テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
こんにちはカエデです!
パン屋のアンナさんの家でお手伝いをさせてもらいつつ、
居候させてもらってます。
でも、ずっとこのままお世話になるわけにもいかないので、
勇者らしく冒険者として食べて行くことにしました!
ほら、一応わたし勇者っぽいし!
……たぶん!
「が、がんばるよーっ!……たぶんっ!」
アンナさんが「まずは身分証を作りに冒険者ギルドに行っといで! まぁなんとかなるさね! あはは!」とのこと…。
そう決意した私は冒険者登録をしに冒険者ギルドへ!
うぅ……不安だよぉ……。
◇◇◇
冒険者ギルドに着いた私は、ギルドの中におそるおそる…
えいッ!……入っちゃった。
「失礼しまーす……うわぁ…完全に場違いだな…」
ギルドは強そうな人達がたくさん!
カエデショック!略してカエック!!
受付で貰った登録用紙に必要事項を記入するみたい。
(勇者って書くと大騒ぎになっちゃうから、こ、こんな感じかな!?)
【カエデ / 人間 : 美少女 / レベル1 / 備考:歩くだけで街の視線を独り占めしてしまうんです (罪な私)】
「……職業が……美少女……?視線を……へぇ?
えっと、その大きな袋には何が?」
受付のお姉さんが私を見たり用紙を見たり。
「あ、はい。良い形の石が入ってます」
「……はぁ。なるほど。(大量の石を持って、ハンガーとスリッパを装備してる変質者が”美少女”っと……)」
お姉さんがボソッと呟いたあとに書き足してる?
【カエデ / 人間 : 美少女 / レベル1 / 備考:歩くだけで街の視線を独り占めしてしまうんです (罪な私) / 受付注:公序良俗への抵触および、景観条例違反の恐れあり】
「はい! ではこれで登録は完了です!」
受付のお姉さんは書類を棚に叩きつけていました。
「え……あの……ちょっと……?
今、何か良からぬ事を書き足してませんでしたか…?」
私は受付のお姉さんに問いかけました。
「はい! では次の人ー? ……あ!
美少女の貴女はそこのイスに座ってお待ちくださいね」
受付のお姉さんが目を見てくれませんでした。
「……は、はい」
◇◇◇
その後、ギルドマスターさんとの実技試験を行うことに。
ギルドマスターさんが私の登録用紙を見て驚いてました。
ここでも視線を独り占め!カエデ罪な女!
略してカエデ・ギルティ・レディ!!
(……あれ?なんか今、用紙と私の顔を交互に見てない?……気のせいかな?)
「ふむふむ……び、美少女……?
……ん? 『景観条例違反』……? 『公序良俗に抵触』……?
あー……うん……まぁ……自己申告だしな……
な、何をしにここに来たんだ? テロか?」
「えっと……冒険者やってみたくて……あと、身分証とか? ほしくて……」
私はビクビク……
「レベル1の変質者じゃない、美少女……が旅に出たらすぐにモンスターの餌食になるぞ?」
ギルドマスターさんは帰ろうとしている…?
「でも! 私は! 他に出来ることも行く当てもなくて……」
私は真剣に訴えかけた! だって真剣だし! カエデ真剣!
「うーん……まぁ……とりあえず試験受けるか?
で、お前は何が出来るんだ? 冒険者の荷物持ちか?」
ギルドマスターさんが険しい顔。
……んッ?……あれッ?
……私は……旅で何が出来るんだろう?
私は途端に不安に。
あれ……どうしよう……何も無い……
私は空っぽ……空っぽなんだ……
空っぽの美少女なんだ……。
すると、ポケットから声が…!
『カエデ! 俺たちを忘れてないか?
へへ! ほら! そこのおっさんに言ってやれよ!』
……ふわぁ! ウィルソン835世!!
あぁ! そうだった!
私には頼もしい仲間たちが居たんだった!
私の目は光を取り戻しましたッ!
そして! ギルドマスターさんに言いましたッ!
「私は……私はッ! 良い形の石を投げられますッ!」
私はポケットから取り出したウィルソン835世を見せながら鼻の下を指でへへん!
「は?」
ギルドマスターさんは驚いてます。
「見てもらった方が早いかな……えっと……そうですね……」
私は辺りを見回す。
「あ! あそこのマトに石を当てれます!」
私は遠くにマトを発見! でかした私!
「え? あそこまで200メートルはあるぞ?」
ギルドマスターさんはマトを二度見しながら言いました。
「大丈夫です!……いくよ! ウィルソン835世!」
私はマトを見つめ、首を縦にふってから振りかぶり、
腰を目一杯までひねり、振り上げた足を真後ろに向け……
「……と! トルネード投法!?
え? 投げるの? ホントなの? マジで?」
慌てるギルドマスターさんがトルネードなんちゃらとか、
よく分からない事を言ってます。
「のもッ!」
私はそう叫びながらウィルソンを投げたッ!
ビュッ!!!
ギュイーーーーーン!!!
ズガンッ!!!!!
……パラパラパラ……
200メートル先のマトとウィルソン835世は砕け散った。
「ひでおッ!?」
ビックリしたギルドマスターさんも叫びました。
「やったー♪ ありがとね!
ウィルソン! 成仏してねッ!」
私は手を叩いてピョンピョン跳ねました。
そして、ウィルソン835世の声が聞こえました。
『へへ……ありがとうな……
カエデ……先にヴァルハラで待ってるぜ……』
【カエデのスキル:【ウィルソンを投げつける】のレベルが836に上がりました】
「……え? あ、あれ?
あのマトは魔法試験用でかなり頑丈に作ってあるんだけど……
石で粉砕?
……ちょっと色々追いついてこないんだけど……
とりあえずさ?
野球やった方が良くない? ご時世的にもさ!」
ギルドマスターさんが混乱している……?
「あの……試験はこれで終わりで良いですか?」
「え? あーうん……
ちょっとこのナイフを今度はあっちのマトに投げてみてくれる?」
ギルドマスターさんが私にナイフを預けてくれました。
「……はい…いきます!」
「……チクショイ!
ワクワクしてる俺がいるぜ!」
ギルドマスターさんが固唾を飲み見守っています……
プレッシャーだな……
「えいッ!」
私はナイフを投げ!
ぴゅー……ストン……
ナイフは5メートルほど先で落下……。
「……ん……あれ? なんだ?…全然ダメだな……」
首を傾げるギルドマスターさん。
「あの……私のスキルは【ウィルソンを投げつける】なので……
ウィルソン限定なんだと思います……」
「なるほど。俺の脳が拒否反応を起こしてる」
口を半開きにしたまま固まるギルドマスターさん。
その時! 私に閃きが!
「あッ! そッ! そうか!
ち、ちょっと待ってくださいね!」
私はさっき投げたナイフを拾い、ナイフを見つめる。
すると、なぜか「唐揚げ」という言葉が浮かんだ。
お腹すいた。
「あなたの名は──ウィルソン唐揚げ836世!」
そうだ! サクラも言ってた!
思い出のサクラ(真顔)『いいか? カエデ。創造主が最初に食ったの、リンゴでもパンでもねぇぞ。唐揚げだよ。リンゴはデザート、パンは主食、唐揚げは思想であり概念。これテストに出るよ』
すると手元のナイフが、金色に輝き始めた。
「……今、わかった
この子……ただのナイフじゃない……
思想であり概念……!!」
「あなたの名は──ウィルソン唐揚げ836世ッ!!!」
──そう、これは──
世界を揚げる一手だった。
もちろん、喋らない。お腹すいた。
……うん。大丈夫。私には聞こえるから……
『ジューーーッ……カリッ……ジュワァ……』
「え? おい今、なんか揚がる音しなかった?
ナイフだよな? それ……ナイフ……だよな??」
目を丸くするギルドマスターさん。
「行くよッ! ウィルソン唐揚げーーッ!!
全力で……カラッといってぇぇええ!!!」
私はセットポジションで肩を揺さぶる……。
「……唐揚げ!?
いや、それは……ゆりかご投法!?」
ギルドマスターさんがまたよく分からない事を言ってます。
「オータニッ!」
私はそう叫びながらナイフを投げッ…!
シュッ!!!
ギュイーーーーーン!!!
ズガンッ!!!!!
……パラパラパラ……
マトとナイフが砕け散った!
そして、なぜかあたり一面に「香ばしい醤油とニンニクの匂い」が充満した。
「ショーヘイッ!?」
ギルドマスターさんも叫んだ!
「ぉぉ……」
私は驚き、小声を漏らしました。
そしてまた、ウィルソン唐揚げ836世の声が。
『カエデよぉ?
唐揚げってなんであんなに美味しいんだろうな?
反則だよな?
人類が作った罪のひとつだと……
俺は思うんだぜ?
とりあえずヴァルハラでハイボール用意しとくぜ?
……あー……キンキンに冷えたやつな……
レモン絞って……唐揚げと一緒に……最高だぜ……』
「あ!私、唐揚げにレモンかける人、大っ嫌いなの」
『……』
ウィルソンは消えた。
【カエデのスキル:【ウィルソンを投げつける】のレベルが837に上がりました。ウィルソン唐揚げ836世は、黄金色の衣をまとい、無言でヴァルハラへ旅立ちました】
「え? マトもナイフも粉々に……?
や、やば! カエデ……さん! 凄いよ!
このスキルは世界を救えるよ!」
ギルドマスターさんが私の両手を掴み、
ブンブンしてきました。
これ、令和の社会では完全にセクハラです。
「ちょ! な! なんなんですか! いきなり!」
「お前なら……世界を救(すく)える!
そのイズム (精神)!まさに救世主 (メシア)!」
「……すく……いず……?……めし……あ……?
……す、スクール水着でスクイズをして、飯 (メシ)屋に行こう!?」
「……け! ケダモノーッ!?
い、今までで一番理解出来ない要求よーッ!!!」
「……あれ…ちょっと待って……
“スク水”と“スクイズ”って韻を踏んでる!?」
「ひぃ……ち、近寄らないで!
……けて………助けてよーッ!サクラーーーァッ!!!」
私は胸をおさえながら叫んだ!
「……うるせー! 誰がラップしろっつった!!」
ギルドマスターさんの拳が私の頭に迫る!
「ちょ、ちょっと待っ──」
ゴチンッ!!!!!
「ぎゃッふん!」
「……はぁ……はぁ……お前と話してると疲れる……」
ギルドマスターさんが肩で息をしていました。
◇◇◇
──その後、私はギルマスからゲンコツと身分証明書をもらいました。
これで私も冒険者です! やったー!
唐揚げを思い出したらサクラとツバキの事も思い出しちゃったよ。
──あの子たちがいたから、私は”空っぽ”じゃないんだよね。
サクラ! ツバキ?
私はこっちの世界でも元気だよ。会いたいなぁ。
(つづく)
『天の声(ツバキがキューシューからカエデの居るオサカ方面に接近中。私は恐れています。バカとバカの邂逅を)』
◇◇◇
──今週のサクラ語録──
『いいか? カエデ。創造主が最初に食ったの、リンゴでもパンでもねぇぞ。唐揚げだよ。リンゴはデザート、パンは主食、唐揚げは思想であり概念。テストに出るよ』
解説:
テストで赤点取った。