ごめんね、凛君。凛君は倒れた私を見て泣いていた。私はいつも自分のことに必死だったね。君のことわかってるつもりで、話だって聞けてなかった。最低だよね、ごめんね。凛君、私はね、幸せだったよ。残り2ヶ月だと言われた終わりかけの人生の中で最後の1週間で、私はずっと倖せだった。それが私だけだったなんて、知らなかったから。逃げたのは君を殺人犯なんかにしたくなかったからだよ。どっちにしろ私は死ぬんだから。君のこと守りたかった。だけど不安にさせて傷つけて、何も守れなかったね。ごめん。私は喋らないんじゃ無くて、喋れないって分かってもらえたら違ったかな。私は君に言いたかった。告白の返事も頷くだけじゃ無くて、どうか言葉でもっと長く返したかった。よく考えたらさっきはたくさん言い訳できたくせに、なんでだろうね。君よりも私の方がよっぽどぶっきらぼうだ。ごめんね。ごめん。好きでごめん、なんて言わないで。その全部が嬉しかったんだから。謝るのは私なんだよ。
「ごめ…ね…」
「…!」
「ぃえな…て、ゎた、し…りんく、が…す、きで……だぃ、じょぅ…ぶ…から、ね…」
「かの…う…?」
大丈夫だからね。痛くないからね。恨んだりなんて絶対しない。私は何があっても君の味方だから。だから、君はもう私を忘れて、君に言葉で返してくれる人と、どうか生きてほしい。死ぬ私のことなんてどうでもいいから、土足で踏み越えていいから、私が守りたかったのは君だけで、やり方は間違えてしまったけれど、それでも。
はじめて君の泣き顔を見たな。笑ってほしいな。…つられて笑ってくれたら、嬉しいな。