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愛月☆
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連絡から三日後。
今日は涼子さんと食事をする日だ。
俺の行きつけの居酒屋に予約を入れた。
個室だし、リーズナブルな値段で結構気に入っている。
時間が経つにつれて俺の気分は沈んでいく。
うっかり問題が起こって約束が流れてほしいなんて悪い考えを思い付いてしまう。
ゲンドウポーズ(佐久間から教わった)をして、パソコンを睨みつける。
余程俺から負のオーラが出ているらしい。
誰も近付いてこない。
公私混同してる部長なんて最悪だ。
部下に示しがつかない。
あまりに情けなくて、さっきからため息が止まらなかった。
🩷「辛気臭いですよ、ぶ・ちょ・う♡」
💙「………何の用だ」
佐久間に俺の様子なんて関係ないらしい。
俺に近付いて小声で話しかけてきた。
🩷「部長。今日、涼子ちゃんとデートなんですよね♡」
💙「はぁ?……デートじゃない、迷惑かけたお詫びをするだけだ」
本当はちょっと違うけど正直に教える必要はないだろう。
デートのつもりなんてこれっぽっちもないのだから。
🩷「またまたぁ〜!部長ったら恥ずかしがっちゃって♡」
💙「……本当に、そう、見えるか?」
🩷「こわぁ〜い♡笑」
💙「………………お前なぁ…」
呆れて声にならない。
そろそろ仕事に戻るようにシッシッと手でジェスチャーをした時だった。
ガシッと強く手を掴まれ驚いて佐久間の方に目線を向ける。
さっきまでとは比べ物にならないくらい真剣な面持ちに戸惑いを隠せない。
そのまま佐久間の顔が俺の耳元へ近付く。
🩷「……どんなつもりだろうと、その顔のまま涼子ちゃんに会って悲しませたりしたら、
【俺】……部長に何かしちゃう、かも」
そう言葉を発すると、パッと俺から離れていつもの笑顔となり「それじゃあ私、仕事に戻りま〜す♡」と言いデスクへ戻って行く。
💙「………っ…」
突然のプレッシャーに呼吸を止めていたようで解放されて息が漏れた。
何が『こわぁ〜い♡』だ!
いきなり【大介】に戻りやがって。
………怖いのはお前の方だよ!
***
💙❤️「「………………」」
あの後、何事もなく業務が終わり駅前で待ち合わせていた涼子さんと居酒屋へ。
お酒とつまめる物をいくつか注文した。
品物が次々と運び込まれ全部揃ったところで乾杯をした後の会話は一言もない。
…………気まずい。
俺から話すべきなのか彼が話かけてくれるのを待つべきなのかわからない。
何もしないのも変だし、お腹も空いたからお通しのナスのお浸しを食べてみる。
程よい味付けと食感が口の中に広がった。
💙「うわぁ!うまっ!」
思ったより大きな声が出て慌てて口をキュッと閉じて手で塞いだ。
仲間内で伝統芸だと馬鹿にされるけど昔からの癖だ、中々直らない。
チラッと涼子さんを見ると「いただきます」と手を合わせて俺と同じくナスのお浸しを食べようとしていた。
よく噛んで飲み込むと顔を和らげる。
❤️「部長さんの言うとおり、とても美味しいですね」
💙「すいません。大きな声出したりして」
❤️「気にしないで下さい。そうやって感じたことを素直に言えるの、良いと思います」
💙「……ありがとうございます。ここの料理どれもオススメなんで、とりあえず食べちゃいましょう!話はそれからでいいですか?」
❤️「はい。お願いします」
こうして俺達は食事を進めていった。
さっきとは違い少し会話を挟めながら、ゆったりとした時間が流れる。
追加で注文した飲み物が届き、空いた皿を店員が下げていなくなったのを皮切りに口を開いたのは涼子さんだった。
❤️「部長さんの知ってる【宮舘涼太】ってどんな人でしたか?」
💙「…………自分勝手」
❤️「えっ…?」
💙「自分勝手だ。何でも自分で解決する。頼ってくれない。弱った姿を見せない」
久しぶりの酒でふわふわする。
一度開いた口は止まらずペラペラ動く。
💙「人の変化に敏感。悩み事があるってすぐバレる。俺は隠してるのに。意味わからん。ズルい」
視界がぼやける。
💙「俺が頼りなかった?」
前がみえない。
💙「……だから何も言わないで外国、行っちゃったの?」
“涼子さん“。
ふわりと優しい匂いに包まれる。
❤️「そうじゃないです、きっと」
気付けば俺は隣に来ていた涼子さんに抱きしめられていた。
❤️「本当は伝えたかった、と思います」
でも、いなくなった。
❤️「『頑張れ!』『応援してるよ!』って言ってもらいたいじゃないですか」
そうかな。
❤️「でも、出来なかった」
なんで…?
❤️「だって…………」
俺を抱きしめた腕が緩み、今度は両手で頬を包まれた。
自然と目が合う。
優しい眼差しに目が離せない。
暫く沈黙が続いた。
💙「……………だって、何です?」
俺の頬から手を外し「うーん」と言いながら考えるポーズをしている。
……え?今、考えてるの?
❤️「…………………ほら、心配ですし?」
💙「……心配、ですか?」
❤️「はい。……部長さんって一人じゃ何も出来ないんですよね?」
💙「…………誰がそんなこと言ってたんですか?」
❤️「あっ…」
涼子さんは両手で口を塞ぐが今更遅い。
💙「涼子さん?怒らないんで誰から聞いたのか言って下さいますか?」
❤️「……私は何も言ってないデス」
💙「何でカタコトなんですか?笑」
❤️「ソンナコトアリマセン。笑」
このやり取りが可笑しくて二人で笑い合う。
誰が言ったのか大体の見当はついてるから今度カマをかけてみようと思う。
俺の情緒が落ち着いたところで急に恥ずかしさが込み上げてきた。
💙「さっきは泣いたりして、すいません。……俺、恥ずかしい姿ばかり見せてますね」
❤️「泣くのは恥ずかしいことじゃありません。気にしないで下さい」
💙「本当にすいません。…………そろそろ、お開きにしますか?」
❤️「ですね。……帰りましょうか」
こうして俺達は店を後にした。
夜風にあたりながら駅前まで戻るとタクシーが一台停まっている。
どっちが先に乗るかで譲り合った結果、ジャンケンで決めることとなり、あいこが何回か続いた後、俺が勝ってしまった。
💙「……本当にいいんですか?」
❤️「そんなこと言ってたらジャンケンした意味ないですよ。どうぞ、お乗り下さい」
💙「……わかりました」
❤️「今日はありがとうございました。おやすみなさい」
💙「おやすみなさい」
タクシーに乗り込み発進した後でも涼子さんは見えなくなるまで手を振り続けていた。
その姿が今日で関わるのを辞めると誓った心の奥を揺るがせていた。
……歓迎会が終わったら、今度こそ辞める。
その決意が砕かれようとは、この時の俺は知る由もなかった。
今回の話はかなり難産でした。
居酒屋のシーン、何度書き直したかわかりません。泣
この物語の💙は泣き虫さんです。
ごめんね、💙。
さてさて。
次回は書きたかったシーンの一つです。
拙い文章ですが閲覧して下さる皆さんに伝わるように頑張ります!
お楽しみに!
P.S
前回も♡ありがとうございます。
累計♡が100を超えそうで驚いてます…!
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コメント
5件
設定が好きすぎる♡ 私、🩷さんは男前だと思ってるので『大介』が出てきたときにはもう、フゥーーー!!ってなりました!(語彙力…) ストーリーも面白くて続きがとても楽しみです♡♡
急に”サク美”ちゃんから”大介”に戻るのかっこよすぎる🩷 泣き虫渡辺部長も可愛いです💙
めっちゃ良かったです…!特に佐久間さんのギャップ、怖かわいいを通り越して本気で部長のこと大事に想ってるのが伝わってゾクッとしました。居酒屋での沈黙から食事を通じて少しずつ距離が縮まる流れも自然で、抱きしめられて泣いちゃう💙が切なくて愛おしかったです。最後の「辞める」決意が砕かれそうな予感、次回が楽しみすぎます…!