す。
「あぁ……。俺は蜂須賀 紺。よろしくな、ってもう会えねぇかもだけど」
そう言い残し、俺は夜の闇の中へと静かに消えていった。
第九話完
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コメント
3件
うわっ、第9話もめっちゃ良かった!!冒頭の鎹鴉の導きから夜の屋敷の惨状まで、一気に引き込まれた。銀箔が舞い散る中での戦闘描写、青藍色の刀身が闇を切り裂くビジュアルが鮮やかで脳裏に焼きついたわ。そしてラスト、少女に名前を教えて去るシーン、照れくさそうな笑みと肩越しの「もう会えねぇかも」が渋すぎる。蜂須賀紺、カッコよすぎんだろ。次回も楽しみにしてる!!🔥