テラーノベル
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───ピッ……ピッ………
『………』
あれから3日経つが目覚めないシオン
そんなシオンを心配して、MZ団のやつらにユカリ
そしてオレが居らん間にヌーヴォの兄ちゃんも来とったみたいや
やからか、シオンが寝ている横の机にはパンやら林檎やら色々置かれている
一方アチャモはというと、倒れた日から変わらずシオンの傍で寝続けている
ふと横を見ると傍で羨ましそうにアチャモを見つめているホイーガ
「ホイーガ、お前はあかんで」
〖ギャ……〗
病態は悪くないいえど、やはりこの時間や空気は好きじゃない
〖脈共に容態は良く、ちょっとしたショックで倒れてしまっている状態かと思われます〗
医者はそう言いよったけど、このまま息が止まってしまうのではないかと怖くなる
それに、無事起きたとしてもまた記憶を失っていればどうする?
今度はオレだけやなくて、MZ団の連中まで忘れとったら可哀想やろ
彼奴らはお前をあんな慕っとんのに
「…なんで…いつも勝手なことするんや」
シオンの頬を優しく撫でたあと、ふと横に置いていたシオンのスマホを見る
パスワードが分からず3年間開かなかったスマホ
電源がついているうちにパスワードの設定を変えていつでも見れるようにしていた事を忘れていた
スマホを手に取り開く
そして自然とフォトギャラリーを見てみる
「…なんやコイツ、オレしか撮っとらんやん」
ふっ、と切ない笑みが浮かぶ
4年前のシオンはことある事に写真を撮っていた
本人曰く『忘れたくないから』と言っていた
今思えば、オレもシオンの事をもっと撮っておけばよかった
「ほんま何もかも後悔だらけやないか… 」
そう呟きながら、連絡アプリ等を一通り見たあと最後に日記帳アプリを開く
「(なんや書いとるやん)」
初めの頃は〖初めてポケモンに会った〗とか〖クロワッサン美味しい!〗というような、まるで小学生が書いたような日記が連なっている
「(彼奴ずっと施設におってポケモンもろくに見れんかったもんな)」
他にも〖施設から支給されたもの以外のメイク道具初めて見た!凄く綺麗で可愛い!!〗など、何せ初めて出会うもの全てを記録している
それにオレについても書かれていた
最初はやはり当初の目的通り殺そうとしていた様子のある文に少し眉を顰めるがすぐに〖ターゲットの人めちゃドタイプ!!〗とかいう脳天気な文に笑みが零れる
「ははっ、此奴はほんま阿呆やな」
しかし明るい内容だった日記が夏終盤あたりになるとシオンの日記の様子がおかしくなる
〖*死にたくない*〗〖*忘れないで*〗
短文で書かれた日記とは言えないようなページが多くなっていた
それから完全に秋に入った途端、日記帳を見て息を飲む
それは4年前のシオンが一切見せなかった、施設への憎悪や殺意
毎日ニコニコ笑っていて、辛いことなんて何も無いと言った顔をしていたシオン
実際あんな環境に置かれて、普通な方がおかしい
この日記を見るにかなり精神的にも追い込まれていたのだろう
〖*あーぁ、なんで私は普通の女の子じゃないのかな〜*〗
「もっと違う関係で出会えとったら、か……」
もしお前があの施設におらずに普通の女として生きとったら、今よりずっと幸せやったやろう
………オレもお前を幸せに出来ていた
グッと唇を噛み、更にページをめくると冬近くになっていて日記も先程とは打って変わって落ち着きを払っていた
しかし文面こそ落ち着いて見えるが、滲み出るこの世への未練
そら、まだ当時18の若いのが死を受け入れるなんて到底できるはずがない
〖ねぇ、カラスバさん。ずーっと、好きですよ!〗
あの純粋無垢な笑顔の裏にどれ程の憎しみと悲しみ、そして死への恐怖を抱え込んでいたのだろうか
それに気づくことが出来なかった自分が憎い
「…っ、すまんかった…気づけんで…」
ポタッ、とスマホの上にカラスバの涙が落ちた時だった
『───えっ!?な、泣いてる!?』
横から聞こえる、慌てたような声
その声にハッ、と横を振り向くとそこには目を見開き驚いたような顔をしたあと、どこかバツが悪そうに目を逸らすシオンがいた
『バレちゃった〜……』
「…は……」
『あーぁ、カラスバさんの泣き顔なんてレアなのに誰かさんにスマホ取られてるせいで写真撮れな────』
──トク…トクッ……トク…
シオンの言葉を待たず、シオンを強く抱きしめるカラスバ
そんなカラスバに驚いたあとすぐ柔らかい笑みを浮かべ抱きしめ返すシオン
『ふふっ、も〜。甘えんぼさんですねぇ〜?』
生きとる。心臓が、動いとる
それに今目の前にいるシオンは 4年前のシオンがよくしてた作られた猫撫で声に4年前のシオンが笑った時の 眉を下げて意地悪げに笑う笑顔の癖
まさか…
「シオン、お前……まさか───…っ!? 」
カラスバがシオンへ問いただす前にチュ、という可愛らしい音を立てカラスバの口に柔らかい唇が当たる
『カラスバさん、ただいまっ…!』
窓から差し込む光に照らされ、シオンの綺麗な髪がキラキラ輝いている
ああ、夢やないよな
今目の前におるシオンは、本物なんか?
そんなカラスバの思いをまるで分かっていると言うように、シオンがカラスバの頬を両手で包み込み笑う
『夢じゃないですよ、カラスバさん
ずっとひとりにして…ごめんなさい。』
そんなシオンに安心したのか、先程よりも大粒の涙を流すカラスバ
『えぇっ!?わっ、だ、だ大丈夫ですか!?』
「っ、ずっと…ずっと会いたかった…」
シオンを強く抱き締め、胸の中に顔を埋めるカラスバに目を見開き少し驚いたあと優しく頭を撫でる
「好きや、シオン」
『んっ…私も、大好きです』
チュ、チュ…と可愛らしい音を立てて何度も優しいキスをする
まるで離れていた時間を埋めるかのように、ずっと
︎︎ ︎︎︎ ︎︎︎ ︎
〖ヂャーッ!!〗
〖ギャピピッ♪〗
〖ギャッ♪〗
そんな2人を遠くで、暴れるアチャモを咥えたペンドラーとホイーガが嬉しそうに見つめていた
コメント
9件
泣きそう 良かったね〜カラスバさん (´;ω;`) シオンちゃーん!!! みんなにちゃんと会ってやれよ〜!!!
絶対に最終回が来て欲しくないNo.🐶ですね!!!
最終決戦の所までしっかり書く予定なので、まだ少し続きますが引き続き読んで頂けますと幸いです🥲