金豚視点
どこに行ったか、なんて、クラスメイトとやらが知っているはずもなかった。
誰も、アイツに興味なんか示していない。
そんな教室という地獄みたいなものに自分の身を置き続けるのは、流石に吐き気を催した。
彼を探すついでに、廊下の曲がり角にあった男子トイレへと向かう。
ガラガラッ___
「つっめた…」
そこにいたのは、ずっと探し回っていた彼だった。
「ん、?」
こちらに気がついた彼は、びしょ濡れだった。
頭から足まで、びっしょりな姿に、驚きを隠せない。
「あ〜、転校生か…、ごめんね?こんなの見せちゃって」
制服をそのままで、トイレから出ていこうとする彼の腕を掴む。
「…何?」
引きつった笑顔を見せる彼を片手に、自分の顔が歪むのがわかる。
「…保健室行くで」
保健室には、先生は不在だった。
勢いで連れてきたはいいものの、今日初めて来た学校でここに辿り着くまでに何度も迷子になった。
その度に、彼に案内して貰っては迷惑をかけてしまった。
「す、すまん…」
「別に」
口数の少ない彼だが、行動はとても優しい。
腕を掴んでいた俺の手を優しく離し、そのまま保健室の中へと入っていく。
「何、入らないの?」
「え、あ…」
「…やっぱり、僕が怖い?」
また、苦しそうな、そんな笑顔。
「…全く」
それだけ返して、彼の横を通り過ぎて中へと入る。
奇跡的に見えるように置いてあったタオルを一枚拝借し、それで彼の頭を優しく拭く。
人の頭を拭くのは、力加減がどうもわからない。
「…自分でやるよ?」
首を傾げながらやる自分に、タオルの中から視線を向ける彼。
青い瞳が、こちらをじっと見つめる。
綺麗な__
「青色…」
「え?」
「あ」
しまった、つい声に出してしまっていた。
「ご、ごめ…」
「…怖くなった?」
真顔でそんなことを聞く彼に、俺は一瞬、彼が、自分が怖がられることを望んでいるのではないかという気がした。
「…なぁ、お前さん、怖がられたいんか?」
『怖がられたい』
即答するも彼は俯き、表情は読み取れなかった。
どんな顔をしているのか、今、どんな気持ちでそう言っているのか。
もっと、彼という存在が、分からなくなった気がした。
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怖がられたいか、なんて、僕にはわからなかった。
でも、怖がられる存在であれば、誰にも相手にされない。
僕は、怖がられたいんじゃない。
「透明人間になりたい、かなぁ…」
コメント
7件
らっでぃは何で怖がられとんねん.....こんなこといっちゃぁいけねぇが、だったらきょーさんと同じカラコンっちゅー説に行かなかったんか?そんな高校生って低脳だったっけ?きっしょ、クラスのやつらきょーさんとからっでぃ以外潰れればいいのに。きょーさん力加減わかんないのかわえぇ....癒しぃ(*ˊᵕˋ*)
うん。毎度毎度発狂しそうになる。誰もいなかったら絶対叫んでたわ、、、 今回も前回も次回も神作品ですね!!(?)ありがとうございます!!! (最近脳がのりしおさんの作品で埋まりそう(?))
きょーさん( ;∀;)不器用なのちょっと可愛い..... らっだぁ....ぽ前は何で怖がられたいんだ.......