TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「ドワーフの拠点? ということは、ここで何かを守っている?」

「炎スライムが狙っているものがここにある。……倒したか?」

「倒すことは出来たが、生かしておいた。何か問題でも?」

「……何も無い。瀕死状態に出来る腕ならば、客人のお前に預ける」


話が見えないまま、ドワーフは淡々と話を進めた。スライムのことで実力を確かめられたような、そんな感じがする。


倒した方が良かったのか、それとも――?


あれこれ考えるおれに向けて、ドワーフの男は何かの装身具を見せてきた。


「――それは?」

「チャルカの首輪。ドワーフが認めた者にしか着けられない品になる。それをお前……」

「おれはアックだ」

「アックに預けることを決めた。この先、別のダンジョンにも拠点がある。アックが身に着けている首輪に気付けば、魔物を差し向けることが無くなる」


他のダンジョン内にもドワーフがいるってことか。


魔物を差し向けるということは守り人のようなものだろうか?


「よく分からないがもらっておく。……それはそうと、ここにドワーフの娘が来なかったか? おれの仲間なんだが……」

「たとえドワーフだろうと資格無き者には魔物を与えている」

「来てないんだな?」

「スライムに出遭う前に魔物に遭えば、ここにはたどり着いていない…………」


はっきり言って意味が分からないが、ルティたちは別の道に行ってしまった可能性がある。そうなるとスライムに止めを刺すべきなのか。


「この先には何がある?」

「この先は、外への出口。ロネード丘陵地へと繋がっている……」


やはりダンジョンにおける”最後”の拠点のようだ。思っていたより大して広くないダンジョンだったが、属性違いで難易度も変わるのだろうか。


この先が外なら、後は出て行くだけになる。その前に給水拠点ということならシーニャを休ませておくか。


「……ん? シーニャ? あれ……どこに行ったんだ」


ドワーフの男が知っている感じには見えないし、探すしか無い。話が長くなりそうだと判断するとシーニャはどこかにいなくなる癖がある。


それとも、自分で判断して水でも取りに行ったか?


「客人アック。ドワーフの装身具を集めて遺物を封じろ……」

「遺物を封じる? 何だ、どういう意味――うっ! い、いない!?」


ドワーフの男は役目を終えたかのようにおれの前から姿を消していた。あの男が亡霊だったのかどうかは分からないが、拠点のドワーフに何かを託されてしまった。


ここは古代文明の遺跡ダンジョン。何が起こっても驚かないが、簡単に頼られてもって話になる。


「アック、アック~! こっちに来るのだ!! 水が沢山あって涼しいのだ!」


亡霊ドワーフと話をしている間に、シーニャは水を見つけていた。声がした方に向かうと、気持ち良さそうに水浴びをしているシーニャの姿があった。


「ははっ、楽しそうだな」

「ウニャッ、ウニャニャ!! 気持ちいいのだ~! アックも一緒に入るのだ」

「飲み水としての貯水池のような気がするけど、まぁいいか」


装束一式を外したシーニャは、無邪気な姿で水に飛び込んでいる。さすがにそこまで脱ぐことは厳しいので、上半身だけ脱いで思いきり水をかけ合うことに。


「ほらほらっ! シーニャ、思いきり行くぞ!」

「フニャウゥ!! ウニャッ!」


拠点となっているが熱いことには変わりない。そのせいもあって、久々に水を浴びまくりだ。本来なら防具を濡らしてはいけないが、水属性と氷属性を併せ持っているので特に問題は無さそう。


そんな感じで、どれくらい経ったか分からないくらい遊んでしまった。


するとそこに――。


「あーーーーーーーーーーー!! ズルい! どうして二人だけで遊んでいるんですかぁぁぁ」


どうやらルティたちがここにたどり着いたようだ。

loading

この作品はいかがでしたか?

41

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚