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#もしかしたらグロいかも
海月
38
翌日――
俺とママ上とヨハンナを乗せた馬車はパッカパッカと出発。
連絡船で島を出て、リガルド城から軍用の飛空艇に乗って城塞都市ブロックスへと向かう。
6時間の空の旅で、ブロックス近くの街へ到着。そこから地竜の引く高速カーゴに乗って数時間、ようやく目的地へと到着した。
俺はカーゴを降りて、外を見渡す。
「ここがブロックスか」
「この地竜車、早いけどケツが痛いぜ」
「移動にまる一日かかっちゃったわね」
ヨハンナとママ上も降りてくる。
俺たちが到着した城塞都市ブロックスは、一目でその異様な緊張感を感じ取れる場所だった。
周囲を覆う高い石壁は、時代を経た風化の跡があるものの、幾度の補修を経て堅牢さを保っている。壁の頂部には城塞特有の鋭利な装飾が施され、まるで敵意を剥き出しにした刃のようだ。
また壁上の見張り台にはバリスタが用意されており、魔獣の侵入に備えている。
巨人が通るような巨大な鉄門をくぐった瞬間、更に大きな外壁が街の中に広がっている。
これは街が3重の内部防壁構造となっており、奥に進むほど重要な施設が入っているらしい。
「ようこそいらっしゃいましたラウル王子」
そう言って俺を出迎えたのは、立派なシルバーの口ひげの中年騎士。
銀色の鎧を纏ったその姿は風格があり、歴戦のイケオジ騎士という感じがする。
「リガルド帝国拠点防衛騎士団団長のアンドリューです。この城塞都市の責任者をしています」
「あれ? ブロックスってリガルドの拠点だったの? 俺各国の王族が集まってくるって聞いたから、中立拠点かと思ってた」
「このダークラインは特別警戒領土として、どこの国の土地でもございません。そのため各国が軍事拠点を作っており、ブロックスの他に4つの拠点がございます」
「つまりすぐ近くに、別の国の拠点が4つあるってこと?」
「左様です。鉄と歯車の国ギデオン、トリスタン魔法騎士国、水の国アクアレム王国、新興国ガレス共和国です」
俺はピクリと反応する。
新興国ガレス共和国。この前の密漁船で名前を聞いた時は気づいてなかったが、この国名、確かグローリーナイツで主人公が所属していた国である。
本当の名はガレス神聖国。宗教国家だったが、教会上層部が腐敗しており国民は酷い搾取に苦しめられていた。それをプレイヤーが自由と平等を取り戻すために革命を起こし、共和制にした国。だったはず。
今話に上がった国と、ゲームの国が同じとは限らないが……。
アンドリューと共に都市内を進んでいくと、テントやボロ小屋だらけの集落が見えた。
「あれは」
「このブロックスは3層の内壁構造になっているのですが、一番外側の第一層エリアは居住区になっております」
「一番危険な外側エリアが居住区なのか?」
通常人間のいる区域が内側区になるはずだが。
「最初は農地エリアになるはずだったのですが、安くで農民を雇ったら予想以上に人が集まってしまい、今では貧民の居住区になってしまったのです」
「立ち退いてもらったら?」
「ここ以外に行くアテもない者たちでして……本人たちも危険な場所にいると理解はしています。補給が乏しい場所ですし、働き手も必要ですので」
壁のない外で暮らすよりかは、一枚でも壁があったほうがマシか。ただ魔獣が襲ってきたときが怖いよな。
「こんなダークラインで暮らさなくても、都市部の方に来たほうがよくない?」
「ここから出るには、東のボルボ砂漠を越える必要があるのです。恐らく飛空艇越しに見えたかと思いますが、あれを足で超えるのは不可能です」
「ここから出ることもできなくなっちゃったのか」
「はい、にも関わらず北から居住地を求めるものが多く下りてきて」
「無尽蔵に受け入れてるの?」
「いえ、最低限就業可能であり、リガルド国の法律を遵守でき、リガルド国籍取得を望む者のみです」
そのまま一層を越えて、中間の二層に入るとそこはちゃんとしたレンガで出来た街と、市場、工房のようなものが見える。
更に奥には学校のような大きな建物も見られた。
「あれは学校?」
俺が問うとアンドリューは頷く。
「はい、騎士を養成するための学校でございます」
「へー、こういう最前線で戦って経験をつませるってことなのかな?」
「いえ……死亡した兵の穴埋めが早くに出来るようにですね。ここは本国からかなり離れているため、援軍を養成しても到着に数週間単位で時間がかかります」
「なるほど……」
俺達は飛空艇でやってこれたけど、軍隊を送り込むには準備も輸送船も必要だもんな。
学校の目的が死亡したものの穴埋めというのが、最前線感がある。
「申し訳ございませんラウル様、三層担当者と話してまいりますので少々お待ち下さい」
「わかった」
アンドリューが、三層に入るための門に向かって走っていくのを見送る。
彼を待っていると、俺達のすぐ近くを騎士二人組が通りかかった。
「今日リガルドの第三王子が来るらしいぜ」
「王子って確か第一王子以外”失敗作”って言われてるんだろ? ったくバカ王子の視察かよ。また仕事が増えるな」
「全くだな。現場も知らないバカが、指揮官気取りでやってくるのはうんざりするぜ」
「防衛会議どう思う?」
「各国の王子と王女が揃って会議するんだろ? 絶対進むわけない。お互い魔獣対策はどこかの国に押し付けて、ダークラインの資源を奪うことしか考えてないだろ」
「問題はどこの国と手を組むかじゃないか?」
「黒い噂のたえないギデオンはやめてほしいな」
「向こうも同じこと思ってそうだがな」
なるほど、こんな近くに拠点が5つもあるのは、そういう裏もあるのか。
向こうは俺に気づいている様子はなく、ただの会話の一つのネタとして話しているようだが、それが逆に兵たちが思っている本音感があった。
俺がバカにされて怒ったのか、聖剣が揺れてナハトの声が聞こえる。
『僕があいつらの股間についてる貧相なものもいで、失敗作にしてきてあげよっか?』
「いいよ、それが世間の正当な俺の評価だから」
俺も自分が騎士だったら、きっと似たようなこと言ってるだろうし。
まぁかと言って、そのままにしてるのも気分が悪い。
俺はわざと騎士たちに手を振って、こちらが認識できるようにした。
「やぁ失敗作が来たよ」
そう開き直って言ってやると騎士たちは「今の話し聞かれた」と、青い顔をして頭を下げていた。
俺としては第二王子のイヤミルも失敗作扱いされててちょっと嬉しい。
コメント
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お疲れさまです、みぅです🥀 第21話、読ませていただきました。 ブロックスの三重構造、めっちゃ世界観が生えてて好きです…!特に一層の貧民区→二層の騎士養成学校って流れが「最前線の生々しさ」を感じさせて、アンドリュー団長の「死亡した兵の穴埋め」説明にもゾッとしました。 ラウルが騎士たちの陰口を聞いて開き直って手を振るシーン、すごく好きです。自分はちゃんと評価されてるって分かってるから余裕なんだろうなと。あと「イヤミルも失敗作扱いでちょっと嬉しい」は、こういう小さな人間味がまた良いんですよね…。 次も静かに読みにいきます🌙