藍Side
 ‥気持ち悪い。喉の奥に流れ込んだモノの余韻がまだある気がして、何度も咳き込むが取れる気がしない。
 苦しい。なんで、こんな事になってしまったのか‥。
 ややぼんやりとする頭で考えを巡らす。
 
 祐希さん‥。そうだ、今頃、祐希さんは‥智さんと一緒におるんやった。
 
 あの画像を見てから、ずいぶん時間が経った気がする。
 きっと二人はもう‥
 
 俺は何のためにここにいるんだろう。智さんは小川さんとヨリが戻ったと思っていた。
全ては元の鞘に戻ったと‥。
 ただ、お仕置きをしたいと小川さんが言うから‥協力していただけなのに‥
 
 何があかんかったのかな‥
 俺が悪いんやろか‥
 
 あの時‥小川さんに言わなかったから?
 
 あの時‥智さんを止めなかったから?
 
 考えたところで全て後の祭りなのに‥。
 
 
 でも‥戻りたい。
 
 
 優しい祐希さんの腕の中に戻りたい。
 
 
 
 それがたとえ‥いま、他の人を抱いていたとしても‥
 
 戻りたい。
 
 そこが俺の帰る場所なんだって信じたい。
 
 
 「藍?水、飲む?」
 暫く項垂れていると‥小川さんが水をこちらに向ける。要らない!と跳ね除けようと思ったが‥思った以上に口の中が気持ち悪く、無言で受け取った。
 
 一口飲み込んで気付く。酷く喉が渇いていることに。思わずゴクゴク‥と喉を鳴らしながら一気に流し込む。
あまりにも急いで飲んだせいで、口から溢れてしまうほど‥。
冷たい水が何も身に纏っていない身体に、伝い落ちてしまう。
 「おいっ、溢れてるぞ!」
 「ひゃっ!?!?」
 身体に落ちた水を追うようにして、小川さんの唇が吸い付くから思わず悲鳴を上げてしまう。
 ザラリとした舌の感触に鳥肌が立つ。慌てて止めようとするも、小川さんの手が中心部を握りしめたおかげで力が入らない。
 「やぁ‥さわ‥らんで‥」
 「そんな格好してるくせに触るなって方が無理あるだろ?笑」
 
 誰が脱がしたと思っているんだと睨んでも‥何故か小川さんはニヤニヤと笑うばかり。
そして、いつまでも触るし。
 「嫌や、手ぇ、どかして‥」
 「はぁ‥あのさ?そもそも賭けに負けたのお前だろ?抱かせてくれる話はどこにいったの?」
 
 「‥‥そんなん、知らん‥」
 
 プイッと横を向くと、また中心部を触る手に力が込められる。さっきよりも強い力に、またじわりと涙ぐむ。
 「藍、気付いてないかもしんないけど、そんなに煽るなよ。このまま犯したくなるじゃん!」
 
 「はっ?///煽ってないし!」
 俺の何処をみて、煽ってると思ってるのか‥小川さんがよく分からない。
 「本当に自分の事は見えてないんだな、藍って。さっきから勃ってるよ?笑。気付いてる?」
 「えっ?」
 小川さんの言葉に、ふと見ると‥。先程から痛いほど握りしめられている中心部は、その刺激のせいで反応を示していた。
 「なっ///、これは‥違う‥」
 「敏感だよな♡キツく触ってるのに、気持ちいいんだろ?認めたら?」
 反応を示してるからなのか、更に酷く刺激される。そして、後ろの方にも手が伸び‥
 「さっき解したままだから、すんなり入るな♡」
 その言葉と同時に小川さんの指が侵入する。解した状態ではあるが、やはり異物感があり痛みが生じる。思わず顔をしかめた。
 「嫌や、‥ぬ‥いて、」
 「藍のココ、狭いんだよな。これだけ解せば普通緩くなりそうなのに‥俺の入るかな?」
 俺の言葉を無視するように、小川さんは1人ブツブツ呟き、指を挿入している部分を広げ確認しようとしている。
 2本挿入している指が、中で拡げられた。
 「やだ、やめ‥て‥」
 「さっきから嫌だ、嫌だって、観念したら?往生際が悪いぞ!」
 
 「小川さんこそ‥諦めたらええやん!」
 
 賭けには負けたが、やはり抱かれたくはない。足を閉じようと必死で身体をくねらせる。
 「らぁん、足、開けって!見えないじゃん!」
 「見なくていい!!」
 「ふーん、そんな事言うんだ?」
 小川さんがアルカイックに笑う。嫌な表情。こんな顔をする時は大抵ろくな事がない。
 慌てて足に力を入れるが‥遅かった。握りしめられたままの中心部に更に力を込められ、あまりの痛みに一瞬息が止まる。
 「痛‥い‥」
 「ごめん‥でも、言う事聞かないからだろ?」
 本当にすまないと思っているのか‥小川さんは悪びれる様子もなく‥痛みで身体が硬直する俺の足を大きく割り開く。
 遮るものが何もなく、全てさらけ出した状態にあるという格好が堪らなく嫌だったのに、ジロジロと眺められてしまう。
 
 「痛がる割には、しっかり勃ってるじゃん。でも、少し赤くなってるかな‥ごめん‥」
 そう呟く声がしたと同時に、中心部をねっとりとした温かいモノに包みこまれ、思わず声が出てしまう。小川さんが口に咥えたからだ。
 「やぁ‥やめ‥」
 「じっとして、らぁん!痛いことは‥したくないけど、動い‥たら‥モゴっ、噛んじゃうかもよ?」
 咥えながら小川さんが脅しの言葉をかける。
まさか‥と震える思いで見つめるが‥小川さんの目は本気のようだ。
 動けば噛まれるという恐怖に身体が竦む。
そうやって俺が動かなくなったのを確かめた後、小川さんは満足気に口を動かし始める。
 悔しい。せめてもの反抗とばかりに、感じるものか!と我慢する‥が、
 
 その努力は虚しく、どんどん力が抜けていく。歯を食いしばり、小川さんから与えられる口淫になんとか耐えようとするも‥
 さっきと同じ。
 イきたい‥。それだけしか次第に考えられなくなる。
 弱い部分ばかりを舌で刺激され、我慢していたのに‥吐息が漏れ出す。
 
 
 「あはっ♡かわいい声出てんじゃん!気持ちいい?」
 いつの間にか、口を離した小川さんが俺の反応を見ながら笑っている。
 「お前も快楽に弱いよな♡どう?このまま言う事聞いたらイカせてあげるけど?お願いしてみ?」
 「だ‥れが‥いう‥もんか‥」
 
 「ほんっと、強情。でも、その強がりいつまで持つかな‥楽しみだ♡」
 
 
 そう言うのと同時に、開いていた足をグッと前に押し出す。
えっ?と思った時にはもう‥遅い。
小川さんの顔がお尻の方へ向かう。さっきまで弄られていた中心部分じゃない‥指を挿入され、鈍い痛みの残る最奥の方だ。
 「やだ、いやっ!触らんでっ!」
 冗談じゃない。祐希さんにだって触られるのが嫌で嫌で堪らない場所なのに。死に物狂いで逃げようと藻掻く‥が、その身体を上から押さえつけられる。そして、あろうことかそのまま両腕を背中の方に回され、何か紐状のもので縛られてしまい身動きが取れない。一気に恐怖感が増す。
 「何が嫌なの?さっきから指を挿れたら痛がるからさ、痛くないようにしてあげるのに‥」
 「余計なお世話や!俺は絶対に‥ひゃぁっ!?」
 嫌だという拒絶は最後まで言えなかった。その前に小川さんが最奥に息を吹きかけ、口づけたから。
 「や‥だぁ、ヒック‥やめ‥てぇ‥嫌やってぇ‥」
 腕を拘束され逃げられず、泣き喚くが‥どんなに懇願しても小川さんは止まってくれない。
 聞きたくもない卑猥な水音と俺の泣き声だけが響き渡る。
 
 それは‥ほんの数分のことだったのかもしれない。いや、それよりも短かったのかも‥
だが、俺には苦痛でしかなかった。
涙が止まらない。
 そんな俺の様子を見ながら、小川さんがようやく離れてくれる。
 「そんなに嫌なわけ?智さんならめっちゃ気持ちいいって喜ぶけど‥ほら、聞こえる?潤ったから藍のココ、凄い濡れてるよ♡」
 「も‥いやぁぁ‥いわ‥んで‥」
 卑猥な言葉も何もかも聞きたくなかった。必死で頭を振るのに‥小川さんには伝わらない。
 楽しげに双丘を開き、指を挿れて弄るのを止めない。くちゅ、くちゅ‥と出し入れをする度に響く音に‥耳を塞ぎたくなる。
 「さっきより解れてきた♡ねぇ、藍‥そんなに泣くなよ‥」
 「グスッ‥うっ、うう‥‥‥‥‥」
 「‥分かった、やらないから‥なっ?虐めて悪かった‥謝るから仲直りしよう‥」
 
 耳元で小川さんがそんな風に囁く。その言葉通り、もう最奥に口淫する素振りは見せず‥ゆっくりと丁寧に中を解してくる。
 途中、ローションも足され、前への刺激も忘れない。
 ゆっくりと優しく揉みしだかれ、先程イケなかった快感がじわじわと身体を蝕み始める。
 
 悔しいかな‥。嫌なのに腰が揺れる。あれほど痛がっていた指ですら、もっと刺激して欲しくて堪らない。
 いつの間にか、小川さんの手に自らの陰茎を擦るように動かしてしまうし‥
 「らぁん♡気持ちいいんだろ?自分で腰、動かしちゃって‥かわいいな♡いいよ、どんどん動いて‥」
 
 嬉しそうにそう呟かれ、耳朶を舐められる。弱い部分を同時に刺激され‥
 
 限界だった。熱を解放したくて堪らない。
あと、少し‥あと‥‥‥。
 
 
 「やっ、も‥‥い‥‥‥く‥‥‥」
 絶頂を迎える。身体がその瞬間を待ち侘びている。そう思っていた‥
 
 
 のに、
 
 突然、根元をキツく戒められ、射精を阻まれてしまう。
 
 「やぁっっ!!な‥んで‥‥‥‥」
 
 後少し‥後少しだったのに‥。
 
 「らぁん♡イきたいだろ?なぁ、イカせてやるからさ‥抱いてってお願いしてみ?ほら?」
 
 
 後ろから抱き締めながら、小川さんが耳元で囁く。
さっき優しくすると言ったくせに‥
 そう思い、キツく睨んでも‥その顔はケロッとしている。
 「意地悪‥せぇへんって‥言った‥やん」
 「藍があんまり可愛く泣くから。虐めるつもりなんてなかったのに‥だから、藍が悪い!」
 無茶苦茶な言い分に呆然としてしまう。カッとなって怒りを吐き出そうとするが、それよりもイケなかった事が苦しい‥
 中心部は、早く熱を解放したくて堪らない。射精したい。なのに、小川さんの手によって遮られているため、どうする事も出来ない。
 
 「苦しそうだね、藍。ほら?おねだりしてみてよ?イきたいだろ?強がってる場合?」
 
 何度も問われ、そのたびに頭を振った。
 絶対に言うもんかと。
 
 
 
 どれくらい経ったのか‥。
 
 
 玉のような汗が浮かび上がる。
 
 それでも、イカせて貰えない‥
 
 もう‥限界だった‥
 
 祐希さ‥ん‥‥‥
 
 
 掠れた声で愛しい人の名前を呼び‥瞳を閉じる。
 
 もう‥無理‥
 
 我慢していた言葉をとうとう‥口にする。
 
 「‥‥い‥て‥‥‥」
 
 「‥‥ん?なぁに?聞こえないんだけど?」
 意地悪く小川さんが覗き込みながら聞き返す。
分かっているくせに‥本当に意地悪だ‥
 
 「‥も‥抱い‥て‥」
 「誰に抱いて欲しいの?」
 「‥‥‥‥お‥わさん‥」
 「ぜーんぜん、聞こえないな♡ちゃんと目を見て言って?言えるだろ?」
 
 言葉を催促するかのように、最奥に挿入する指をぐりっと掻き回す。その刺激がダイレクトに弱い部分に響くもんだから、悲鳴のようなよがり声が漏れてしまう。
 涙でぐしゃぐしゃになりながら、俺は振り向く。妖しく微笑む小川さんの顔を見ながら‥
 「お‥がわ‥さん‥抱い‥て‥ほし‥」
 
 言葉は最後まで言えなかった。
ご褒美とばかりに小川さんに口づけられたから。
 何度も頭を撫でられ、褒められた気がしたが‥
 もうそんな事はどうでも良かった‥
 ただ、
 この快楽を鎮めてほしい‥
俺の願いはそれだけ‥。
 
 
 
 
 
コメント
6件
藍くんはもうこの手を使えば誰にでも股ひらくんちゃうかとちょっと心配になってきました(笑) 次回も楽しみにしてます!

小川くんには悪いけどらんらんの心は絶ッ対に動かないよ、やっぱり誰とも比べちゃうと思うし全部祐希くんがいいと思う、自分のこと大切に思ってくれた智さんを大事にしようよ、智さんもほんとは祐希くんじゃ違うってわかってるはず、
小川くんの耳に祐希さんという名前は届いているのかしら...どれだけ抱いたって藍くんの心は誰にも奪えない事にどれだけ抱いたって快楽に溺れさせたって藍くんの気持ちなんてそこには無いことに小川くんはいつ気づくのかしら...そして1番近くで自分を愛してくれる智さんの大切さに気づけるといいね?もう手遅れになる前に😏