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第6話:「部活バレた!?サムが美術室に乗り込んできた件」
その日も放課後、美術室にはいつものようにツムが来ていた。
「今日も筆が踊っとるな〜!見てて気持ちええわ〜!」
「それ、筆じゃなくてツムのテンションの話では?」
「正解!俺の心は常にジャンピングスマッシュや!!」
「うるさいなお前の鼓動、常に試合か」
絵の具の香りと、ちょっとした会話。
それが最近の私の日常になってて、
……なんか、それがちょっと、心地よかったりする。
けど、その日は違った。
——ドン!!
「ツム、お前マジでなにサボっとんねん!!」
突然、美術室のドアが音立てて開いた。
現れたのは、やや怒り気味の宮治!!
ツムの双子の弟で、バレー部の良心(たぶん)。
「お前、ここ最近毎日美術室いきよって!! もうほぼ“画家”やん!!!」
「ちゃうねんサム、これは“芸術と青春の融合”っていうか——」
「融合してる場合ちゃうわ!!部活のやつらツムのこと“フェードアウト系男子”って呼び始めとるぞ!!」
「それはちょっとカッコええ!!」
「黙れ!!」
……って、修羅場始まった!?!?
「……えっと、怒ってるところ申し訳ないけど、 侑、普通に最近真面目にしてたし……別に迷惑もかけてないから……」
なんか見てられんくて、ついフォロー入れてしまった。
するとサムがピタッと止まって、私をじっと見た。
「……へえ、あんた“大浜いちか”か」
「え、うん……はい」
なんか圧、すごくない?
「……ツムのこと、どう思てんの?」
「え!?ええええ!?!?!?」
来たああああああああ!!
爆速で核心突いてきたあああああ!!
「えっ、えっと、その、まあ……楽しいし、嫌ではない、というか……」
「え、ちょ、うれしい……うれしすぎて今俺、春高優勝しそう」
「ツム、静かにしてろ」
その後、サムはため息ついて言った。
「……ツムがバレー以外に真剣になるん、実はめっちゃ珍しいんよ。
だから、そんな顔見せられたら、そら心配もすんねん」
……やっぱ、兄弟なんやな。
侑のこと、ちゃんと見てる。信頼もしてる。
でも、それ以上に守ってやりたいんやなって思った。
「……大丈夫。ちゃんと向き合うから」って、私は答えた。
するとサムは、「ならええわ」とだけ言って、
帰り際にぽそっと言い残していった。
「……北さんにもちゃんと報告せなな」
「うわ北さん報告制なん!?管理しっかりぃ!!」
コメント
4件
フェードアウト男子かっこいいやん(