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分からないことを考えても仕方がない。
とりあえず周りを調べてみることにした。
「魔力探知」
魔力探知、自身の魔力を目や鼻等の感覚器官に集中させ周りの魔力や魔力の跡を視る事が出来る。取得難度は低いが人や物の捜索、上達させることで魔力の量を視る事が可能となり、医療機関でも活躍している凄い魔法。
これで周りの物を調べてみることにした。
重くてまともに使えなさそうな剣の柄、ゴツすぎてまともに動かせなさそうなグローブ、さっきからずっとピカピカ光って目に悪い箱…なんか怖い。 …魔力の反応は無い。 こんないかにも魔道具な道具に魔力が無い、微塵もない…跡も無い。 じゃあどうやって動かすのだろう?特にこのピカピカ箱、目がおかしくなるので止めたいのだが… そう思い少し触ってみることにした。 子供が寝ていた部屋に危険物を置くわけ無いだろう。敵でなければ…人を食べるような怪物じゃなければ…
「ていやぁ!」
気合を入れ側面にあるスイッチを押した。 今の好奇心100%の僕は誰にも止められない。この動力源不明のピカピカ箱の使い方を解明するのだ。
「ジリリリリリリ」
大きな音が出た。視覚的にやかましいのが聴覚的にもやかましくなってしまった。一体誰がこんなことを!
ドタタバタ
まずい…何か来た。やかまし箱の音を聞きつけたようだ。早く、どこかに隠r
ガッチャン
「こぞーう!起きたようだな!目立った怪我も無いようだな、いやー心配したんだぞ!」
扉から出てきたのは身長が2mくらいある少しふくよかな大男だった。
「何の音かと思ったら、デジタル目覚まし時計のアラームを鳴らしちゃったんだな。今消してやるぞ。」
よくよく見ると優しい顔つき、しかし、やかまし箱の音でパニックになっていた僕にそんなことは関係ない。 やかまし箱のでかい音に誘われて怪物が来た。 …食われる!
「いやー好奇心旺盛なのは悪いことじゃないが、たまに怖い物もあるから気をつけてな。」
「怪物だ!! 食われる!!」
「へ?」
「嫌だぁー!」
「こぞーう!?」
僕はとっさに開けてあった扉から飛び出した。食われたくは無いのだ。 しかし身長120センチくらいしかないか弱き僕は2mの怪物になすすべなくとっ捕まりキッチンらしき場所に連れてこられた。僕を食うつもりだろう。今僕は椅子に座らされている。別に縛られている訳では無いが。
「危ないし何しでかすか分からんから大人しく座ってろ。」
と言われている。どうせ僕をここに固定するための言い分であろう。一番危険なのはあの怪物だ。 …今やつはキッチンで何か作業している。今なら逃げられるか? ただ…何だこの圧は、動いたら殺される…そうひしひしと伝わる…。ああ… 拝啓 お母様、僕は今死にそうです。2mのわけわからん怪物に殺されそうです。僕もそちらに行けそうです。ああ…もうちょい生きたかったなぁ。 …何ださっきから、このはちみつみたいな甘い匂い…ホットケーキ?
「はいいっちょ上がりっ!お前やっぱ腹減っただろ?俺特製フワッフワホットケーキだっ!」
一段一段が分厚くふわふわしてるホットケーキが3段僕の前に運ばれてきた。上にはバターとはちみつが蜜蝋ごと乗っかっている。周りには色とりどりのフルーツ達、とても美味しそうだ。 だがやつのことだ、どうせ毒でも仕込まれているだろう。こんな見え見えの罠に引っかかるとでも?
「グゥ~」
まずい…もともとお腹は空いていたがこんなのを見るとますます…
「やっぱり腹減ってたんだなぁ、遠慮なく食べな。…アッそうだよな、いきなりこんなん食べたらお腹大変なことになるよな。ちょっと待ってな。」
少しすると目の前に暖かいホットミルクが置かれた。
「これ飲みながらゆっくり食べるんだぞ。誰も取らんから。」
…とてもまずい。いや、ホットケーキがじゃなくて、状況が…まさかホットケーキだけでなくホットミルクまでも刺客として来るとは。このホットコンビ…最強じゃないか…まずいお腹が空いた…ええい!こんなん我慢出来るわけないだろ!僕は食べるぞぉ! ハグッ
「あま~い」
ハグハグッ
「おーおーいきなりがっつくな、喉突っかかるぞ。ミルクも飲め、まだ万全じゃないんだから、落ち着いて食え。」
めちゃ美味しい、あま~いホットケーキも美味しいし周りのキウイやイチゴでさっぱり出来るから甘いのが口に残らない、ホットミルクで体が温まる。…ハッ 完全に罠にハマった!?くそうどれもこれもこの怪物が料理上手なせいだ!
「…とりあえず落ち着いたようだな。ちょうどいい、自己紹介をしよう、俺はラグナ、辺境のしがない科学者さ。…もしよかったらお前の名前も教えてくれないかい?」
「…」
もしもこの人に僕の名前を教えた場合、どこかから名前が聞き出されて僕がここにいることを奴らにバレてしまうかもしれない…だがカガクシャ?王都では聞いたことがないな。
「…まぁそりゃそうか。まだ出会ってまもない相手に自分のことは教えたくないもんな。」
…でもこの人なら…見ず知らずの僕を助けてくれたこの人なら大丈夫じゃないだろうか。運の良いことにここは王都から大分離れているようだし…しかも王都で聞いたことがない職業?称号?を名乗っているから少なくとも王都に深く関わっているなんてこともないと思う…
「僕はネルフと申します。助けていただきありがとうございました!」
まぁ僕の名前長いから。一部分だけならいいだろう。
「…そうか!よろしくなぁネルフ…よかったぁ最初めちゃくちゃ警戒されてたからな…ちょっと悲しかったんよ…」
そりゃあやかまし箱でビビってた僕の目の前に突然2m現れたんですもん。そりゃ警戒もしますよ。 怖いんですもん。
「そういやネルフ、お前何で家の玄関なんかで倒れてたんだ?訳ありかい?」
「まぁ…そんなもんです。」
兵に追われてました☆何て言ったら速攻兵に突き出されて終わりだろうな。
「これからどうするつもりだい?」
そういや考えてなかったな。…どうしようか。
「その顔は何も考えてなかった時の顔だな、俺もよくするからわかっちゃうぞ。」
どうしましょう。このよくわからん場所で生きていける気がしねぇ。
「…なぁネルフ…お前さえよかったらここで俺の助手をしてみないか?」
…正直行き場のない僕にとってかなり魅力的なお誘いだ、だけど取って食われたりとかしないだろうか?そもそもカガクシャって何をするんだ?あのやかまし箱が関わるのならやりたくないのだが…
「ああ、危険なことはやらせないし、服も明日追加を買いに行こう、帰りたくなったりしたならすぐに送るし、朝昼晩のご飯は俺が作るけど…」
「やります!!」
「いきなりだな!?」
こうして僕は科学者の助手をすることになったのだ。 …けっしてご飯のためではない。行き場がないので仕方なくだ。 …次はミルクレープが食べたいなぁ。