TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜

一覧ページ

「Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜」のメインビジュアル

Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜

8 - 第8話「fate can't be changed」〜運命は変えられない〜

♥

400

2023年04月19日

シェアするシェアする
報告する

伸ばされた救いの手を引いても、伸ばした人が必ず幸せになるかは分からない。生きている限り運命は体に纏わりつく。

だから僕が貴方の手を引くかどうかも運命。

でも僕が出した答えは、分からないだった。

それでも意に反して、僕の手は貴方の手に触れようとしていた。

ふと僕は貴方の手から目を離し、顔を見た。

冷や汗がじわじわと額に浮かび、目は少し充血していた。泣いていたのかもしれない。手には力がこもっていて、体全体で僕のことを急かしていた。


湊(あ……..僕は……貴方の手を……..引くことはできない!


勢いをつけて咄嗟に出た言葉。

貴方は血の気が引いたように青ざめていた。

**********************

きっと私は貴方のことを急かしていただろう。自分でも冷や汗をかいているのを感じた。決して暑いわけじゃない。けれど雨が降っているせいか体に服が纏わりつく。

正夢は現実にも影響を及ぼした。起きていても、脳裏に見たことの無い映像が永遠と流れてくる。正夢とは違う何かが私を襲っている。怖くて涙が溢れた。

私がシぬかもしれない。貴方がシぬかもしれない。どっちをとっても辛く悲しいことで、怒りを込めるように手に力を入れた。その矢先、告げられた言葉に私は青ざめた。

───「あと数センチが遠いよ」

でもあと数十メートルは近くてあぁもうおしまいだ。私は貴方みたいに生き返ることもできない。貴方みたいに形無くしてシねたら、花のように散れたら、どんなに楽だっただろうか。

あと数秒でどちらかの命が消える。










蛇行する車が無造作に突っ込んでくる。唖然とし立ち尽くしていた貴方の手を引く私。代わりに私は路上に飛び出す。




「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」




汚い鼻濁音が響き渡る。鮮血は宙を舞う。

この事件は、湊を含め軽傷者八名、重傷者五名、死亡者一名、運転手は警察に連行され、悲惨な事故として幕を閉じた。





────「まさか私がシぬとはね。思ってなかったよ。」

「最後の言葉とか、何言えばいいか分からないから、ただ一つ。」







「愛してる」






「貴方を好きになれて、良かった。」


湊(……..一般人の間では、死に際が一番美しいと言うけれど、本当にその通りだ。

僕も「愛してる」


初めて心から愛した人。もう二度と貴方のように美しい人には出会えないかもしれない。でも僕は「もう一度会えるなら」と、僅かな希望を抱き今も生きている。貴方に救ってもらった命はもう無駄にはしないと心に誓った。












第9話「the reunion suddenly

」〜再会は突然に〜

Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

400

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚