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6月中旬に入ってから大地の身体が以前に比べ、少し弱ってきたのだ。
抗がん剤を点滴に入れて投与を続けることになった。
大地がその薬のせいで、何か食べようとすると気分が悪くなり、吐きそうになったりしているのを見ていると、ひとみは辛くて、できるものなら自分が代わってやりたいと思っていた。
ひとみは自宅へ戻り、幸雄に、
「大地の辛い姿を見ていると大地の前で涙が出そうになるの。こんなに辛い治療をして、ほんとうに元気になってくれるのか、分からなくなってきた」
「そんな馬鹿なことを言うなよ。大地は必ず元気になるから。俺は大地が元気になると信じているけど、大地の誕生日に大阪ドームへ連れて行ってあげるのは難しいかもしれないな」と幸雄が言った。
「でも、大地のために何とかしてあげたいわ」
「明日、俺が大地に話をしてみるよ」と幸雄が言った。