コメント
1件
わっはぁ…すげぇ🫠🥲 いっつも凄い
夜10時。試合の時間が迫っていた。黒いタンクトップにジャケットをはおい、長い長髪もギチギチに結び、完全に戦闘モードとなった王尾は神楽とともに試合場へ向かっていた。
「神楽くんって、なにが好き?」
「あ……?」
「ほら、食べ物とか、スポーツとか」
「スポーツなら喧嘩だな!!」
「ふふっスポーツなのかなぁ……ほんと好きなんだね。まあ見てなよ」
王尾が会場の扉をギギ…と音を立てて開ける。
「先輩の背中ってやつを」
闘技場に立っていた対戦相手は神楽も知っている人だった。
「夢見流星…!?」
スラッとした長身に青と緑のコントラストの長髪を垂らし、ルビー色の瞳をした彼は、今最も勢いのある俳優として、バラエティや映画にひっぱりだこの夢見流星だ。
「なんであんたみたいな人がここに…!?」
夢見は自分の長髪を編みながらにこやかでありながら、冷たい瞳をこちらに向け答える。
「俺のうちは貧乏でね。親父も病気を患っててそれで芸能人になって金を稼ごうと思って…でも、それじゃ足りなくてね。それでここに流れ着いたわけさ…」
なんだか、勝ちにくいムードになったようだが、それも王尾はあまり気にしていない様子だ。
「それじゃ、始めよっか!」
神楽が観客席に座り、ゴオン!!という開戦のゴングが鳴り響く。
「俺は……勝つんだ!」
夢見が、自身の腕をクロスさせ、手印を作り、異能力を発動する。
「異能力「八重帯の八条蛸!」
その瞬間、夢見の指が変形し、蛸の吸盤に変わる。その蛸が王尾に向かって、全速力で伸びてくる。しかし、それを軽く膝を曲げ、スレスレのところで回避する。さらに、その吸盤をつかみ、一本背負いで投げる。
「せやあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「そうはさせないんだよね!」
夢見が床に倒されたーと思ったのはつかの間のことですぐに夢見が立ち上がる。
「あれー?」
「俺は体中を蛸に変えれる。つまりどんな攻撃も吸盤により吸収されるんだよ」
そんなのズル…!と思う暇もなく、吸盤が王尾に張り付く。
「えっ!?ちょっ!離してよ!」
しかし、もちろん離す気はない。それでも、No.3だ。
「うおらああ!!!」
ブチブチィ!!と吸盤を破り、反撃に転じる。
「俺の吸盤を破る…!?」
「さー、先輩のちから!見せるよ!」
「異能力「大河の女王」!!」
異能力を発動すると同時に、みるみる体が伸びていき、小柄な身長から大柄になって、ゆうに3メートルを超える。さらに茶色い毛皮に長く鋭い牙、瞳には面影を残し、王尾は
「マンモスモード!!」
「マンモスと戦うのは初めてだよ…!」
「私は…!あなたを圧倒して倒すよ!」
マンモスとなった王尾は夢見を潰しにかかる。それを必死に夢見も避けるが、次に長い鼻にふっ飛ばされる。
「まだまだ!」
「ぐうう…!」
吸盤でうけとめて夢見も応戦するが、マンモスの馬鹿力により、闘技場の壁にふっ飛ばされる。吸盤を出すひまもなく壁に激突し、失神した。その時、王尾霞の勝利のアナウンスが響き、マンモスから通常の姿に戻り、こちらににこやかな笑顔を向けた。
「これが先輩の背中だよ!」
「なんの参考にもならんかったぞ…?」
そういって、二人は闘技場を後にした。
「うう…」
王尾たちが去った後の闘技場で夢見は目を覚ました。
「くそっ…また稼ぎ直しかよ…!」
「いいねきみ!」
「あ…?誰だ?」
観客席で見ていたのは、ダイヤモンドレリュクのオーナー、雪之丞凛だった。