寵愛狼男

各国の部隊が、それぞれの旗印を掲げて衝突を繰り広げている。アメリカ軍の特殊部隊は地下施設に突入、ロシア軍の装甲部隊は正面入口を強行突破。EUの精鋭部隊は壁面を登り、中国軍のドローン群が上空から一帯を監視している。

その時、田中の声が施設内に響き渡る。

「各国の軍隊よ、歓迎しよう。だが、この計画の全貌を知るには、私たちの技術を理解する覚悟が必要だ！」

彼の言葉が終わると同時に、施設内のライトが消えた。数秒後、非常灯が点滅し、研究室の中央に巨大なガラスカプセルが浮かび上がった。

「何だ……あれは？」亮太が目を凝らす。

カプセルの中には、人間と狼の特徴を併せ持つ生物が横たわっていた。鋭い爪、異常に発達した筋肉、そして無機質な冷たい目。

「これがライカントロピー計画の完成形だ。」 田中が現れ、満足げに微笑む。「各国の部隊が奪い合っている薬。それは単なる始まりに過ぎない。この生物こそ、戦場を支配する究極の兵士だ。」

「冗談じゃねえ……！」亮太が田中に向かって拳を振り上げるが、その瞬間、カプセルが開き、中の生物が目を覚ました。

「……目標認識。排除開始。」

巨大な狼の兵士が吠え声を上げ、戦闘態勢に入る。

ロシア軍：装甲車から重火器を発射するが、狼兵士の驚異的な俊敏性に翻弄される。

アメリカ軍：特殊部隊が連携を試みるも、近接戦闘で壊滅的な被害を受ける。

EU軍：撤退を考慮しつつ、研究データだけでも奪おうとする。

中国軍：ドローンを集中させ、空中からの攻撃を試みるが、狼兵士の跳躍力によりドローンが次々と撃墜される。

「こんな怪物を放っておけるか！」亮太が咆哮し、狼男としての力を解放する。彼の体が変化し、獣のような爪と牙が現れる。

「亮太、冷静になれ！」拓真が叫ぶが、亮太はすでに暴走しかけていた。

亮太は田中に向かって突進するが、田中は余裕の表情でかわす。「お前も計画の一部だ。無駄な抵抗はやめるんだな。」

「黙れ！」亮太は田中を追う一方で、目の前の狼兵士とも戦闘を繰り広げる。

一方、拓真は研究データを破壊しようと試みる。施設の奥に進む彼の前に、EUの精鋭部隊が立ちはだかる。

「邪魔をするな！」拓真が銃を構えるが、相手も容赦なく攻撃を仕掛けてくる。