テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
29
32,829
「ねぇ、明日さ」
リビングでくつろぎながら、ゆあんくんが声を上げる。
「みんなでどっか行かない?」
「いいね〜」
「どこ行く?」
「また外で遊びたいな」
いつも通りの、明るい会話。
「じゃあさ、近くの公園とかどう?」
うりが提案する。
「それいいかも」
「決まりだね」
話はどんどん進んでいく。
「もふくんは?」
のあさんが優しく聞く。
「うん、行くよ」
もふくんは、いつも通り微笑んだ。
―――
翌日。
天気は快晴。
「めっちゃいい天気じゃん!」
「暑いくらいだね」
みんなで公園へ向かう。
笑い声が絶えない。
平和で、楽しい時間。
——そのはずだった。
「……ん?」
うりが、ふと足を止めた。
「どうしたの?」
ゆあんくんが聞く。
「……いや」
視線の先。
少し離れた場所で、また揉め事が起きている。
「またかよ……」
小さく呟く。
「行かない方がいいよ」
もふくんの声。
昨日と同じ、静かなトーン。
「……分かってる」
うりはそう言った。
でも。
「ちょっと見てくる」
一歩、前に出る。
「うり!」
止める声。
それでも。
「大丈夫だって」
軽く手を振って、そのまま近づいていく。
「……」
もふくんは、何も言わなかった。
ただ、静かに見ている。
―――
「おい、やめろって」
うりの声が届く。
「……は?」
相手が睨む。
「関係ねぇだろ」
「あるだろ」
その瞬間。
「……」
空気が変わる。
さっきまでの明るさが、消える。
「……やめとけって言ってんだよ」
低い声。
目が——
鋭い。
冷たい。
別人みたいに。
「……っ」
相手が一瞬、言葉を詰まらせる。
そのまま、後ずさる。
「……行くぞ」
仲間に声をかけて、その場を離れていく。
あっさりと、終わった。
「……」
戻ってくるうり。
「大丈夫だった?」
のあさんが聞く。
「ん?余裕」
いつもの笑顔。
軽い口調。
でも。
「……」
ゆあんくんは、何も言えなかった。
さっきの目が、頭から離れない。
「あれで終わるの、すごいですね」
ヒロくんが静かに言う。
「別に」
うりは肩をすくめる。
その時。
「……うり」
もふくんが声をかけた。
「ん?」
「やめとこうって言ったよね」
優しい声。
でも。
少しだけ、冷たい。
「……悪いって」
うりは笑う。
「でも大丈夫だっただろ?」
「……」
もふくんは答えない。
ただ。
少しだけ、ため息をついた。
「……ほんと、変わらないね」
小さな呟き。
「え?」
ゆあんくんが聞き返す。
「なんでもない」
すぐに笑顔に戻る。
でも——
「……」
ヒロくんが、じっと2人を見る。
(やっぱり)
確信に変わる。
(この2人、普通じゃない)
そして。
「(何を隠してるんだろう)」
疑問は、さらに深くなる。
楽しいはずの時間。
なのに。
少しだけ、空気が変わっていた。