テラーノベル
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どうすれば、どうすればよかった?
また爆破が僕たちを襲った。
こんな事になるなんて思ってなかった…
爆破で崩れた校舎。瓦礫に埋もれた僕の足。上を見上げれば真黒な空が見える。
せっかくここまで来たのに… あぁ、クソ!またやり直さないと…
次は、次は……
いいや……
…初めから諦めてたら……?
ー パラジャスト 1 ー
『むかしむかし、何も無い空間に、1つ光が生まれた。たった1粒の奇跡…それを神と呼んでいる。神はとても頭が良かった。数千年、数万年、もっともっと長い時間をかけて、ありとあらゆる存在を作り出した。土、水、火、生物…そして平和な世界も作り出した。
とても充実した世界だった。ただ神にとって、それはかなり退屈だった。争いなんて何も無い、ただただ同じ日々を繰り返す。そこで神は違う価値観の生命を取り入れようと考えた。
人間、天使、獣、その他色々…彼らはお互いに線を引きあった種族だけで無く、性格や能力の有無、好みまで比べ、貶し始めた。
遠くから見ると綺麗でも、近くで見ると汚れている。変わってしまった世界を見て、神は笑った。
ある日、魔王は人間と争いを起こした。理由は無いだとか。結果的に悪魔たちが負けた。神は彼らに罰を与えることにした。それは彼らがいちばん嫌う、種族の線を消すことだった。
その年から生粋の悪魔は存在しなくなった。いるのは人間と悪魔の混血だけ。人間は彼らを嫌った。それ故に悪魔も、人間を嫌った。
ある年、魔王の子供で初めて男児が生まれた。5人の姉妹は彼にとても興味が湧いた。だが世話をするうちに一番下の妹は気づいてしまった。私が可愛がられなくなる、と。妹の異変に気づいた長女は、嫌な予感を感じていた。
ある晩に、弟を連れて魔界を抜け出した。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
姉は弟を、平和の国がある世界に送った。赤ん坊だった弟には、知る由もないだろう。』
誰かこの本にインクをこぼしたのだろうか。文の途中が黒く汚れていて文字が読めなかった。
小学校程の身長。白髪のショートヘア。白く長いまつ毛に黄色い目。彼、ヒロは目の前にある校舎を見上げる。
兎頭鬼中高一貫校。そう書いてあるもんをくぐって思う。
僕が今日から通うココは、きっとこれからたのしい日々を与えてくれるのだろうと。
指定の教室に入り、自分の名前の書かれた席に着く。カバンを置いてふぅと息を吐くと、辺りを見回した。どの机にもカタカナのニックネームのようなものが書かれている。この世界ではこれが普通だ。一昔前、本名を知れば命の取れる能力を手にしたものが現れ、大量殺人が起きたからか、本名の上にニックネームを作り、本名は大切な人にしか教えないと会うルールが出来た。
ヒロが父に初めて教えてもらったこの世界のルールだ。懐かしいな、と思い出していると誰かが隣の席に座る。
「…初めまして。」
白いくせっ毛の双葉のアホ毛を付けた少年がこちらを見ていた。猫目でうすーく桃色のかかった白い瞳をしている。綺麗な二重と涙袋。猫口で、何を考えてるのか分からないような雰囲気。
「…あの、そんなにまじまじと見つめないでください…なにか顔に付いてますか…?」
「…あ。」
無意識に顔を見つめていたらしくヒロは謝罪ついでに自己紹介した。
「ごめんなさい。すごく綺麗な顔をしてたから、見入っちゃった。僕はヒロ。」
綺麗な顔と言われ、彼は少し照れくさそうだった。
「ええーっと…その理由ならば仕方の無いことですね。大丈夫です。…私はレイです。よろしくお願い致します。ヒロくん。」
そう言ってほほ笑むと、前に向き直してカバンの整理をし始めた。
しばらくして、担任が前の扉から入ってくる。
黒髪ショート。ごく普通の、20代男性。
「…みんな揃ってるかな?新中学1年生の皆さん、こんにちは。初めまして。俺は担任のニジタです。自己紹介…そうだなー…あ。実は捨て子を2人育てていてね、彼らはみんなの先輩の中学三年生でここに通ってるんだ。良かったら仲良くしてあげて。…あとはー…俺、恋人いなくてね…知り合いにムキムキの屈強な男の人がいたら、紹介してよ。」
あはは、と笑いながらニジタが教卓の上に資料を置く。
「……それじゃあ、今日の始業式のやり方と、来週の予定を伝えていくよ。メモは各自取ってね。」
「それじゃあヒロくん。また明日。」
始業式を終えた放課後。ヒロは来週の予定のメモを見返していた。レイに手を振って手元のノートに目線を戻す。
身体測定、能力測定、部活の見学と決定、新四天王+四天王指示者の訪問。
学校っぽいなと思いながら荷物をまとめる。
カバンを持って廊下に出る。廊下の先にある階段でヒロに向かって上から人が倒れてきた。
「うわっ!」「ぎゃっ!!」「危ない!」
倒れたヒロが起き上がって、自身の上に倒れている人の水色の髪を眺める。上から人が2人降りて駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫?…って、入学生?!ご、ごめん!怪我してない?」
濃い紫色で前髪がクロスしている。外ハネしたミディアムヘアで、横髪の上の方にぴょんと飛び出た毛先がある。左右で違う色、青と赤の瞳とまあるく可愛い形の目をしていた。
「…にゅ、入学生?大丈夫…??」
「あ、大丈夫ですよ。」
そう返事をすると後ろに立つ、いかにも私が落としてやりました。という顔の少年を見上げた。茶色く輝く髪。長い横髪と短い後ろ髪。光の入らない濃い緑色の瞳。彼は微笑んでヒロに顔を近づけるようにしゃがみ込んだ。
「どうしたの?入学生くん。そんなに人の顔を見つめるなんて、失礼じゃない。」
「…無意識なんですよね。でも、綺麗な顔をしてますよ。2人とも。」
そう言うと、2人は目を合わせた後、紫の子が先に 自己紹介をしてくれた。
「…僕はテン。飛び級で、本当は小学五年生なんだけど、中学二年に入らせてもらってるよ。」
「…僕はキョウカ。そこの青いのをいじめるのが好き。よろしくね。」
「…僕はヒロです。よろしく。」
2人と会話をしてると、水色の少年が顔を上げてヒロを見た。ピンで止められた前髪はセンターパートになっていて、横髪がサラッと流れる。
「…白い髪に…黄色い目…」
じっとヒロの顔を見つめたあと、はっとして急いで 立ち上がる。
「わ、わりぃ、キョウカが押して来るから……ヒロって言ったよな。俺はジャク。よろしくな。」
ジャクの差し出した手を掴んで立ち上がる。
「ジャクくん。よろしく。」
服の汚れを手で払っていると、テンが今日とジャクを掴んでヒロに言った。
「せっかくだからさ、今日は4人で帰ろっ!ね!」
キョウカとジャクがなにか文句を言う前にテンが2人を引っばって階段を降りていく。
「玄関で待ってるから!早く来てよ〜?」
何気に1番強いのはテンなのかな。と思いながらヒロも玄関に向かった。
「あ、きたきたー。 」
テンがニコッと笑って近づいてくる。
「ジャクもキョウカも、ヒロくんと帰りたかったって!もう友達だねっ!」
少し不貞腐れた様子の2人をみて、ほんとにそうか…?と疑問を持ちつつテンを見る。
「…友達なら、なにか奢りますよ、先輩方。…パフェとか。」
え゛っ!と言うテンと、ゆっくりこちらを振り替える2人。
「…へっ、友達だからな。先輩なんて呼び方やめていいと思うけど。」
「…珍しくジャクと気が合ったよ。そうだね。敬語もやめてさ、早く行こうよ。」
2人の態度の変化にドン引きのテンと、初めての一緒に帰る友達にニコニコのヒロだった。
【番外編】パフェ!
大量のクリームの上にいちごが乗っかり、更にその上にたっぷりの練乳がかかった、罪深いパフェ。1口すくって口に運ぶと、甘酸っぱいいちごと甘ーいクリームと練乳の味が口いっぱい広がった。
「…僕もパフェ作れるんだけどね、これも美味しいよ。 」
ヒロのその一言に、ジャクとキョウカが食いついて、キョウカが先に質問する。
「…ヒロくん、スイーツ作りが好きなの?」
「ん…スイーツというか…料理…??」
「え、じゃあ弁当とか作れたりすんの?」
「そりゃあもちろん。作ってあげようか?」
2人が目を合わせる。
「お願いします!」「お願いするよ。」
テンはパフェをもぐもぐしながら、ありえない速さで馴染んだヒロを見る。
「2人とも良かったね。もう菓子パン生活じゃ無くなるじゃない。」
ヒロは少しだけ、来週の登校が楽しみになった。