💚亮平side
❤️俺と…付き合ってほしい
💚!!!
非常階段に腰掛けたまま、涼太ははっきりと言った。
俺は涼太からの突然の告白に言葉が出ない。
今日、俺の方から告白するつもりだったのに…。
一体何が起きてるんだろう。
夢でも見ているんだろうか…。
❤️ごめん
💚え?
❤️いきなりこんなこと言われたら迷惑だよな。悪かった、忘れてくれ。
涼太は力無く立ち上がり、俺の横をすり抜けて非常口へ戻ろうとする。
💚待って!
俺は思わず、涼太の腕を掴む。
💚話を聞いてほしい
❤️…
💚いいよ
❤️阿部…
💚というかね、俺、涼太のこと好きなんだ。ずっと…好きだったんだよね。
❤️え……
💚俺、てっきり片想いだと思ってたから…嬉しくて……
驚いたんだ…と言おうとしたけど、語尾は涙声になってかき消えてしまった。
頬から涙がこぼれ落ちる。
涼太は何も言わない。
俺は言葉を続ける。
💚だから…取り消さないで。
❤️…阿部…
涼太はそっと優しく俺を抱きしめた。
夢にまで見た出来事が、現実になった。
俺は泣きじゃくって、その温かい胸に顔を埋めた。
💛照side
昼休憩が終わると、なんだか現場の空気がおかしい。
特にあの4人。
翔太と舘さんと阿部とめめ。
何かあったのか…?
特に阿部は目を少し腫らしていて、冷たいタオルで瞼を冷やして腫れが引くまで撮影を待つことになった。
誰かと、喧嘩でもしたのか?
阿部と戻って来たのは舘さんだけど…。
一方の舘さんはいつも通り、いや、いつも以上に顔色ひとつ変えてない。
阿部が喧嘩なんて珍しいしな…。
💛それに…
もう一組。
めめと翔太。
翔太が午後からはやたらと張り切って空回りしている。
そしてめめはなんとなくそんな翔太を避けているようだ。
なんか……あったなこれは。
まあ、メンバーもみんな大人だし、口出すことでもないけど…仕事の質が落ちるのは困る。
そんな俺の様子を察したのか、ふっかが俺のところへ来た。
💜照、どうかした?
💛なんか、おかしいよな。空気。
💜だね。
💛ふっかも気づいた?
💜まぁね。でも…
💛ん?
💜今、俺たちにできることはなさそうだよ
ふっかは、お手上げだというポーズをしてみせた。
そうなのか…?
でもふっかがそういうならきっとそうなのだろう。
それに本当にやばい事態になったら、きっとふっかも力を貸してくれるはずだ。
仕方なく俺たちは今日のところは静観することにした。
💚亮平side
仕事が終わり、家に着いて、風呂から上がって携帯を見たら、目黒からの着信があった。
すぐに掛け直す。
3コールくらいで目黒が出た。
🖤もしもし、阿部ちゃん?
💚うん。ごめん、出れなくて。
🖤いいよ
💚…今日はありがとう
🖤こちらこそ。阿部ちゃん、ちゃんと気持ち伝えられた?
💚あ……うん。ちょっと、びっくりするようなことがあったんだけど…
俺は、事の顛末を目黒に説明した。
🖤マジか!おめでとう!すげぇ!!俺、嬉しいよ!!
💚あ、ありがとう///俺もびっくりしちゃって思わず泣いちゃった…
🖤だから目が赤かったんだね
💚そういうこと///目黒は?どうだった?ちゃんと話せた?
🖤うん、話せたけど…
目黒は翔太にキスしたことを報告して来た。
💚やば!!まじか!!!
🖤でも、俺の方は同意があるわけじゃないし。まだまだこれからって感じかな。
💚そっか……
🖤でもはっきり気持ちは伝えたから。ここからはちゃんと待つよ。
💚うん…そうだね
🖤いいなあ…。俺も阿部ちゃんに続きてえ!
💚ふふ…。うまくいくといいな。
🖤これからも話、聞いてもらってもいい?
💚もちろんだよ!俺の話も聞いてね
🖤まかせて!
電話を切った後も、顔が思わずにやけてしまう。
叶うはずないと思っていた想いが叶った。
自分からは遠いと思っていた涼太の心を、思いがけず手に入れた。
俺、こんなに幸せでいいのかな……
でも……
翔太のことはもういいんだろうか?
ふと心に湧いた暗い疑問を、俺は意識的に打ち消す。
涼太を信じよう。
あの涼太が、いいかげんな気持ちで付き合おうなんて言うわけないんだから…。
俺は涼太が好き。
絶対に手放したくない。
涼太、俺を選んでくれたんだよね……?
❤️涼太side
これからは阿部だけを見ていよう…
帰るなり、グラスにウイスキーを注ぎ、水で割らずにそのままあおる。
すぐに喉が焼けるように熱くなる。
頭に一気に血が上るが、心は冷静なままだ。
❤️翔太……
昼間の目黒と翔太のキスが脳裏に焼き付いている。
でももう忘れよう。
翔太はもう、目黒のものになってしまうのだから。
未練がましく執着するなんてことはやめた方がいい。
何よりそれじゃ翔太が可哀想だ。
翔太はきっと目黒のことを好きになる。
いや、俺が知らないだけで、既に惹かれているのかもしれない。
きっと俺がぐずぐずしている間に、二人は仲を深めていたんだ。
目黒が翔太のことを好きなのは、薄々分かっていたじゃないか。
これからは俺は。
阿部の笑顔を思い出す。
昼間の泣き顔も思い出す。
この間家に来てもらったのも、心のどこかで阿部を好きになる予兆があったからだ。
うん、きっとそうだ。
そういえば……
あの後、例の阿部の話はよく聞かなかったな。
…まあ、いい。
何かあるならまた聞く機会があるはずだ。
なぜならこれからは俺の隣りの一番近くには阿部がいるのだから。
翔太じゃなくて、阿部が。
非常階段での阿部は見たこともない阿部だった。
頬を上気させ、目を潤ませて、とても真剣だった。
いつから俺のことをこんなに想ってくれていたんだろう。
きっとそれは俺が翔太を想っている時間と同じくらいの長さ。
そんな想像をしてしまうほどに、阿部の視線は熱かった。
だから俺は
阿部を泣かせたくない、と思った。
大切にしよう、と心に強く、誓った。
コメント
1件
思ったより長くなってて、さ〜せん!!🙇♂️🙇♂️もうちょい続きます!