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朝。
カーテンの隙間から光が差し込む。
エリオットはベッドの上でうめいていた。
「……頭痛い」
枕に顔を押し付ける。
喉も乾いている。
「……最悪」
昨夜の記憶がぼんやり蘇る。
ピザ屋。
ビール。
チャンス。
ネクタイ。
「……」
エリオットは枕に顔を埋めた。
「絶対なんかやった」
そして――
コンコン
ドアを叩く音。
エリオットは顔を上げる。
「……?」
またノック。
コンコン
「……はーい」
のろのろベッドから降りる。
髪はぼさぼさ。
Tシャツ一枚。
ドアを開ける。
そして固まる。
そこにいたのは――
チャンス。
銀髪、いつもの軽い表情。
手には紙袋。
エリオットが呆然とする。
「……なんで」
チャンスが言う。
「ピザ食いに」
「朝だよ」
「腹減った」
エリオットは頭を押さえる。
「……うそ」
チャンスは袋を持ち上げる。
「水と薬」
「……」
エリオットは数秒黙って。
小さく笑った。
「優しい」
「二日酔いだろ」
「バレた」
エリオットはふらっとする。
チャンスが肩を支える。
「ほらな」
部屋に入る。
エリオットの部屋は小さい。
ソファとテーブル。
キッチン。
エリオットはソファに座る。
「頭割れそう」
チャンスは水を渡す。
「飲め」
薬も出す。
エリオットは言われるまま飲む。
「……ありがとう」
チャンスはテーブルに座る。
しばらく沈黙。
エリオットがぼそっと言う。
「チャンス」
「ん」
「俺昨日変なことした?」
チャンスは少し考える。
「色々」
エリオットが固まる。
「……例えば」
チャンスは肩をすくめる。
「ネクタイ」
エリオットは頭を抱えた。
「やっぱり」
チャンスが笑う。
「五回」
「そんなに」
「もっとかも」
エリオットはソファに沈む。
「恥ずかしい」
チャンスが言う。
「慣れてる」
エリオットは顔を上げる。
「ほんと?」
チャンスは少し笑う。
「今も」
「?」
チャンスは自分の胸元を見る。
エリオットの手。
いつの間にか。
ネクタイを掴んでいた。
ぐい
「……」
エリオットが固まる。
ゆっくり手を見る。
「……」
チャンスが言う。
「無意識」
エリオットは数秒黙って。
そして笑い出す。
「ほんと好きだな俺」
チャンスも少し笑う。
エリオットはネクタイを指に巻きながら言う。
「チャンス」
「ん」
「またピザ食べに来て」
チャンスは答える。
「来る」
エリオットは目を細める。
「よかった」
そして。
また。
ぐい
チャンスがため息をつく。
「ほんと」
「?」
「癖だな」
エリオットはにこっと笑った。