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施設に緊迫した空気が漂い始めた。米軍の撤退から数時間も経たないうちに、周辺地域では各国の軍が動き出していた。
「聞こえるか?」拓真は亮太の肩を叩き、顔を近づけた。「“新たな秩序”の意味が分かった気がする。やつら、この薬を利用して戦争を操ろうとしてる。」
亮太が険しい表情を見せた。「そんなものが戦争に出回ったら、人間同士の戦いどころじゃなくなる。」
拓真は頷き、遠くから聞こえてくるヘリコプターの音に耳を澄ませた。「だが、俺たちだけじゃこの状況を止められない。」
その時、施設の監視モニターに映像が映し出された。世界各国の軍隊が集結し、施設に迫る様子が映し出されている。
・アメリカ軍の特殊部隊が森林の中を進行。
・ロシアの装甲車部隊が施設へと接近。
・中国軍のドローンが上空を旋回。
・ヨーロッパ連合の精鋭部隊が別ルートから進入。
「これは……どういうことだ?」亮太がモニターを見つめながら呟いた。
「各国が“狼男薬”を狙ってるんだよ。」施設の奥から聞こえる田中の声に、二人は振り返った。「この薬の軍事利用は、戦争の勝敗を決定的に変える。だからこそ、どの国もこの技術を自国のものにしたがっている。」
「……お前が流したのか?」拓真が田中に詰め寄る。
「いいや、私じゃない。」田中は肩をすくめた。「だが、情報は漏れた。いずれにせよ、ここは戦場になる。」
その時、施設内に爆音が響いた。壁が崩れ、ロシア軍の装甲車が侵入してきたのだ。
「来たか。」田中は冷静な表情で呟く。「これからが本番だ。」
「全員、戦闘準備!」
監視モニターにはさらに各国の軍が次々と侵入する様子が映し出されている。アメリカ軍の特殊部隊が地下の研究室へ向かい、中国軍のドローンが薬品が保管された倉庫をスキャンし始める。
亮太と拓真は身を隠しながら話し合った。
「俺たちだけでどうにかできるレベルじゃない。」拓真が冷静に状況を分析した。「だが、この薬を各国に渡すわけにはいかない。」
「つまり、俺たちがこれを守るしかないってことか。」亮太が拳を握りしめた。「やるしかねえな。」
「だが、薬を守るだけじゃなく、これ以上の犠牲を防ぐ必要がある。」拓真は亮太を見つめた。「お前の力が必要だ、亮太。」
亮太は一瞬迷ったが、深く頷いた。「分かった。だが、一つだけ約束しろ。」
「なんだ?」
「もし俺がまた暴走しそうになったら……その時はお前が俺を止めろ。」
拓真はその言葉に一瞬戸惑ったが、真剣な表情で頷いた。「約束する。」
「よし、行くぞ!」
二人は武器を手に、侵入してきた各国の部隊を阻止するために動き出した。