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私はあの後、一旦気持ちを整理するために一日だけ休んだ。
そして、先生が家に来て話をしてくれた。
すごく謝られた。先生も私の対応に困っていたらしい。
ただ私は誰かを責めるつもりはない。
そんなことよりも、私を受け入れてくれたことに対して感謝の気持でいっぱいだった。
そして、一日休んだことでクラスの皆が心配していると言っていた。
今まで心配されるなんてことなかったから、少しくすぐったい。
少しだけ学校を楽しみにしながらその日は眠りについた。
〜次の日〜
ピピピピッ
「…ん。」
今日もいつもどおり。でも、いつもより心が軽い。
それは、きっと私のことを受け入れてくれる誰かがいると知れから。
「おはよう。」
今日も変わらない挨拶。
でも、ゆっくりしてはいられない。
クラスの皆は私のことを知って受け入れてくれた。
でも、他のクラスの人はそうじゃない。
だから、誰よりも早く学校に行く。
もし会ったらきっとまた騒ぎになる。
学校に行く準備を済ませ、今日も学校へ行く。
〜教室〜
校内で誰にも合うことなく教室までこれた。
ガラッ
『おはよう、希美。』
教室にいたのは煌だけだった。
「…おはよう。」
『昨日は休んでたけど大丈夫だった?』
「うん。後、その…一昨日はごめん。」
『全然、気にしなくていいよ。希美が今日も生きてる。それだけで十分だから。』
少しだけ心がチクリとする。
「なんで煌はそんなに私のことを助けようとするの?やっぱり誰かに頼まれたから?」
私を助けたのは煌の意志じゃなく、誰かに頼まれたから。そう思うと何故か悲しくなる。
なんでだろうね。助けてもらってるのに。我儘かな?
『….そう、だね。でも、ちょっと違う。』
「どういうこと?」
『どういうことだろうね〜。』
「はぐらかさないでよ。」
『まぁまぁ。』
「はぁ。いいや。あと一つ聞いても良い?」
私にはどうしても煌と出会ってから気になっていることが一つある。
『いいよ。』
「結局さ、煌に私の名前と過去を教えた人って誰なの?」
私の名前はともかく、過去を全部知ってる人なんてほぼいない。
たぶんおばさんくらいしかいないと思う。
だから、誰なのかすごく気になっていた。
『ん〜。それは …』
ゴクッ、
『秘密!』
「は!?今のは教えてくれる流れだったじゃん!」
『まぁまぁ、落ち着いて。大丈夫。そのうちわかるから。』
ガラッ
煌と話していると女の子が教室に入ってきた。
〈煌くんと希美ちゃんおはよう!〉
この子は桜井結ちゃん(さくらいゆい)。
学級委員で、飛び降りようとしたあの日、「味方だ」と言ってくれた子。
「お、おはよう。」
『おはよう。』
クラスの人と挨拶することなんてなかったから慣れない。
いや、挨拶に慣れとかあるのか?
結ちゃんが入ってきてから続々と人が集まり、朝のホームルームが始まる。
一時間目は教室の移動がある。
いつもは一人で行っているけど、今日は違った。
〈希美ちゃん。よかったら一緒に行かない?〉
《一緒に行こう!》
この子は日向明日香ちゃん(ひなたあすか)。
すごく明るくて、あの日「頼ってね」といってくれた子。
「いいの?」
少し不安になりながら聞くと、
〈もちろん!〉
と快く言ってくれた。
そして、私は結ちゃんと明日香ちゃんといることが多くなった。
仲良くしてくれたのはこの二人だけじゃない。クラスの皆だ。
クラスの男子は、[秋月って頭良かったんだな。勉強教えてくれよ!]
とあの日のことなんかなんにも気にしていないように振る舞ってくれた。
でも、それは教室の中だけ。一歩外に出たらもう無理。
だから、廊下に出るときは、だれかが一緒にいてくれる。
なんだか申し訳なくなるけど、みんな自分たちがやりたいからと言ってくれる。
そんなこんなで今日も学校が終わり、教室からは煌と私以外いなくなった。
『ねぇ。』
教室を出ようとすると煌に声をかけられた。
『希美は今は死にたい?』
急に聞かれて驚いた。
「急にどうしたの?」
『う〜ん。なんとなく?』
「ふっ。なんで疑問形?」
『なんでだろうね。ていうか、希美笑えるようになったね。』
言われてみれば確かに。今は指で口角を上げなくても、自然と笑えている。
でもなんで。
「なんで、私が笑えてなかったって知ってるの?」
『あ〜…それは、あんな過去抱えてて笑顔でいられる人のほうが少ないじゃん?』
「そうだけど…。」
たしかにそうだが、最初の間が少し気になる。
あ、気になるといえば、
「そういえば煌さ、私のこと止めるとき『今まで一人にしてごめんね』って言ってたけど、あれどういう意味?」
そう。よくよく考えてみればおかしい。過去を知っているとはいえ、今までという言葉は出てこないだろう。それに、煌は転校してきてからずっと私についてきていた。だから、一人にしてというの少し不思議だ。
『さぁ、どうでしょう。』
「もう、はぐらかさないでよ。」
そういえば、煌は私のことをたくさん知っているけど、私は煌のことについて何も知らない。
なにか聞いてみるか。
「じゃあさ、好きなものとかないの?」
『空かな。』
「そういえば言ってたね。どんな空がすきなの?やっぱり晴れとか?」
『いい質問だね。晴れも好きだけど、今は雨が好きかな。』
「へ〜。今丁度雨降ってるじゃん。良かったね。」
『うん。雨、やまないと良いな。』
「なんで?」
『ふふっ。やっぱり希美はまだまだだな。』
「は?」
なんとなく馬鹿にされたような気がするが、放っておこう。
『そろそろ帰ろう。』
「だね。じゃあね。」
『うん。』
『雨、やまないと良いな。』
そういった煌の表情はどこか寂しそうだった気がする。
まるで何かを惜しむような。そんな表情だった。
それが気になって家に帰ってからも考えていた。
そういえば、天気などの言葉を使う隠し言葉というのがある。
「月が綺麗ですね」は愛を伝える言葉であるように。
調べてみると、似たようなニュアンスで「雨がやみませんね」というのがあった。
意味は、一緒にいたい。まだ帰りたくない。というものだった。
煌がこれを意味しているとは思えなかったので、ただ雨が好きなだけだろう。
そう思い、私は眠りについた。
でも、やっぱり私の考えはあっていたのかもしれない。
みーやです!
天気の隠し言葉とか調べてみると意外と面白いですよ。
あと、いつもハートありがとうございます!