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私
の名前は、小枝。
まだ幼さが残る顔立ちで背丈も低いけど、これでも高校二年生だよ。
お姉ちゃんみたいに立派な大人になるために日々勉強中! だけど最近、ちょっと困ったことがあるんだよねぇ……。
それはね、私が通う高校のクラスメイトのことなんだけど――
******
「おい!そっちへ行ったぞ!」
「任せてよ!こんな奴ら僕一人で充分さ!」
「お前ら気をつけろ!こいつはただの魔物じゃない!!」
「わかっている!!だけどこいつらは……」
「うわぁあああ!!!」
「まずいっ!?逃げろぉおおお!!」
「くっ……すまないみんな……俺のせいで」
「大丈夫だよ、君は悪くないさ」
「そうだぜ、気にすることなんてねぇよ! オレたちだって同じ人間じゃねーか!」
「ああ、あんたらみたいな人ばかりじゃないさ。
それに俺は、自分の力を試したいだけなんだ。
だから、これでいいんだよ」
「ふぅん、なかなか面白そうなヤツじゃん! んじゃあ、もしあたしらの仕事を手伝ってくれる気になったら言ってよね! そしたら色々教えてあげるからさ♪」
「はい、その時が来たらよろしくお願いします……」
「う~ん、キミってばちょっと固いかなぁ~?」
「おいおい、せっかくの客人を困らせるなっての」
「えぇ!? 別にそんなつもりはないんだけどぉ~」
「あの、お仕事のお邪魔をして申し訳ありませんでした……。
失礼させていただきます……」
「あっ、ちょっ――」
「……行っちゃったわね。
もうちょっとくらい話しててもよかったんじゃないかしら?」
「仕方ねえだろ、あいつにも事情ってもんがあるみたいだし。
それにしても、変わった格好だったな」
「ううん、きっと彼の故郷では普通の恰好なんだと思うわ。
彼からは不思議な感じがしたもの」
「へぇ、お前さんがそこまで言うとは珍しいな」
「あら、どうしてかしら?」
「そりゃあお前さんの勘だよ。
まあ、オレたちのカンはよく当たるけどな」
「フフッ、それはそうかもしれないけれど……
わたしが思うに、彼はもっと別の理由があってここに来たと思うの」
「ほほう、その理由は何かね?」
「それはですねえ……」
「それはねー」
「んふっ♪」
「……うわああああっ!」
「きゃぁっ!?」
「どぅおおおぉおっ!……あ……あれ……?」
「ちょ、ちょっと先生~、びっくりさせないでくださいよ~!」
「そっちこそ!急に大声出さないでよね~!」
「ごめんなさい。それより、さっきの話の続きなんですけどね」
「うんうん」
「……あ、そうだ。わたしも思い出しました。それで理由はですね」
「理由ってなんですか?」
「実は……」
「実はね……」
「んふっ♪」
「それはねえ……」
「それはね……
『愛』っていうんだよ」
「愛してるよ」なんて言葉は嘘っぱちだと思っていた。
だってそんなことを口にするのは、いつも決まって軽薄なヤツばかりだから。
だけど今はもう違う。
わたしの心の中には確かな温かさがあって、その想いが溢れ出しそうになる時もあるから。
きっと今の自分は今までとは違う顔をしていて、あの人も少し驚いているかもしれない。
だからこれからもずっと、あの人のことを好きでいたいなと思う。
どんなに時間が経ったとしても、絶対に忘れたりしない。
いつかきっとまた会えるよね! 大丈夫だよ、心配しないでね!! 約束だからね!!! もう泣かないから……
君を忘れることなんてできないよ。
君のことが大好きだったんだよ……。
ずっと一緒だって言ったじゃん。
嘘つき……うそつき……ウソツキ……
どうして君は僕から離れようとするの? 僕のこと嫌いになったの? ねぇ教えてよ、答えてよ。
なんでこんなにも辛い気持ちになるのかなぁ。
涙が止まらないよ。
苦しいよ、助けてよ。
君がいないだけで僕は壊れそうになるんだ。
お願いだから帰ってきてよ。
もう一度だけ会いたいよ。
お願いだから話を聞いてほしいよ。
僕はただ君を愛していたかっただけなのに……
ただそれだけのことなのに……
なんでこうなるのかなぁ……
やっぱり神様は意地悪だね。
本当に嫌になるくらいに残酷だね。
それでも信じてるよ。
必ずまた会えるってことをさ……
それまで僕は待つことにするよ。
たとえどんなに辛くても苦しくても我慢してみせる。
君のために頑張るから……
だからもう少し待っていてください。
お願いします。
そして願わくばどうか幸せになって下さい。
いつまでも愛しています。
「さよなら……」
***
―――あの頃はよかった。
『彼』にとって、『彼女』との出会いがすべての始まりだったのだ。
そして『彼女』にとってもそれは同じであった。
出会いというのは不思議なものだ。
一度出会ってしまえば、二度と離れられないような運命的な繋がりを感じさせることもある。
だが一方で、出会わなければよかったと思うことも往々にして存在する。
なぜなら、出会ったことによってお互いの人生を大きく狂わせてしまうことになるからだ。
『彼女』と出会ったことで、彼の人生は大きく変わった。
今まで生きてきた中でこれほどまでに充実していた日々はなかっただろう。僕は毎日が楽しくて仕方がなかった。朝起きることがこんなにも素晴らしいなんて知らなかったし、昼休みになると弁当を持って中庭へ駆けて行くことも楽しかった。授業中だって先生に当てられて答えられなかったら恥ずかしかったけど、それでもみんなの前で自分の意見を言うのはとても気持ち良かった。夜になれば友達から電話がかかってくるし、メールが届くこともあった。僕が返事を送ることもあれば送らないこともあるけれど、そんなことは気にならなかった。なぜならそれは僕の生活の一部だったからだ。寝る前に布団の中で携帯を見るたびに、今日一日の出来事を思い返して幸せな気分になった。しかしそれも長くは続かなかった。
いつも通り学校へ行き、いつも通りに教室へ入るとそこに僕の居場所は無かったのだ。机の上に落書きがあったわけじゃない。椅子の上に置いてあった画鋲が無くなっていた訳でもなかった。ただ、僕の席の周りに誰も座っていなかっただけだ。それだけなのに僕はどうしていいかわからなかった。鞄を置いて立ち尽くしてしまった。少し経って気が付いた。ああ、そういうことだったのか。ここは僕の場所じゃなくなってしまったんだ。昨日まであんなに仲が良かったはずのクラスメイト達はもう居なくて、代わりに違うクラスメート達が僕のことを睨んでいた