テラーノベル
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めあ☔️
25
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―序章―
とあるビルには、靴と紙が残されている。
それは、廃墟となった薄気味悪いビルには似つかない、新品のように
綺麗な靴。水玉模様に濡れた跡は、都会の光で暗く輝いていた。
彼はそっと近づき、飛ばされないように置かれた靴をどけ、
丁寧に折りたたまれた紙の表面を見つめた。
そこには、可愛らしい字で、「お母さん、お父さんへ」と書いてある。
彼はそっと手紙を取り、中身を開いた。
『お母さん、お父さんへ
ごめんなさい、もう限界なんです。
学校に居場所がないんです。
皆優しくしてくれるのに、視線が怖いんです。
本当にごめんなさい。
今までありがとうございました。』
今日、彼は少女の自殺を援助した。
少女はまだ5年生だった。それでも、思い詰めて、考えて、
彼のところへ来た。
それはまるで涼し気な春の気配に紛れた初夏のぬるい風のように、
突如襲いかかってくる静かな感情に追いつけなかったのだろう。
ふと、フェンスの下をのぞく。
薄く見えるのは、赤い水の真ん中に横たわる少女の姿。
10階から飛び降りた。時間が止まってしまった。それなのに、軽く丸まって
横たわる彼女は、それは幸せな夢に誘われた後のようだった。
男性の叫び声が聞こえる。
サイレンの音が響き渡る。
もうお別れの時間だ。
静かにおやすみなさい。
彼は手紙を置いて、静かに焼香を焚いた。
スマホの中の黒いバラを見つめた。
花園に咲く一輪の黒バラは、全てを魅了するほどに色めいていた。
終
コメント
1件
読み終えました……。胸がぎゅっとなるお話でしたね。 冒頭の「靴と紙」という静かな描写から、もう引き込まれました。特に「視線が怖いんです」という少女の言葉が、その年齢でここまで追い詰められる切なさをひしひしと伝えてきて、息が止まる思いでした。 ラストの黒いバラのモチーフも、とても印象的で、この先の物語が気になります。美しいけれど、重くて優しい文章をありがとうございます。大切に読みました。