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オレらが学校でショーについて話すことが減り、それと同時に話す時間も減っていた。お昼に共に食事をとるのは偶にあるぐらい。類と先生に追いかけられるのも、ショーの話で盛り上がるのも。日に日に減っていた。

お昼休み。今日は隣に類もいる。まあ、話すことなんてないが。いつもいつも無言で食事をとっては、先に食べ終わったら先に帰って。今日もそんな風に食べていたときに、急に名前を呼ばれたので驚いた。まず学校で類に名前を呼ばれることが少なくなっていた為、またここで呼んでもらえるとは思わなかった。隣を見てみれば、何も言わずにノートを差し出してきている類がいた。そのノートは昔、何度も見てきた。類が演出案を纏めているノートだ。最近はあまり目にすることがなく、久しぶりに見たなと思いながら開いた。1ページ目はペガサスマンとネネンガーVSエムゥのヒーローショー。懐かしいな、と思いながら大好きな字を擦りページを捲る。これはハロウィンショーのとき、これはクリスマスショーのときだ。これは人魚姫で、これは…。ページを捲れば捲るほど、自分達のたのしい思い出が蘇ってくる。もう二度とこのメンバーでおなじショーをできないわけじゃないのに、何故か泣きそうになる。急いでページを捲り、類が1番見せたかったであろうページに辿り着く。形の歪な演技案。黒く塗り潰された大好きな字。この演出は何時のだろうかと思い、類の顔を見た。いつもと違い辛そうな顔をしながら、ページを優しく擦る。汚れたりしていても変わらない、オレたち自慢の演出家の手で。

『る…』

「少し前から考えていたんだけど、考えるのが辛くて。」

「纏めるのに時間がかかって、見せるのは遅くなってしまったけど」

『…大丈夫だろう、お前は誰よりもショーが大好きで、皆を笑顔にしたいと思う奴だ。』

『それにお前は頭もいいし、才能だってあるだろう。』

そう言ってからノートに手を伸ばし、グチャグチャな字を必死に解読する。頑張って読めば、これがどういう演出なのかを理解できる。オレ達の大好きな、演出案が玩具箱の中に詰められた玩具のように、ノートの上で散らばっていた。いつもなら心躍る演出案なのだが、今は何故か惹かれない。ここは本当にこの演出がいいのだりうか。ここはこうするよりもああした方がいいのでは。なんて、そういった意見が頭の中で出てきてしまう。

「……ちゃんと、ここから更にいいものにしていくよ。」

オレの考えを察したのか、類が安心させるように言う。

『ああ、お前ならできるぞ!!』


類は、天才だからな。


⭐⭐⭐

類は屋上で言った通り、演出をよりよくした。それはオレたちの大好きな演出で、磁石のSとNが惹かれるようにして、オレたちは惹かれる。が、これも全員に愛されなければいけないし、これで全員を笑顔にできなきゃ意味が無い。それはオレたちもわかっているし、類も当然わかっている。ショーを終えたあと聞こえた演出に対する文句。えむも寧々も、オレもステージ裏で聞いてしまった。隣にいた類の顔は、前髪が邪魔して見えなかった。

「さて、片付けをして着替えよう。反省会は今度の練習のときだね。」

陽気な声で言い、ロボット達の方へと歩いていった。無理をしているようで気になってしまう。それはえむと寧々も同じで、2人とも心配そうに類を見ていた。

神 様 の 断 頭 台

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