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ゆゆゆゆ
#Paycheck
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夜の道。
静か。
人も少ない。
街灯がぽつぽつと並んでいる。
エリオットとチャンスは並んで歩いている。
足音だけが響く。
チャンスはポケットに手を入れている。
コインを指で転がす。
カラン
エリオットがちらっと見る。
「まだやってる」
チャンス。
「癖」
エリオット。
少し笑う。
「おそろい」
チャンス。
「……」
エリオットは歩きながら。
ふと立ち止まる。
街灯の下。
柔らかい光。
チャンスが一歩進んでから気づく。
振り返る。
「どうした」
エリオットは何も言わない。
ただ見てる。
チャンスを。
いつものにこにこじゃない。
少しだけ静かな顔。
チャンス。
「……なんだ」
エリオット。
ゆっくり近づく。
そして――
ネクタイ。
ぐい
チャンスが前に引かれる。
街灯の光。
二人の距離が一気に縮まる。
チャンス。
「……」
エリオット。
小さく言う。
「チャンス」
「ん」
少し間。
エリオットの目が揺れる。
「さっきの続き」
チャンスの呼吸が少し止まる。
「……」
エリオット。
「責任」
チャンス。
「……ああ」
エリオットは少しだけ笑う。
でも。
逃げない。
目を逸らさない。
チャンスも逸らさない。
沈黙。
街灯の光。
夜の空気。
チャンスが低く言う。
「エリオット」
「ん」
「今」
少し間。
「シラフか」
エリオット。
にこっと笑う。
「うん」
チャンス。
「……」
それだけで十分だった。
チャンスが一歩近づく。
今度は――
チャンスの手。
エリオットのネクタイ。
ぐい
エリオットが少しだけ引き寄せられる。
距離。
ゼロ。
一瞬。
互いに息がかかる。
エリオットが小さく笑う。
「チャンス」
「なんだ」
エリオット。
「逃げないで」
チャンス。
「逃げてない」
そのまま――
触れる。
キス。
短く。
でも。
はっきりと。
静かな夜。
街灯の下。
数秒。
離れる。
エリオットの目が少し丸い。
それから。
ゆっくり笑う。
「……した」
チャンス。
「したな」
エリオット。
「コイントス」
チャンス。
首を振る。
「いらない」
エリオット。
「なんで」
チャンスは少し笑う。
「もう決まってる」
エリオット。
にこっと笑う。
そして――
ネクタイ。
ぐい
チャンス。
「……」
エリオット。
「もう一回?」
チャンス。
小さく息を吐く。
でも。
少しだけ笑っていた。