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オルクスの方へ向き直ったコユキが言った。
「それにしても七人の悪魔なんて、漫画や小説なんかに聞く、七つの大罪みたいだね? オルクス君、そうなの?」
「タイザイ…… アンラ、マンユ…… アイツラ、ズルイ…… キライ!」
珍しく、いや初めてオルクスが語尾に感情を表した、嫌いだそうだ、多分大っ嫌いっ! なのだろう。
善悪も新しい名前が出たので、確りとチラシにメモリながら言葉を返した。
「ふーむ、やっぱり居るのでござるな、大罪、アンラ・マンユっと、ん? アンラ・マンユ? あれれ?」
そう言って、自分の首に掛かった漆黒の念珠を手に取ってまじまじと見つめながら、
「なんか、僕ちんの『半生むにゅ』に響きが似ているでござるな……」
と、呟いたのだが、オルクスがその言葉に返す。
「ソレ…… アンラ、マンユ…… アイツ、ラ…… ソコカラ、ウマレタ……」
「えっ! ええぇっ!」
びっくり仰天の善悪に対して、オルクスは更に言葉を続けた。
「ソッチ、ノ…… アフラ、マズダ…… アイツ、ラ…… ウルサイ…… キライ!」
「こ、これもぉ?」
善悪は更に驚いて、自分の首の白銀の念珠を掴んだまま、口をアングリとさせていた。
口をめいっぱい開けたまま、あほの子みたいになっている善悪にオルクスは追加情報を告げ続けた。
アフロ増田、改め、アフラ・マズダも同様に七柱を生み出したらしく、アンラ・マンユと共に、立派な神器との事であった。
漸(ようや)く、口を閉じた善悪が、未だにびっくりして固まっているコユキを横目にしながら、興味深そうにオルクスに質問をした。
「なんだか、凄い事実が次々でござるな…… ところで、オルクス君の所属しているチームには名前みたいなのは無いのでござるか? 」
「? ……セイジョ、ト、ユカイナ」
「あ、ごめんごめん、でござる! 拙者たちのパーティ名じゃなくて、ほら、兄弟達との総称って言うか、通り名みたいなヤツでござるよ!」
善悪の言葉を聞いたオルクスは頷くとゆっくりコユキに向かって歩き始めながら質問に答えた。
「アフラ、マズダ…… ハ、キョウヨウ、スル…… アンラ、マンユ…… ハ、ミダス……」
そしてコユキのスウェットのポケットの横まで行くと、善悪の方を振り返って再び声を発した。
「ソシテ、ワレラ…… ハ、サバク…… スプラタ、マンユ、ハ、サバク……」
そう言った瞬間、今までになく大きく輝くオルクスの光に合わせるように、コユキのポケットから覗いた二本のかぎ棒、スプラタ・マンユが同じ様に光り輝くのであった。
光が収まると、ポカンと開いた口から、滴り落ちる涎(ヨダレ)を拭った善悪が、腕組みをして口を開いた。
「それはそうとして、馬鹿な状態のモラクス、君かな? が、どこを殺戮(さつりく)の荒野(エピック)に選ぶのか? そこが分からない限り我々『聖女と愉快な仲間たち』が後塵(こうじん)を拝(はい)するのは避け様も無い確定事項でござるなぁ…… 被害はゼロとは行かぬのでござるは残念至極……」
「34.429…… 136.324…… ウシ……」
オルクスの突然の発言に、数字? と首を捻りながらも、チラシに殴り書きしていく善悪、対してコユキは冷静に彼に問い返した。
「何、オルクス君? この数字って何か意味あって言ってるんだよね?」
コクリと頷いて、続けて言葉を発するオルクス、
「コレ…… イドト、ケ」
「分かった! 分かったでござるよコユキ殿! コレ多分緯度と経度、つまり北緯と東経ではござらぬかーっ!」
「……チッ」
コユキは驚愕していた、さすがは雨の日も風の日も、寒き時も、夏の暑さの中でも、欠かす事無く、毎週毎週、日曜日のお昼過ぎに二十五枚のパネルと戦い続けてきたトンチの力による、善悪の洞察力の凄まじさに、そしてオルクスが舌打ちするほど口惜しがった事に……
その口惜しさが有るのならば何度でも立ち上がれる、その気持ちを忘れんなよ!
だったら、きっと大丈夫だよっ、行けるさっ! と無責任に思ったのだった。
思ったが、思いはしたが、さてここからどうした物か、二人は頭を抱える事となる。