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「冒険者組合本部に?」
どうやら3人は、この後冒険者組合本部に用があるらしい。
どうせする事もないし、俺達もついていくことにした。
「どうして組合へ?」
道中エリーへのロクでもない質問をやめさせる為に、俺の数少ない話術スキルを絞り出した。
「このままだと、私達は四階層にも行けません。なので、何処かのパーティに3人で入れないか検討しようと思いまして」
「出来たら女性だけのパーティがいいよね」
「そうだね!」
何か楽しそうに話してるけど……
「相手は殆どBランクだぞ?入れさせてもらえるのか?」
「私達がBランクになるまでは荷物持ちでも何でもするつもりです!」
何でもって…碌なことにならない未来しか見えません……
「そうか。頑張ってな」
俺は聖奈さんじゃないから止めはしない。助けた猫に責任持てないからな。
エリーは何か言いたそうにしているが、敢えて無視だ。俺は正義のヒーローじゃないからな。
冒険者組合本部について3人とは別れた。
「私達ならあの三人を10階層に連れて行って、Bランクになる手助けが出来ました。
でもセイさんが助けなかったのは、理由があるんですよね?」
そんなウルウル攻撃してきても無理なもんは無理だぞ?
「そうだな。銃を貸してやって連れて行くことは出来る。でも、そこでさよならしたら絶対死ぬぞ。
冒険者はいつ死ぬかわからんのはみんな同じだが、実力が伴わない者をBランクに上げたら、そいつが死ぬのが早まるのは間違いない。
今の彼女達は自分達に合った階層で少しずつ進んでいっている。
だが、一度10階層に行ってBランクになれば、それを見誤るのが人というものだ。
俺もいつも自問自答しているよ。
神様に偶々気に入られて過分な力を貰ったけど、これは俺の実力じゃないってな。
俺は仲間がいなきゃただの呑んだくれ。
それをいつも忘れないようにするのに苦労しているよ」
俺はいつも月を見る度にその想いを思い出せるが、彼女達はどうだ?
そこまで責任持てれん。持てないなら手を出しちゃダメだ。
俺は自分に言い聞かせるように、エリーへと伝えた。
「そうですか。
でもセイさんは力を無くしてもお金持ちなのはかわりません!大富豪です!
デザート食べ放題です!」
「…そうだな」
エリーにとっては…いや、仲間にとっての俺はそんなもんだな。
何も特別に思われていない。
有り難いことだけど・・・・・もうちょいなんかない?
俺とエリーが一階の椅子に座っておしゃべりをしていると、組合職員と思われる男性が近づいてきた。
俺たちしか一階のロビー(?)にいないので、すぐに気付いた。
「すみません。カードの提示をお願いします」
えっ?なんで?
「何故です?」
「ここは冒険者以外使用禁止だからです。あなた達は冒険者ですか?」
あぁ…どう見てもエリーを連れてたら冒険者に見えないよな……
今日はデート()という事で、エリーは魔法使いの格好でもないし。
「それは悪いことをしたな。俺達はAランクだ」
カードを出しながら伝えたら、やはり驚かれた。
「し、失礼しました!」
「いや、いいんだ。それより一つ教えてくれ」
「な、何でしょう!?」
そんな怯えなくても殴ったりしないよ?
ライセンス剥奪されたら困るし。
「ここは前に説明を受けた、冒険者をマッチングさせる事以外はしていないのか?」
このままでは相席屋みたいなイメージしか残らんからな……
「もちろん他のこともしています。
ただ細かい事になると数が多過ぎますので代表的なモノで言いますと、ダンジョンに潜らなくなった優秀な冒険者を各国にある冒険者ギルドの要職へと推薦したり、現役の冒険者に対しては各国の王侯貴族の方の求めている人材を推薦して指名依頼をしてもらえるように斡旋しています。
もちろん望んでいる冒険者だけになりますが」
「何だか変な感じがするな…まるでダンジョン冒険者の天下り先探しみたいに聞こえる」
「間違っていません。それを目的にしている冒険者の方は多いですよ」
なんだか一気に夢が無くなったな……
「殆どのBランク冒険者の方はここへやって来ますが、中には実力があるのにここに来ない方がいます。
そういった方を呼ぶ為の方策です」
なるほど…ロマンやAランクといったものより堅実を取る冒険者はここには来ないよな。
そこに将来性をプラスすれば、来てくれる可能性が上がると・・・
爺さんはそれでも行かない方を選んだ変わり者だったってことか。
呼ばれたか知らんけど。
腰の低くなった職員にエトランゼや冒険者組合の話を聞いていたら、3人が降りてきた。
別の3人組と共に。
「セイさん!私達パーティ組めました!」
サーヤが俺を見つけると駆け寄り、すぐに報告してきた。
サーヤ達の新しいパーティメンバーは、男二人に女一人だ。見た目は当てにならないのがこの世界だが、俺と同年代に見える。
まぁ男だけの3人パーティよりは、という事だろう。
「そうか。命を大切に、頑張れよ」
「「「はいっ!」」」
みんなが元気に応えた。
後ろの3人組は不思議そうにその光景を見つめていた。
6人が組合を出たタイミングで、話しをしていた職員に尋ねる。
「さっきの3人組の素行はどうだ?」
「後ろのですか?ここの職員は冒険者の素行はわかりません。
職員の耳に素行の悪さが入ると、皆さんお困りになるので大っぴらには何も出来ませんよ」
そうだったな。
それに知ってても流石に教えてはくれないか。
「もし知りたいのであれば、セイさんはAランクなのでそういった調査依頼は出せます」
「ん?どういうことだ?」
聞いたら、Aランクの特典として、仲間集めをしやすいように組合に素行調査、身辺調査の依頼を出すことが出来るようだ。
変な奴に騙されない為だとは聞いたが…確かにうちにもエリーとライルという騙されやすいAランクがいるからな……
その辺りも説明を受けたはずなんだが、聖奈さんに任せていたから聞いてなかったな……
いや、聖奈さんがいなくても聞いてなさそうだな……
俺とエリーはすることもないので、帰宅することにした。
「へぇ。あの三人がな」
ここはリゴルドーの家だ。
エリーを送った後、ライルの仕事が終わるのを待ち、リゴルドーへ一緒に帰った。
ライルには昨日買ってきていた弁当を食べさせている。
今3パック目だ。よく食えるな……
俺は解禁された酒と、七輪で焼き鳥などを焼いて食べている。
「んで、明日ついて行くってのか?」
「な、なんで?」
えっ?俺、報告以外何も言ってないよ?
「セイはほっとけないだろ?俺の後も追いかけてきたくらいだしな」
「…そうだ。まぁ明日潜るのかわからんけど」
何せこっそりとストーキングするからな。
「わかった。俺も行く」
「えっ?いいのか?」
「もし何かあった時にBランク三人が相手だと、セイでも場合によってはキツイだろ?」
助かる。
いくら初見殺しをいくつか持っていても、こっちも相手のことは初見だからな。
一番は何もなければいいけど。
それよりも意外に行動を読まれてるな…そんなにわかりやすいのか?わからん。
翌朝。日が登る前に起きた俺達は、ダンジョンの3階層に転移していた。
「ここからだと見つけられないから、二階層の入り口が見張れる場所まで行くぞ」
「おう。遅れるなよ」
えっ…待って……
かなりの速度で移動するライルを見失わないようについて行った。
「ゼェハァゼェハァ」
「セイはもう少し体力をつけろよな」
スタミナお化けめ……
「ここからなら入り口が確認できるだろ?」
俺達は入り口から300m程離れた木の上にいる。
俺は双眼鏡を片手にライルに答えた。
「そうだな。入り口方向に魔力波を飛ばしておけば見落とすこともないだろうな」
「じゃ。俺は寝るから見つけたら起こせよ」
「えっ!?」
俺が聞き返す間も無くライルは寝た。
眠いのを我慢してまで付いてきてくれたことを喜ぶべきか…感謝するべきだよな……
今日は来ないかもしれないし、もしくはもう潜った可能性も捨てきれない。
俺も余り気負いしない程度に頑張るとするか。
捨て猫は無闇に拾えないけど、段ボールに傘を差すくらいは無責任にしてもいいだろ。
聖奈さんには回りくどいって言われそうだけど……
〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓
聖奈「捨て猫拾ったの・・・飼ってもいいかな?」
聖「面倒を見れるならいいんじゃないか?聖奈は大人なんだし」
聖奈「!ありがとう!入っておいで!」
捨て猫「にゃ…にゃーん」棒読み
そこには猫耳カチューシャを付けさせられた見知らぬ美少女がいた・・・
聖「舐めてんのか?」(ドスの効いた声)
聖奈「ひぃっ!?だって良いって言ったじゃん!?」
聖「何処の世界に捨て猫って言って、人間を連れてくる奴がいるんだよ!?返して来なさい!」
聖奈「ごめんね。強く生きるんだよ…」金貨一袋
捨て猫「ありがとにゃー!!」
捨て猫は去って行った。
最早小話は意味不明ですが、作者にも意味不明です!
本編が意味不明にならないように気をつけます!