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ラマスは可愛子ぶりながら答える。
「結婚とか一生の問題でしょぉ? 後で別れたりしたってずっと言われ続けちゃうわけじゃない? だから保留ってか、気持ちはアナタですってのが婚約、結婚の約束な訳じゃないですかぁ? アタシってばまだまだ子供だし…… 大人になれるか、なれたとしても今の気持ちのままでいられるか、もしもそうで無かったとしたら? ええっ! アタシが悪者? なのぉ? ってなっちゃうじゃないですか! そう思った時のアタシの不安な気持ち、どうですか? 判ってくれませんかね、レイブ叔父様?」
レイブは頑張って神妙な表情を作りながら答える。
「う、うん、判ると思うよ多分だけどさ、んでキープってのは一体何なんだい?」
ラマスの舌はシメタ! そんな心の声が聞こえた気がするほど滑らかさを増した。
「だから、幼くて未熟で冷静な判断とか出来ないアタシが万が一にも出来ない約束をしてしまわない為に有るのがキープ、なんですよぉ! だって結婚ってしちゃったら終りじゃないですか? それに絶対結婚しますって約束が婚約、でしょーう? こんなにちっちゃくて自分じゃ何にも決められない子供のアタシが、大人たちの口車に乗せられてしまわない様に、『チョット待って』的に大人になれて確(しっか)り判断できる時まで相手が気長に心を変える事無く馬鹿みたいに待ち続けてくれる、そう言う状況がキープ、そうなんですよ!」
今まで知りえなかった常識に思いがけず触れてしまったレイブは、いつに無く真剣その物な表情を浮かべて確りと答える。
「そうなんだ…… ゴメンなラマス、俺今まで知らなかったんだよ…… 結婚とか婚約は判っていたつもりだったんだけどな…… そうか、キープか…… つまりこう言う事だよな? 結婚するにはまだ若い、だから約束しよう、コレがいつか結婚する約束、婚約だよね? んでキープって言うのは、うんそれで良いですよ、でもまだ子供で未熟だから大人になったら気持ちが変わっちゃうかも知れないなぁ、その時は許してね♪ でもアナタは私の事を永遠に愛せる位好き、つまり結婚したいんだもんね? だったらアタシの覚悟が決まるまで待ち続けていなさいよぉっ! 的な? かな?」
ラマス即答。
「そうそうそうっ! そう言う事ですっ、叔父様ぁ!」
『『『『………………?』』』』
闘竜(とうりゅう)二匹と獣奴(じゅうど)二頭は難しい顔を浮かべて視線を上空に泳がせていた、まあ、それ位ラマスの言葉はインチキ臭かった、そう言う事であろう。
だが、素直で直情的な所が長所であり決定的な短所でもあるレイブは答えてしまった。
上手く口車に乗ってしまった、そう言う感じであるが、これが彼にとって不幸だったのかそれとも僥倖(ぎょうこう)だったのかは未来にならなければ誰にも判らない事なのでは無いだろうか?
大きな声でレイブは断じる。
「なるほど…… 結婚するには若過ぎるし、ちゃんとした約束である婚約もまた然(しか)りって事かぁ、確かにそりゃそうかぁ…… んで、その手前がキープなんだな、了解、じゃあそれで良いさ、キープしといてくれるかいラマス?」
ラマスは嬉しそうな声だ。
「わぁやった! 喜んで叔父様っ!」