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若くして、KOOGAという大企業を継いだ彼は、マスコミに取り上げられることも多かった。
彼自身が外見的に目を引くこともあって、あら探しをしてゴシップに持ち込もうとする風潮も見受けられたけれど、以前にお父さんが『──それだけの才能があるってことだ』と言っていたように、経営者として隙を見せることなく、彼は上手く立ち回っていた。
折しも系列会社に不祥事が見つかった際にも、グループトップである彼の速やかな対応で、クーガ自体のブランドイメージを上げた感もあった。
そのスキルの高さに脱帽するのと同時に、やっぱり自分は性急すぎたのかもしれないと思い至って、どんな機会であれ、次に会えたら、ちゃんと腰を落ち着けて話してみたい……。やがては彼に対して、素直にそう感じられるようになっていた。
けれど、どんな機会でもと望んでいた矢先に、私は信じられないような光景を目の当たりにしてしまった──。
彼──久我 貴仁さんが、女性と連れ立って歩いていたのだ。
そんな……、だから私には、まるで別人のようなふりで、初めから嫌われることを前提にしていて?
仕事へのプレッシャーなんて、もともと関係はなかったの?
落ち着いてきていた気持ちが、また鬱々として、淀んでくるのを感じる。
彼の方はテレビで見た時と変わらない好青年な装いで、女性の方は太腿に大胆なスリットが入ったロングのタイトスカートを着こなしていて、その華やかな服装と容姿は周囲の視線を集め、はた目にも「美男美女のお似合いのカップル」に見えた。