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あの手紙を読んでから3日くらい過ぎると、百合ばあちゃんの家の前に大きなトラックがやってきた。百合ばあちゃんは驚いていたけど、トラックから降りてきた人たちは真っ先に私の元へと来て、トラックの後ろから荷台の中へと連れて行った。外からは鍵がかけられてしまい、何処に行くのかも、これから何をするのかも分からない。
トラックの中は電球がつけられていて明るい。周りを見ると私と同じように汚れた服を着ている子供たちが背中を丸めて座っていた。
でも、彼らの顔はひどく絶望的で泣いている子もいる。
「なんであなたたちは泣いてるの?」
「だって、これから僕たち売られるんだよ。人間オークションなんて、都合のいい名前つけてるけど、お金いっぱい持ってるやつらが僕たちを見て買うんだって。奴隷にしてコキ使われるんだ。」
悲しい顔で話し続ける男の子。私たちを買うってどういうこと……?奴隷…?
「僕のお兄ちゃんも人間オークションに出たんだ。人間オークションで買ってもらえば、お家にお金が入るからって。でも、お金が入る代わりにお兄ちゃんは2度と帰ってこなかった。きっと酷いことされて死んじゃったんだ。」
「酷いことされるって、どういうこと……?招待状もらったんじゃないの……?」
私の言葉に彼らがざわつく。憎まれるような視線、たくさんの小言が聞こえてくる。この子たちも招待状をもらったからここにいるのかと思っていたのに、違うの……?
「招待状なんてあるわけないだろ!ロクな仕事に就けない親に売られて連れてこられたんだ。人間オークションっていうのは親が金目当てで子供を売るんだよ、大金のために。」
「そうだよ。招待状なんていう参加を選べるような選択肢はないんだよ。お前、さては人間オークションの回しもんだな。俺らを見物しに来たのかよ!?」
1人の言葉に何人もの声が重なっていき、私への悪口が響いていく。絶望的だった彼らの顔は私への憎しみでいっぱいになり、不安と恨みをぶつけている。
「私…知ってるよ。招待状のこと。」